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【世界選手権】男子FSレビュー/羽生FS世界記録で優勝 宇野自己ベスト30点更新で銀メダル 世紀の戦いは平昌五輪へ

 2017年4月2日 06:13配信

日本男子は世界選手権でワンツーフィニッシュ(写真提供:Getty Images)

世界フィギュアスケート選手権(フィンランド・ヘルシンキ)男子FSは、SP5位羽生結弦が今季集大成の舞台で挑戦のプログラムを完成させ、FS世界記録で逆転し3年振り2度目の優勝。SP2位宇野昌磨はSPとFS共にベストで総合の自己ベストを31.26点更新し、初の世界選手権銀メダルに輝いた。日本男子は3年振りの世界選手権ワンツーフィニッシュとなり、平昌五輪3選手出場が決まった。

SPとFSの自己ベストを揃えたSP4位中国のボーヤン・ジンが2年連続の銅メダル、3連覇がかかっていたSP1位スペインのハビエル・フェルナンデスはジャンプに失敗し4位に終わった。SP3位カナダのパトリック・チャンが5位、SP6位アメリカのネイサン・チェンが6位。SP22位からFSで順位を19位まで上げた初出場の田中刑事は、3アクセルの転倒があったが4回転を2本決め収穫の大会となった。

羽生は歴史的一戦で、自身が打ち立てた金字塔を今季も塗り替えた。首位フェルナンデスと10.66点差で迎えた最終グループ第1滑走、プログラムは久石譲の楽曲を編集した『Hope&Legacy』。冒頭の新技4ループ、4シーズン成功させている4サルコウと、助走から着氷までを一つの流れで魅せる羽生のジャンプが決まる。水や風や大地、自然を映し出す振付の中盤、受け取った何かを送るシーンでは、自身がプログラムに込めている希望(Hope)や継承(Legacy)を描き出した。決意したようにターンして臨んだ、今季成功のない4サルコウ+3トゥループを舞い降りると、場内は一つになった。羽生が長年魅せ続けてきた4トゥループや3アクセル、柔軟性は天衣無縫の美しさを放っていく。演じ切った羽生は、初めて表彰台に上った震災後の世界選手権FS同様に天を指した(FS得点:223.20|技術点:126.12|演技構成点:97.08 総合得点:321.59)。

得点が表示された瞬間に渾身のガッツポーズを見せた羽生結弦(写真提供:Getty Images)

宇野は急速にアップデートしてきたジャンプ構成を史上最高の舞台でやり遂げ、涙で終わった昨季世界選手権の雪辱を果たした。4回転はSPとFSで計6本決まり、FS演技後半の宇野独自のモンスタージャンプ「3アクセル+1ループ+3フリップ」では4回転+3回転に匹敵する18.3点を叩き出した。後半のジャンプでも加点を積み重ね、3アクセル+3トゥループでは満点を取り、僅かなジャンプの失点を補い全体2位となる技術点を得た。音楽の熱情に呼応するような踊りと滑りは、演技構成点でこれまで格上評価だったフェルナンデスやチャンに肩を並べた(FS得点:214.45|技術点:120.03|演技構成点:94.42 総合得点:319.31)。

ジンは、演技構成点で離される苦しい展開ながら4回転を計6本成功させ、自己ベストを13.75点伸ばし初めて総合得点300点台に乗せた。フェルナンデスとチャンは後半失速したが、フェルナンデスはSPで羽生の世界記録に迫り、チャンはSPで100点台に乗せFSで新技の4サルコウを決め、それぞれ来季に弾みをつけた。チェンはここに来てFSの4回転を1本増やし、男子最多本数となる計8本の4回転を回り切り、2転倒はあったがFS全体4位の技術点をもぎ取った。

7位アメリカのジェイソン・ブラウンは自己ベストを揃え、アメリカ男子の五輪3枠に貢献。総合自己ベストを更新したケヴィン・レイノルズが9位に入りカナダは2枠、ベテランのアレクセイ・ビシェンコが4回転計3本を決め10位に入ったイスラエルも2枠を獲得した。ロシアもミハイル・コリヤダが8位、マキシム・コフトゥンが11位で2枠となった。中国とスペインも、ジンとフェルナンデスの順位により2枠で平昌五輪に臨む。

上位6人のスーパーリーグは、1〜2回のジャンプの成否で覇者が変る。ジャンプ構成と演技構成点の兼ね合いによるアドバンテージも変動しており、来季のGPファイナル、そして平昌五輪までこの歴史的戦いは続くだろう。

文:Pigeon Post 島津愛子

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