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【全日本選手権】男子FSレビュー/宇野が初優勝 残る代表1枠は?

 2016年12月25日 13:24配信

宇野昌磨(写真提供:Getty Images)

全日本フィギュアスケート選手権(大阪府門真市・東和薬品RACTABドーム)男子FSは、FSで逆転した宇野昌磨が初優勝。SP3位の田中刑事は、SP首位の無良崇人をFSで上回り、初の全日本表彰台となる銀メダルに輝いた。前大会銅メダリストの無良崇人は、2年連続の銅メダル。全日本ジュニア選手権優勝者の5位友野一希、近畿ブロックと今大会で今季2回200点台に乗せた6位中村優、世界ジュニア選手権を目指す7位島田高志郎ら、伸びしろのある若手が日本男子トップシーンに一挙に押し寄せ、活気のある大会となった。

最終滑走の宇野は、前滑走者の無良が田中に抜かれ2位になったコールを受け、演技を開始した。ジャンプが着氷で不安定ながらも全て持ちこたえ、4フリップ、4トゥループ、後半の4トゥループと計3本の4回転を回り切り、計7本の3回転ジャンプを放った。後半には高得点のモンスタージャンプ「3アクセル+1ループ+3フリップ」で演技を引き締め、一番苦しい最終盤での一番苦しい姿勢、代名詞のクリムキンイーグルは今大会の男子シングルのフィナーレを飾った(FS得点:192.36|技術点:101.16|演技構成点:91.20 総合得点:280.41)。

演技直後、死力を尽くした宇野の目には涙が光った。全日本の初タイトルを取った今大会は、SP・FS共に満足な演技ではなかった。だが、宇野の折れない心こそが、技術面芸術面であらゆる武器を揃える宇野の、最強の武器であると感じさせた。

田中刑事(写真提供:Getty Images)

田中はついに、無良をしのいだ。日本男子にとって大きな時代の転換点となる、その瞬間を目の当たりにした会場は、衝撃、興奮、悲喜、えも言われぬ空気に包まれていた。ISU・グランプリシリーズ初の表彰台に上ったNHK杯では舞踊も芝居も魅せ、日本男子パフォーマーの系譜に名を連ね、世界に顔を売った。今大会はSP・FS共に課題の4サルコウが不完全ではあったが、日本男子を引っ張っていける、その風格が発露した全日本だった(FS得点:163.70|技術点:81.34|演技構成点:82.36 総合得点:249.38)。

SP首位の無良は、後半の3アクセルと3ルッツが回転数を満たさず、大きな失点となった。しかし気迫は衰えず、フィギュアスケート定番曲で勝負曲『ピアノ協奏曲第2番(ラフマニノフ)』の魅せ場のステップでは、パワームーブを見せようと力を振り絞った(FS得点:151.77|技術点:68.05|演技構成点:83.72 総合得点:242.11)。無良は常に日本男子全体のことを考える、アニキな選手。「ソチ五輪代表を決める全日本男子を、最高に盛り上がる状況にしたい」と熱く語っていた。ピョンチャン五輪に向け、この彼自身の正念場は望むところかもしれない。

4位には日野龍樹が、自身の全日本最高位で入った(FS得点:151.66|技術点:75.74|演技構成点:76.92 総合得点:230.31)。FS『キダム』は、シルク・ドゥ・ソレイユの核心的な演目のひとつ。自我を解き放ち、自由をテーマにする。日野自身が編曲したという演目では、『キダム』冒頭の、一瞬で何もかもが浮き上がる名シーン、自分を見出す結びまで、完全に映し出されている。大学4年生で今後の去就が注目される中、現役続行を誓った日野は、「殻を破りたい」との自身の想いを込めたこの演目で、男子トップシーンへの道を駆け上がっていくだろう。

今大会の結果、宇野の世界選手権代表が内定した。インフルエンザで大会前日に棄権した羽生結弦は、四大陸選手権や世界選手権代表の条件を備えている。今後の国際試合に派遣される日本代表は、25日(日)21時10分から行われる、全日本恒例の氷上セレモニーで正式に決定する。

文:Pigeon Post 島津愛子

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