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【世界選手権】女子FSレビュー/メドベデワ独壇場、世界記録で2連覇 日本女子は五輪3枠を逃す

 2017年4月1日 15:42配信

前人未到の総合得点230点台を叩き出したメドベデワ(写真提供:Getty Images)

世界フィギュアスケート選手権(フィンランド・ヘルシンキ)女子FSは、ロシアのエフゲニア・メドベデワが自らのFSと総合の世界記録を更新し2連覇達成。日本女子は、三原舞依がSP15位から挽回しFS4位に入り総合5位、樋口新葉は11位となり、来年の平昌五輪への2選手出場が決まった。カナダ勢が共に自己ベストを更新し、ケイトリン・オズモンドが銀メダル、ガブリエル・デールマンが銅メダルで、自身初・カナダ女子初のW表彰台に輝いた。

ついに前人未到の総合得点230点台に突入したメドベデワ。自己ベストで現在2番手の宮原知子やオズモンドを15点引き離した。勝利数でも圧倒し、昨季GPシリーズ・ロシア杯(2015年11月)で同じロシアのエレーナ・ラジオノワに敗れたのを最後に全戦全勝中であり、今季はSPとFSいずれも1位の完全優勝を重ねている。

メドベデワにとって、現在の女子シングル最高難度の技術は苦にならない。失敗などありえず、全ての技で満点を目指す段階に入り、今季集大成のFSでは技術点の2割を加点で稼いだ。満点のステップでは、スポーツの最高技術を決める瞬間に、芝居の間合いさえ感じさせた。演技構成点も全5項目平均で10点満点中9点台後半に入り、17歳の時点で女子史上最高評価を得た(FS得点:154.40|技術点78.27|演技構成点76.13 総合得点:233.41)。

メドベデワの好調が続く限り、女子シングルはメドベデワの独壇場となる。SPもFSもジャンプ構成にはまだ伸びしろがあり、これから私達は幾多の世界記録をリアルタイムで目撃することになるだろう。

カナダ女子は、大きな時代の転換点を迎えた。今大会で1968年グルノーブル五輪以来となる五輪出場選手枠「3」枠を決め、世界選手権の3枠も1973年大会以来45年振りとなる。カナダ女王のケイトリン・オズモンドは、上位陣にジャンプのミスが多い中、3ループが2回転になる1つのミスで抑え、演技後半のジャンプでも加点を積み上げた。音楽を綿密に描写する技術と表現で全体2位の演技構成点をあげFS2位に着け、相次ぐ怪我を乗り越え代表戦で初めて表彰台に立った(FS得点:142.15|技術点:70.21|演技構成点:71.94 総合得点:218.13)。

オズモンドと共に今季飛躍したデールマンは、銀メダルの四大陸選手権に続き、鮮烈に個性を魅せた。他にはない威力を誇る3トゥループ+3トゥループはSP同様に満点、ジャンプのミスも最小限に抑えた。大迫力のパフォーマンスには9点台の評価がつき、全体4位の演技構成点で四大陸の自己ベストを16.61点更新し、一挙に210点台に乗せた(FS得点:141.33|技術点:71.73|演技構成点:69.60 総合得点:213.52)。

SP15位の三原は前半グループに登場。全てのジャンプで加点を取り、一際伸びやかな滑りは技を流れるように見せていった。日本女子の正念場で今季一番輝いた“シンデレラ”に、会場の日の丸は一斉に花開いた。技術点はメドベデワに次ぐ全体2位、演技構成点も8点台が並び、四大陸のFS自己ベストを3.95点押し上げた(FS得点:138.29|技術点:74.40|演技構成点:63.89 総合得点:197.88)。樋口も16位本郷理華もジャンプで攻め切り、ミスはあったが勝負に懸けるスポーツマンシップを光らせた。初出場の三原と樋口、怪我を抱えながら急遽調整した本郷の今大会の健闘は、激戦の五輪代表を争う糧になるだろう。

ロシアは、GPファイナル銅メダリストのアンナ・ポゴリラヤが3転倒で13位に順位を落としたが、マリア・ソツコワが8位に入り五輪3枠を決めた。アメリカは、全米女王カレン・チェンが自己ベストで4位、前大会銀メダリストのアシュリー・ワグナーが7位で2大会連続の3枠を堅守。ソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナーが6位に入りイタリアは2枠、自己ベスト更新の若手2人、エリザベート・トゥルシンバエワとダービン・チョイが9位、10位で並び、カザフスタンと韓国も2枠を獲得した。

来季は各強豪国の五輪代表争いも白熱し、さらに200点台のジュニア勢がシニアになだれ込む。女子シングルには、史上最高の五輪シーズンが待っている。

文:Pigeon Post 島津愛子

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