コラム
【NHK杯】男子FSレビュー/30歳ヴォロノフGP初優勝 友野と佐藤は全日本に向けアピール
ISU・GP(グランプリ)シリーズ第4戦NHK杯(大阪府・大阪市中央体育館)男子FSは、SP首位のセルゲイ・ヴォロノフ(ロシア)が大きく自己ベストを更新する1位、GP参戦11シーズン目の30歳で初優勝。28歳の昨季GPファイナリスト、アダム・リッポン(アメリカ)がSP4位からFS2位でシリーズ初戦2位スタート。29歳のアレクセイ・ビシェンコ(イスラエル)がSP2位・FS3位で3位に入った。ベテランの3選手は共に2戦目を控え、GPファイナル出場に向け前進した。
5点差の僅差で並んだヴォロノフ、ビシェンコ、SP3位のジェイソン・ブラウン(アメリカ)とリッポンによる、4回転とプログラムの完成度を巡る戦いは、手に汗握る好勝負となった。
28歳の誕生日に先陣を切って登場したリッポンは、高難度の4回転である4ルッツに挑んだ。その4ルッツは回転不足で失点となったが、それ以外のジャンプ、最高評価のレベル4で揃えたスピン・ステップを全て加点つきで高精度に仕上げた。「傷ついた鳥が舞い上がるまで」というストーリーも、アメリカの著名ダンサーであるベンジー・シュウィマーとリッポン本人がコンテンポラリーダンスとフィギュアスケートのそれぞれの技を織り込み、融合させたコンポジション(振付や演目構成)も、全てがオリジナルだった。観客を魅入らせたリッポンは、跳び上がってよろこぶ(FS得点:177.04|技術点:91.46|演技構成点:85.58|総合得点:261.99)。
次に現れたヴォロノフは、会場の全てを自分の世界に染め上げ、のみ込んでいく。2本の4回転を回り切ってリッポンを技術点で上回り、演技後はSP・FS共に観客の声援をアツく讃えた。演技構成点でもリッポンをしのぎ、実に30歳にして総合自己ベストを約20点押し上げ、暫定1位に立つ(FS得点:181.06|技術点:94.34|演技構成点:86.72|総合得点:271.12)。
続くビシェンコは4回転2本を決めるも他のジャンプにミスが出てリッポンに次ぐ3位。技術の向上をモチベーションに、競技への情熱はなお高まっていると語るビシェンコは、結果というよりも努力精進とその達成感のよろこびを味わっているようだった。
最終滑走、初優勝の期待を背負ったブラウンは、4回転を回避し3回転のジャンプ構成で完成度を狙うも、その3回転にミスが出た。FS4位、総合4位に終わったが、その踊り、羽生を気遣ったそのやさしさで、今大会でさらに多くのファンの心を掴んだだろう。
SP6位の友野一希はFS7位で7位、SP10位の佐藤洸彬はFS11位で11位。共にSPとFSで4回転計3本に挑み、総合の自己ベストを更新。エンタテイメント性を強く打ち出すパフォーマンスは世界の舞台でも輝いた。
ジャンプ構成では、五輪代表を争う田中刑事と無良崇人に並ぶ両者。五輪代表選考に関わる世界ランクやシーズンベストは、条件である「日本男子トップ3」には届かないが、年末の全日本選手権で表彰台に上れば代表候補となる。ショーマン2人が、代表レース最終局面の全日本に向けてもその存在感を増した今大会となった。
シリーズ第5戦フランス杯には、日本勢はスケートカナダ優勝の宇野昌磨が、海外勢は中国杯6位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)、中国杯3位のマックス・アーロン(アメリカ)、今大会3位のビシェンコ、スケートカナダ3位のアレクサンドル・サマリン(ロシア)、デニス・テン(カザフスタン)らが出場。シリーズ各2戦の合計ポイント上位6選手(組)が12月のGPファイナル(名古屋)に進出する。宇野の自力出場は3位以上で確定する。
文:Pigeon Post 島津愛子
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