コラム
【GPファイナル】男子FSレビュー/羽生が史上初4連覇!フリー3位も逃げ切る
ISUグランプリファイナル(フランス・マルセイユ)男子FSは、FS3位の羽生結弦がSP首位のリードで逃げ切り、男女シングル初の4連覇を成し遂げた。若手の2人、アメリカのネイサン・チェンと宇野昌磨は、自己ベストを更新するFS1位と2位の演技でベテラン勢をかわした。チェンはGPファイナル初出場で銀メダル、宇野は2年連続で銅メダルに輝いた。
チェンが4回転を4本決め、その演技の高得点がコールされた後、羽生の出番となった。演技前半の4ループ、4サルコウ、3フリップまでは好調だったが、後半の4サルコウ+3トゥループの4サルコウでの転倒から崩れていった。4トゥループも羽生本来の精度で決まらず、3アクセル+3トゥループでは持ち直すが、3アクセル+1ループ+3サルコウの3サルコウが2回転、最後の3ルッツも1回転になった(FS得点:187.37|技術点:96.01|演技構成点:92.36|転倒での減点-1.0 総合得点:293.90)。英語の優勝インタビューでは会場に集ったファンに感謝し、4連覇達成をよろこんだ。
チェンの4回転は、大一番で初めて完全に放たれた。後半の5本目となる4回転は減らしたが、前半4本の4回転を高精度に決め、技術点で今季の羽生(106.06)やハビエル・フェルナンデス(105.73)の最高得点を大きく上回る113.13点をマーク。NHK杯で出したFSの自己ベストを16.58点押し上げ、200点台も間近となった。「得意分野」と語るクラシックの演目では、4本の4回転で体力を消耗した後にも、バレエの正しいラインを見せ続ける気概も魅せた。総合でも自己ベストを更新し280点台に乗せ、シニア初参戦のシーズンでトップ集団に加わる、飛躍の大会となった(FS得点:197.55|技術点:113.13|演技構成点:84.42 総合得点:282.85)。
宇野の演技は1番滑走で会場を総立ちにさせた。振付師の樋口コーチも見惚れていた。3本の4回転を降り、女性の歌唱とタンゴで競演するような後半、3アクセル+1ループ+3フリップでは作品にハイライトを与え、17.59点を生み出した。クリムキンイーグルのフィナーレを待っていた会場は沸き上がった。前大会で出したFSの自己ベストを5.37点伸ばし、チェン同様FS200点台も見えてきた(FS得点:195.69|技術点:104.75|演技構成点:90.94 総合得点:282.51)。
ベテランの2人、スペインのハビエル・フェルナンデスとカナダのパトリック・チャンは不調の羽生の後に滑り、優勝を意識したのかジャンプの失敗が多く4位、5位となった。6位のアメリカのアダム・リッポンは、ジャンプを決められなかったが、新しいフィギュアスケートのダンスで爪痕を残した。
2週間後の全日本選手権で、羽生は5連覇、宇野は初優勝を目指す。チャンとアメリカ勢は1月の国内選手権後、2月の四大陸選手権で日本勢との再戦を迎える。ピョンチャン五輪テストイベントである四大陸選手権では、中国の若きジャンプ工芸師ボーヤン・ジンらも揃い、熱狂の一戦が期待される。
文:Pigeon Post 島津愛子
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