コラム
【NHK杯】男子FSレビュー/試合後コメント
ISUグランプリシリーズ・NHK杯(北海道札幌市・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)男子FSは、GPファイナル4連覇を目指す羽生が3度目のNHK杯優勝を飾った。今季男子シングル初のSP100点台をマークした昨日に続き、今日も総合で300点超えの銀河点を出した。シニア初参戦のネイサン・チェンは2位でGPファイナル初出場を決め、GPシリーズ3シーズン目の田中刑事が初の表彰台に上った。日野龍樹は9位。来月8日(木)からフランス・マルセイユで開催されるGPファイナルには、2名に加え、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、パトリック・チャン(カナダ)、日本からは宇野昌磨が、アメリカからはチェンとポイント数では並ぶアダム・リッポンが出場する。
羽生は、「もうちょっと」のNHK杯となった。4ループがまだ羽生本来の精度ではなく、FSでは後半の4サルコウ+3トゥループで転倒した。しかしその失敗を補って余りある、数多の高難度ジャンプが炸裂する技術点の強さ、9点台を揃える演技構成点の高さを改めて感じさせた(FS得点:197.58|技術点:106.06|演技構成点:92.52|転倒での減点-1.0 総合得点:301.47)。
チェンのNHK杯での7本の4回転で加点がついたのは、2本のみだった。それでもFSと総合の自己ベストを更新し、ハイパー4回転時代の潮流を感じさせた(FS得点:180.97|技術点:97.91|演技構成点:84.06|転倒での減点-1.0 総合得点:268.91)。羽生はチェンに「自分のジャンプにも自信を与えてくれる」と讃え、チェンは羽生に「最高難度のジャンプを決めながら演技を楽しんでいる」と敬った。
田中は今大会で日本男子パフォーマーの系譜に名を連ねただろう。SPではピアソラのタンゴを踊りで描写し、FSはフェデリコ・フェリーニの映画メドレーでの芝居も光った。FSの2本の4サルコウの回転は満たし、総合得点では、トップスケーターの指標として男子選手が目指す「250点台」目前まで、自己ベストを一挙に引き上げた(FS得点:167.95|技術点:87.79|演技構成点:80.16 総合得点:248.44)。
日野はジャンプにミスは出たが、SP同様にフィギュアスケートを見せるよろこびが演技にあふれていた。来月22日から開催される全日本選手権でも、楽しみな存在として全国に名を馳せただろう(FS得点:134.65|技術点:66.37|演技構成点:69.28|転倒での減点-1.0総合得点:207.15)。
以下、日本人3選手のコメント
羽生:お客さんを意識することが自分の中では挑戦。その最初の挑戦の舞台が日本でよかった。今日は悔しさ4割、ほっとした4割、楽しさ2割。GP1戦目後、ブライアン(オーサーコーチ)と自分のスケートの考え方を話し合い、4年目にしてより垣根のない関係となってきた。ピークではなく、アベレージをあげたい。どんな試合でも勝ちたいし、良い演技をしたいし、楽しみたいし、皆さんとコネクトしたい。そこを目指して練習していきたい。
田中:緊張感が大きかったが、リンクに入ると切り替えることが出来た。緊張感を力に変えた。FSで4回転を2本入れる目標は達成したが、まだまだプラスがもらえる状態ではないので、それが今後の課題。全日本に向けて、今回良かった点を続けていきたいし、悪かった点は修正していきたい。今以上の演技を続けていきたい。まずは一歩を踏むことが出来た。
日野:課題が見つかった大会であり、現実を突きつけられた部分もある大会だった。課題はスピード。自分を底上げしたい。4トゥループは、全日本まで1ヶ月はあるので間の大会で入れてみて、そこまでの完成具合を見て、現実的に考えたい。FSで一発は4トゥループを入れたい。
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