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フィギュアスケート

ISUグランプリ NHK杯2016年11月25日〜27日

大会概要

大会の見どころ
羽生結弦はジャンプの精度を取り戻し、ファイナル進出を決められるか(写真提供:Getty Images)

ISUグランプリシリーズ最終戦NHK杯が、今週25日(金)から北海道札幌市・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開催される。全6戦のGPシリーズのポイントレースで、各2戦の合計ポイント上位6選手がGPファイナルに進出する。

6戦目となる今大会前にファイナル出場を決めたのは、男子はハビエル・フェルナンデス(スペイン)、パトリック・チャン(カナダ)、宇野昌磨。女子はエフゲニア・メドベデワ(ロシア)、エレーナ・ラジオノワ(ロシア)、ケイトリン・オズモンド(カナダ)。

今大会出場男子の内、羽生結弦、ジェイソン・ブラウン(アメリカ)、アレクセイ・ビシェンコ(イスラエル)、ネイサン・チェン(アメリカ)、ミハイル・コリヤダ(ロシア)が、ファイナル進出残り3枠をかけて臨む。ポイントランキング4位の点数が低く大混戦となった女子は、アンナ・ポゴリラヤとマリア・ソツコワのロシア勢、宮原知子と樋口新葉ら日本勢を含む出場選手中7人に、残り3枠のファイナル進出の可能性がある。

GPシリーズは1995年からの歴史があり、北米・ヨーロッパ・アジア6大会の主催国それぞれのお国柄を感じられるオーガナイズも見どころとなっている。NHK杯では、海外からも絶大な人気を誇るNHKの公式キャラクター「どーもくん」一座の公演も見逃せない。体は重そうで可動域もまるでないどーもくんが、毎年、我が目を疑う熟達のスケーティングを披露している。

男子は、羽生とブラウンが今大会3位以上・ビシェンコが2位以上・チェンとコリヤダは優勝で、ポイントでのファイナル進出を決める。

羽生が今季からショートとフリーで構成するジャンプ4ループは、9月末の今季初戦ISUチャレンジャーシリーズ・オータムクラシック(カナダ)で世界初成功の認定を受けたものの、ジャンプ自体は羽生本来の精度には至っていない。昨季は、4回転でさえ出来映え点で満点を出すようになり、総合得点「330.43」というそれまで誰も想像だにしなかった地点に到達した。4ループは基礎点が12点で、昨季も構成していた4サルコウより1.5点・4トゥループより1.7点高いが、4回転ジャンプの出来映え点には7点もの上下幅がある(+3点〜-4点)。

昨季よりも高得点のジャンプ構成にしていても、精度が不十分であれば、ショートとフリーで計11回あるジャンプの合計点は伸びない。シリーズ1戦目となる10月末のスケートカナダでも、冒頭の4ループの失敗が後続のジャンプ精度にも影響し、世界記録である自己ベストから程遠い状態となったが、昨季はNHK杯から飛躍した。4ループを含むジャンプの精度を取り戻し、今年もかつてない景色を見せてくれることを期待したい。

今季序盤の台風の目になっているのがアメリカの新星、シニアGPシリーズ初参戦の17歳ネイサン・チェンだ。男子上位陣がショートとフリーで4回転を計5本、中国のボーヤン・ジンと羽生が計6本構成する中、チェンは計7本に挑む。ハイパー4回転時代の急先鋒のチェンだが、ジュニアの頃は目立ったジャンパーではなく、繋ぎで見せるバレエや体操仕込みの身のこなしの強さ美しさ、年少ならざるシブい魅せ方でジュニアトップ争いをしていた。ジャンプ力を急激に上げた昨季、左股関節の怪我で、母国開催の初出場となるはずだった世界選手権も出場辞退となった。その悔しさが今季の猛攻に繋がっているかのようだ。クラシカルな今季の演目では、バレエの様々な跳躍やターンの姿勢、関節の開き、四肢の伸び等、「正しいものは美しい」を信念とするバレエの魅力も氷上で見せてくれる。

シーズンベストが今大会出場選手中トップのブラウンは、評価の高い作品性に加え計2本の4回転が成功すれば、自身初のファイナル進出も狙える。28歳の昨季欧州選手権銀メダリストのビシェンコや昨季世界選手権4位のコリヤダは、4回転計3本の確実なジャンプ構成で技術面の精度を上げ、その完成度を演技構成点に結びつける。

現在のハイリスク&ハイリターンの戦況を逆手に取るようなこの3者と、時流の最前線で4回転を多数繰り出す羽生やチェンの勝負は、今後の男子シングルトップシーンを占う上でも興味深いものになるだろう。

他4人の海外勢も、エキシビション番長のカナダのエラジ・バルデをはじめ、ベテランから若手までエンターテイナーが集結した。日本からは、羽生の同期で幼少から切磋琢磨してきた2人の戦友、田中刑事と日野龍樹が出場する。初めて、シニアの国際試合でこの3人が顔を揃える。しかも、日本人選手にとっては憧れの大会、NHK杯。長くフィギュアスケートを応援してきた日本のファンにとっても、今大会は感動的な舞台が用意されている。

女子では、ポゴリラヤが今大会4位以上、ソツコワが3位以上、宮原と樋口が2位以上で、ポイントでのファイナル進出を決める。近年の女子ジュニアは、ロシアVS日本の抗争が続いている。この4選手も、ジュニアの頃からロシアと日本を代表し覇権を争ってきた。

4選手共に、現在の女子最高得点のジャンプ「3ルッツからの3回転+3回転」コンビネーションを武器としている名ジャンパーであるが、シリーズ1戦目ではそれぞれジャンプで減点を受けた。ジャンプ構成で差のつかない女子シングルトップシーンは、ジャンプで失敗した者が脱落する、過酷な戦場になっている。今大会は、ファイナルを目指す4選手に訪れた、今季最初の正念場。「失敗は許されない」そのプレッシャーに打ち克ち、シビれるメンタル勝負でも魅せてほしい。

ジャンプの得失点と共に、女子上位陣の明暗を分けるのが演技構成点となる。同い年の18歳ポゴリラヤと宮原は、昨季世界選手権ではショートとフリーの合計でポゴリラヤが宮原を2.46点上回っている。共にシニア初参戦、16歳・15歳のソツコワ・樋口は、昨季世界ジュニア選手権ではソツコワが2.95点上回っていたが、シリーズ1戦目フランス杯では樋口が2.91点上回った。3回転ジャンプ1本の転倒にも相当するこの小さくない差が、今大会でどう変化するか。ジャッジの評価点である演技構成点は、技術点とは違い即座に逆転出来ない。ピョンチャン五輪を見据える上でも、キーポイントの一戦になるだろう。

海外勢では、女子シングルを長い間彩ってきた長洲未来(アメリカ)、成長著しい若手も集い、日本からはシニア初参戦の松田悠良も出場する。松田は、3連続コンビネーション「2アクセル+3トゥループ+3ループ」等独自のジャンプを持ち、気品がある表現でも優美に魅せる。3季連続となるショートの映画『ピアノレッスン』は、ブラウンもフリーで使用する『The Scent of Love』に始まりピアノレッスンのテーマで終わる、シネフィルも楽しめる演目となっている。宇野や村上佳菜子らと共に松田も担当するコーチ兼振付師、樋口美穂子の煌びやかなファッションも、毎試合フィギュアスケートファンの目を楽しませている。

カップル競技では、ペア現世界王者デュハメル/ラドフォード組(カナダ)、アイスダンス現世界王者パパダキス/シゼロン組(フランス)・世界王者カッペリーニ/ラノッテ組(イタリア)・五輪王者ヴァーチュー/モイア組(カナダ)らも一堂に会する。日本からはペア全日本王者の須藤澄玲/フランシス・ブードロ・オデ組、アイスダンス全日本王者の村元哉中/クリス・リード組とNHK杯3年連続出場の平井絵己/マリオン・デ・ラ・アソンション組が出場する。これらのファン垂涎の世界最高峰の戦いも、全演技生中継される。このNHK杯がカップル競技の魅力も広く伝えるものになってほしい。

文:Pigeon Post 島津愛子

歴代優勝者
男子 女子
2016 羽生 結弦 アンナ・ポゴリラヤ
2015 羽生 結弦 宮原 知子
2014 村上 大介 グレイシー・ゴールド
2013 高橋 大輔 浅田 真央
2012 羽生 結弦 浅田 真央
2011 高橋 大輔 鈴木 明子
2010 高橋 大輔 カロリーナ・コストナー
2009 ブライアン・ジュベール 安藤 美姫
2008 織田 信成 浅田 真央
2007 高橋 大輔 カロリーナ・コストナー
2006 高橋 大輔 浅田 真央

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