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【NHK杯】男子SPレビュー/羽生無念の欠場 ブラウンは手書きの激励メッセージ

 2017年11月11日 10:27配信

ブラウンはキスアンドクライで、羽生に向けて激励のメッセージを送った。(写真:Getty Images)

ISU・GP(グランプリ)シリーズ第4戦NHK杯(大阪府・大阪市中央体育館)男子SPは、羽生結弦が試合前日の怪我(右足関節外側靱帯損傷)で直前に欠場する波乱の中、ベテランが躍動した。30歳のセルゲイ・ヴォロノフ(ロシア)と29歳のアレクセイ・ビシェンコ(イスラエル)が共に自己ベストに迫る得点で1位(SP得点90.06|技術点49.18|演技構成点40.88)、2位(85.52|技術点45.84|演技構成点39.68)の好発進。

GPファイナル進出の期待がかかるアメリカ男子の2人、ジェイソン・ブラウンとアダム・リッポンが僅差の3位(85.36|技術点40.58|演技構成点44.78)、4位(84.95|技術点43.16|演技構成点41.79)で続いた。日本が誇るショーマン、友野一希と佐藤洸彬も共にGPデビュー、NHK杯初出場で自己ベストを更新し6位(79.88|技術点43.80|演技構成点36.08)、10位(75.95|技術点40.56|演技構成点35.39)。

現在の男子シングルには、2つの“リーグ”が存在する。上位リーグでは、4回転を数種類持つマルチ4回転ジャンパーかつ、ジャッジの評価点である演技構成点でアドバンテージを持つ、世界6強が混戦している。その内の2人、羽生とパトリック・チャン(カナダ)の欠場により、今大会の男子は、まるでソチ五輪シーズン頃の戦いを見るようだった。当時は1種類の4回転で、その4回転を計3本(SPで1本、FSで2本)決めることが表彰台争いの条件だった。また、3回転ジャンパーが完璧な演技をすれば、4回転ジャンパーの少しのミスで上回る勝機もあった。

SPでは、4回転ジャンパーであるヴォロノフとビシェンコがノーミスの演技を見せた。実績と自己ベストで両者をしのぐ3回転ジャンパーのブラウンとリッポンは、それぞれダンスで魅了したがジャンプにミスがあり、1位ヴォロノフには約5点離されて折り返した。

SPでの演技構成点からすれば、FSではブラウンが、リッポンに対し約6点、ヴォロノフに8点、ビシェンコに10点のアドバンテージを持ち、GP初戦で挑み回転不足の転倒で7.5点を失った4トゥループをどうするかにも注目が集まる。同時に、リッポンもシーズン初戦で回転不足の転倒となった4ルッツを投じるか。男子FSで計8回あるジャンプは、その加点を着実に積み重ねることで、4回転1~2本程度の点差は補える。FSは、頭脳戦としてもおもしろい展開になっている。

SPトップ3による会見で、ヴォロノフは年齢について聞かれ、「ロシアでは、ベテランはリスペクトされています。30歳は“人生これから”という時。一番大切なのは、自分のやっていることに愛情を持つこと。好きこそ物の上手なれです」と答えた。年明けに三十路を迎えるビシェンコも、「年齢はただの数字。競技は年齢に関わらず、氷上でいかに演技するかにかかっています」と続けた。

男子FS最終グループの1番滑走はリッポン、2番キーガン・メッシング(カナダ、SP5位)、3番友野、4番ヴォロノフ、5番ビシェンコ、最終滑走はブラウンとなった。佐藤は2番滑走。ブラウンは優勝でGPファイナルに進出する。

ブラウンはSPのキスアンドクライで、羽生に向け手書きで「ゆずるさんへ はやくよくなってください!!(原文ママ)」とメッセージを寄せ、「医師の最終判断」で欠場となった羽生は年末の全日本選手権での健闘を誓った。

文:Pigeon Post 島津愛子

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