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【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】ボール争奪の局面。桑水流選手の「低さ」に注目

2017年9月28日 16:00配信

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©︎コカ・コーラ レッドスパークス

1.第5節、ボール争奪の場面から技術を紹介

今回は、福岡で行われたリコーブラックラムズVSコカ・コーラレッドスパークスの試合で見られた技術をご紹介する。

試合の結果は32-5でリコーが勝利したが、レベルが高く互いの力が拮抗した試合では、ボール争奪の局面での多くの技術がみられた。

ボール争奪は、試合の勝敗にかかわる大きな要因となる重要な場面でもある。

過去の【豆の眼力】記事はこちら

2.桑水流裕策選手の「低さ」とは

キーワードは「低さ」だ。ラグビーでよく耳にすることがあるこの「低さ」という言葉。

単に姿勢を低くするだけの簡単な話ではない。

実は、この「低さ」の裏には緻密に計算され、鍛錬された技術が隠されていた。

その技術を数多く見せてくれた選手がコカ・コーラレッドスパークスのFL桑水流裕策選手(背番号6)だ。

桑水流選手は7人制日本代表のキャプテンを任され、リオ五輪では優勝候補のNZから大金星を挙げるなど歴史的快挙の達成に貢献した。

©︎コカ・コーラ レッドスパークス

3.コンタクトプレーで重要な「ベクトル」

188cmある身長からは想像ができない程、相手とのコンタクトプレーにおいて彼の「低さ」は際立っている。

この「低さ」。ただ姿勢が低いだけではないのだ。

コンタクトプレーにおいては、相手にあたり負けないためにパワーを出す必要がある。

パワーの構成要素として考えられるものは筋力とスピードだが、

そのパワーをどのようにして相手に伝えたのかという点がさらに重要になってくるのだ。

いくら筋力がありスピードに乗っているとはいえ、その力の出す方向、ベクトルが違えばその力は十分に伝わらない。

しっかりと「低い」姿勢で、敵に対して真っすぐにベクトルを向けられた時のパワーは相手にとっては脅威となるのである。

ラグビーの試合で、止まった選手が走りこんでくる選手にタックルし、弾きとばすシーンを見たことはないだろうか。

普通では考えられないこのプレーは、「低く」正しいベクトルで当たることによって初めて可能となるのだ。

桑水流選手の姿勢は、敵を認識しコンタクトプレーに入る少し前から低くなりしっかりとベクトルを相手の体の中心に向けている。

コンタクトプレーにおいて、常に相手にとって脅威となるパワーを伝える技術こそ、日々の練習から意識をしていないとできることではない。

私のような小柄な選手としてはこのような「低い」姿勢のプレーは得意領域である。

しかし桑水流選手のように190cm近い選手にこれをやられてしまうと小柄な選手は太刀打ちできない。

桑水流選手、おそるべしである。

4.80分間、同じクオリティーで

さらにその精度の高い、「低い」姿勢でのコンタクトプレーを幾度となく行っているところにも注目したい。

やはり、誰が相手であろうと、コンタクトプレーが続くと体力を消耗する。そして、体力が消耗するとプレーの質や精度は徐々に低下してしまう。

そんな中でも常に同じクオリティーで80分間、相手にとって脅威となる続けるコンタクトプレーを続けることのできる選手はなかなかいない。

まさに代表経験もある桑水流選手だからこそできるプレーである。

第6節は桑水流選手が見せてくれた低さの部分も意識してみてみると、また違った目線でボール争奪の局面を見られるかもしれない。

文:首藤甲子郎

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