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【全日本選手権】女子FSレビュー/宮原4連覇で五輪内定「心の底からガッツポーズできた」

 2017年12月24日 12:42配信

大一番を制して五輪出場を決めた宮原知子。(写真:Getty Images)

最終グループの一つ前に滑った三原舞依の圧巻の滑りから、平昌五輪代表の座を巡る最後の闘いの火ぶたが切られた。

平昌五輪代表の最終選考会を兼ねるフィギュアスケートの全日本選手権、23日は女子フリーが行われた。最終グループの最初に滑った樋口新葉は、評価の高いプログラム「007スカイフォール」でスパイに扮し迫力ある滑りを見せたが、中盤に予定していた3回転サルコウが2回転になってしまう。大きなミスではないものの、全体の完成度を損なったことは否めない。

2番滑走は、年齢制限により平昌五輪には出られない紀平梨花。トリプルアクセル-3回転トゥループのコンビネーションと単発のトリプルアクセルを続けて決め、代表選考に伴う息苦しい緊迫感に爽快さをもたらす滑りを見せる。3番目に登場した本田真凜は、後半に二つの3回転ジャンプが2回転になってしまった。感極まった表情で演技を終える。

大声援の中、4番滑走の宮原知子が演技を開始。「蝶々夫人」の曲に乗り、ジャンプを一つずつ確実に決めていく。ジャンプ以外の部分でも、日本女性のたおやかさを端正なスケーティングで見事に表現する。大きなミスなく滑り終えた宮原はガッツポーズ。キスアンドクライでは手でハートマークを作り感謝の気持ちを表した。

5番目に滑るのは本郷理華。二回転倒したが、演技後にはすっきりした表情を見せた。

そして最終滑走は、ショートプログラム1位の坂本花織。6分練習から表情が硬かったが、五輪代表選考が懸かった全日本選手権の最終滑走という大きな重圧に負けない滑りを見せた。冒頭のコンビネーションジャンプが少し危なかったものの残りのジャンプを次々と決めていき、五輪シーズンの全日本を見事に締め括った。

五輪2枠目は2位入った坂本花織(左)か、選考基準を満たす樋口新葉か。(写真:Getty Images)

宮原は、優勝したことで平昌五輪代表に内定。宮原を教える濱田美栄コーチは、怪我からの復帰を目指した日々を振り返り、涙を見せた。

「初めて出会った時本当にどんくさい子で、オリンピックに行ける選手になると思っていなかった。ひたむきにすごく練習するので、それに引っ張られてここまで来た」

宮原は「今日のフリーは、今の自分の力を本当にすべて出し切れたので、とてもうれしいです」と晴れやかだった。「ショートで自分の納得いく演技ができなくて『せっかくここまで頑張ってきたのに、こんなところでうろうろしていられない』という気持ちがあった。絶対にフリーではやってきたことをしっかり出したいという強い気持ちが上手く演技につながったから、今回すごくいい演技ができたのかなと思います」。

いつも控えめな宮原のガッツポーズには、万感の思いが込められていた。

「今回は今までと違って、本当に心の底からガッツポーズできたなと思っていて。完璧とまではいかない演技だったかもしれないですけど、それでも今の自分の中では本当にいい演技ができたので『ここではガッツポーズするしかない』と思って、思わずやりました」。

ショート首位、最終滑走者という二重の重圧に耐えて滑り切った坂本が総合2位。演技前の強張った表情がようやく緩み、いつもの元気を取り戻した坂本は「とりあえず全部出し切れたので、よかった」と笑った。「しんどかった、もう疲れて、本当によくやり切ったなって思いました」。練習で自信を持って試合に臨めるようになったことが大きな変化だという。

「それまではオリンピックのこととかもなんとなく考えていたんですけど、全日本になったら『今この全日本っていう試合を頑張ろう』と思いました」。

「最終滑走というのが本当に緊張のもとになってしまった」という坂本を支えたのは、中野園子コーチの言葉だったという。「先生が『花織はできる』と言って送り出してくれたので、それで大分ベストに近い演技ができたのかなと思います」。

中野コーチは、かけた言葉通り見事に滑り切った教え子を「よくやった」と迎えたという。「トリ(最終滑走者)はきついので、やっぱり。(最後の)24番というのはとても精神力がいるんじゃないかなと思いましたけど、よく頑張って滑ったと思います」。

総合3位に入ったのは、最終グループで平昌を目指し火花を散らすお姉さんスケーター達に遜色ない滑りを見せた紀平だった。「今回の演技では練習の成果が一番出たなと思ったので、次につながるいい演技ができた」と振り返る。

「去年は全日本選手権にさえも出られなかったので、そういうところでもすごく気合いは入っていた。今シーズンはいい演技が続いていたので、そういうイメージでできてよかったなと思います。これからこういう大きな舞台で闘っていく上でもいい経験になったなと思うし、本当にうれしいです」。

平昌五輪シーズンの全日本選手権もまた、日本女子の名勝負が繰り広げられた。総合の順位は、4位樋口、5位三原、6位本郷、7位本田。平昌五輪代表の2人目は、全日本2位の坂本か、今季グランプリファイナルに進出し選考基準の諸条件を満たす樋口か。代表選手は24日、男子フリー終了後の午後10時半に発表される。

文:沢田聡子

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