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「話し合いから逃げると強くならない」バドミントン元日本代表・池田信太郎が実践したダブルス“ペア円満”の秘訣

2019年3月11日 17:10配信

 世界選手権で日本初のメダルを獲得し、北京とロンドンの両オリンピックに出場。そんな華々しい経歴を持つバドミントン元日本代表・池田信太郎さんだが、「学生時代は競技であまり活躍できなかった」と話す。実業団に所属して以降の急成長のきっかけとなったのは、ダブルスにおけるコミュニケーションの重要性に気づいたことだった。

 2015年に引退し、現在は外資系企業でコンサルタントとして活躍する池田さんは、競技で培った“コミュ力”が、引退後のビジネスの場でも大きな武器になっているという。陸上競技の元日本代表で、現在は「人間を理解する」ことをライフワークとする為末大さんが聞き手として、池田さんのコミュニケーション論を掘り下げる。

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試合中のエラーは「仕事のミス」と似ている

為末:池田さんは主にダブルスの選手でしたよね。

池田:そうですね。大学時代まではシングルスもやっていましたが、実業団に入ってからはずっとダブルスです。

為末:特にロンドン五輪に出場した潮田玲子選手とのペアは「イケシオ」として、メディアにもよく取り上げられていましたよね。ダブルスの試合を観ていて思うのですが、ふたりの選手がコートにいて「こっちに来たらこっちが取る」というような役割分担はあるんですか?

池田:その分担が悩ましいところで。例えば、クロスに来たものはなるべく(対角線上の)Aさんが返し、Bさんはストレートで来たものを絶対に外さない、といった基本的な役割はあります。対角にいる人の方が行動範囲が広いので。でも、「これはどっちだろう」みたいな判断が難しいパターンも当然あって、そういうときに一番、エラーが起きやすいんです。

為末:仕事でも似たような原因で起こるミスがありますよね(笑)。

池田:「どっちもできるけど、どっちがやるんだろう……」という場合ですね(笑)。そういうときに、取りに行くのがパートナーなのか自分なのか、共通認識ができているペアは強いです。

バドミントンというスポーツは、二手三手四手と先を読む力が得点につながります。例えばBさんは「この球はあっちに行ったからAさんが取る」と予想した上で、Aさんが打った瞬間に次の動きをする。AさんはそのBさんの動きをさらに予想して動く。その判断が速く、正確であるほど、勝ちやすいと言えるでしょう。逆に、この判断が遅かったり不正確だったりすると、試合になりません。

必要なのは相手に「任せる」こと

為末:予想とズレているときはどう修正するんですか?

池田:僕の場合、試合中は主にパートナーに合わせますが、明らかなミスは指摘することもあります。

為末:気が立っていて、ケンカになったりもしそうですね。

池田:それでケンカするようなペアではダメですね。一方が主張したら、もう一方がブラッシュアップする。そうするとやがてバチンと「ハマる」感覚になるんです。

為末:「ハマる」というのは…。

池田:自分の意図と、パートナーの意図と、自分の体の動きのメッセージと、ペアの落とす球の質……全部がハマったときに、自分たちの得点になる確率が高まる。それがストレスなくバチンバチンとハマっていくとき、連続得点になります。自分たちだけでなく、対戦相手にもリズムがありますから、それを圧倒するようにこちらのリズムを加速していかなければならない。

為末:そういうとき、コート上でペアは言葉を交わすんですか?

池田:良いリズムのときは会話はしませんね。会話をしていないけど息が合う、不思議な感覚です。まさに阿吽の呼吸というか。

為末:どうすればその状態に到達できるのでしょう。

池田:逆説的ですが、「任せる」ということだと思います。ただし、自分が何もしない、任せきりにする、ということではなくて。

ダブルスでは「自分が自分が」とプレーしても、ペアとの相乗効果なしには掛け算どころか、足し算にもなりません。「二人がひとつのシャトルを追う」となると、また「どっちもできるけど」となって、意外に迷いが生じるものです。この迷いが判断を遅らせ、エラーにつながります。

迷いを断ち切るためにも、最初から「この領域はあなたの方が動けるから任せる」と責任の範囲を明確にし、信頼する。とても勇気のいることですが、この関係が成立すると経験上、良いリズムが生まれます。

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