フィギュアスケート

コラム

【GPフランス杯】男子レビュー/宇野、3年連続ファイナル進出 フェルナンデス優勝

 2017年11月19日 13:01配信

宇野は2度のジャンプ転倒も2位(写真:Getty Images)

ISU・GPシリーズ第5戦フランス杯(グルノーブル)男子は、SP首位のハビエル・フェルナンデスが100点超えの自己ベストに迫るSPのリードを守り、FS2位で優勝(総合:283.71|SP:107.86|FS:175.85)。インフルエンザ明けの宇野昌磨は、SP・FS共にジャンプの転倒があり総合2位(SP2位・FS1位)に終わったが、3年連続となるGPファイナル進出を決めた(総合:273.32|SP:93.92|FS:179.40)。

3位(SP6位・FS3位)のミーシャ・ジー(ウズベキスタン)は、昨季世界選手権から出場した試合全てで自己ベストを更新し、初のGP表彰台に輝いた(総合:258.34|SP:85.41|FS:172.93)。

フェルナンデスはFSで2転倒となったが、胃腸不良で6位に沈んだ中国杯から立て直してみせた。スピン・ステップを最高評価で揃え、SPとFSで計4本の4回転を加点つきで成功させた。技巧と芝居で魅せて愛情で包むチャップリンのSPは、演技構成点の5項目の1つ「パフォーマンス」にジャッジ9人中3人が10点満点をつけた。4年連続となるファイナル進出の可能性はほぼないが、欧州選手権6連覇、そして3度目の五輪本番に向けて弾みをつける今大会になっただろう。

宇野は今季すでに羽生に次ぐ史上2位の自己ベストをマークし、GP1戦目スケートカナダでも300点台を出している。コンディションの伴わない今大会でもジャンプ構成を落とさず、SPでは後半の4トゥループ+3トゥループを決め、FSでは今年2月から組み込んでいる新技4ループの精度を見せつけた。ギアチェンジがかかるであろうファイナルでは、初優勝の期待も高まる。

優勝はフェルナンデス、3位はミーシャ・ジー(写真:Getty Images)

今大会では、4回転はないもののエンターテイナーとして輝き続けるミーシャ・ジーが、26歳にしてついに主要大会の表彰台に立った。この数シーズンは振付師としても活躍し、自身の振付はもとよりトップ選手の競技プログラムも振り付けている。人々の願いを受け、昨季限りでの引退の予定を覆して五輪シーズンに挑む今季、あらゆるダンスを踊りこなすジーが選んだのは、リリカルダンスだ。コンテンポラリーダンス(抽象的な体のライン)よりもクラシックバレエのラインを出し、かつ一挙手一投足にはより意味を持たせるという、陸上でも高難度であり先鋭的なダンスとなる。

髭をたくわえて演じるSPは、2014-15シーズンの自身振付による人気作『Ave Maria』。受難に抗い、祈りを込めるフィニッシュまで、人間の業があまりにも美しく魅せられていく。完璧にコントロールされたダンスのように、3アクセルを含むジャンプ、スピン・ステップも決めてSP自己ベストを更新。

FS『タイスの瞑想曲』では、たゆたう音楽を肉体で描き出す。ダンスでは、“緩み”を出すほど技術やフィジカルが要り、困難となる。フィギュアスケート競技の中で、3~4mmの刃に乗って氷を滑りながら、このたおやかさを生み出すのに、どれほどの情熱が込められているのだろう。一転、魂を弾けさせるフィナーレのコレオシークエンスは、満点の評価を受けた。最後にもう一度優美な世界を魅せ、総立ちの会場の中で嚙み締めるように右の拳を握った。

シニアに上がりたての頃はリアクションの大きかったジーが、初めて上ったGPの表彰台でも、穏やかな笑顔を浮かべて感慨深く国旗を眺めている。人間の成長まで見せてもらった、フィギュアスケートファンには忘れえぬ大会になっただろう。

シリーズ第6戦スケートアメリカには、日本勢は無良崇人が、海外勢はロシア杯優勝のネイサン・チェン(アメリカ)、中国杯2位のボーヤン・ジン(中国)、NHK杯優勝のセルゲイ・ヴォロノフ(ロシア)、NHK杯2位のアダム・リッポン(アメリカ)らが出場する。チェンとヴォロノフは4位以上で、ジンとリッポンは3位以上で、ファイナル自力進出となる。GPファイナルは名古屋で開催され(12月7〜9日、日本ガイシホール)、今大会までにミハイル・コリヤダ(ロシア)も進出を決めている。

文:Pigeon Post 島津愛子

コラム一覧に戻る

トピックス

トピックス