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【世界選手権】男子レビュー/宇野は痛みに耐えて銀、友野が大躍進の5位!チェンが平昌の雪辱を果たす

 2018年3月26日 11:15配信

歴代2位の高得点をマークしたチェン(写真:Getty Images)

 2018年ミラノ世界選手権男子は、平昌オリンピックに出場したトップ選手、ベテラン勢の多くが欠場した。右足首の治療に専念することになった羽生結弦、そしてハビエル・フェルナンデス、パトリック・チャンら、過去の世界チャンピオンが全員不在の中で、若手たちの中から新チャンピオンが誕生することになった。

 オリンピックの疲れが残っている選手も多い中、タイトルをつかんだのはアメリカの18歳、ネイサン・チェンだった。SPではノーミスで101.94を出し、フリーでは6度の4回転に挑んで5本をきれいに着氷。総合321.40という歴代2位の高得点を出して、アメリカの男子としては2009年のエヴァン・ライサチェク以来となる優勝を決めた。平昌オリンピックでは団体戦、個人戦ともにSPの失敗が重なり、表彰台を逃した雪辱を果たした。

「この大会で良い演技ができて、本当に嬉しい。フリー以外はうまくいかなかった平昌オリンピックでは多くのことを学びました。アメリカの代表としてここに出て、優勝できたことを誇りに思います」と会見で嬉しそうに語ったチェンだった。

宇野は痛みに耐えて2年連続の銀メダルを獲得(写真:Getty Images)

 宇野昌磨は、オリンピック直後に変えた靴が合わずに右足の甲に痛みを生じ、公式練習から苦戦しながらも総合2位という結果を出した。SPでは、難易度を下げたコンビネーションジャンプでもたつき、94.26で5位のスタート。

 フリーでは、冒頭の4ループ、そして4フリップで連続転倒。後半でも4トウループで転倒と苦戦したものの、立て直して最後の3つのジャンプエレメンツ、4+2トウループ、3アクセル+1ループ+3フリップなどポイントの大きな技を決めて、フリー179.51、総合273.77で2年連続となる銀メダルを手にした。

「ショート、フリープログラムとも、自分のベストな演技ができなかったんですけれども、最後まであきらめないという気持ちがこういう結果につながったんじゃないかなと思います」メダリスト会見でそう語った宇野。絶不調だったとはいえ、この大会の日本のエースとしての役割を立派に果たした。

 3位はSPでノーミスの演技で100.08を出し、総合272.32を得たロシアのミハイル・コリヤダだった。フリーでは2度の転倒があったものの、持ち前のスケーティングの質の高さなどで高い5コンポーネンツを得て、初の世界選手権のメダルを手にした。

「特にショートに関しては、とても良かったと思っています。2011年以降、ロシアの男子は表彰台に上がっていなかったので、特に自分がそれを成し遂げられたことを嬉しく思っています」そうコリアダが述べたように、ロシア男子の世界選手権表彰台は、2011年モスクワ世界選手権でアルトゥール・ガチンスキーが3位に入って以来のことだ。

自己ベストで5位に滑り込んだ友野(写真:Getty Images)

 初挑戦で、予想以上に健闘したのは19歳の友野一希だった。SPでは、4サルコウ、3フリップ+3トウループ、3アクセルとノーミスで滑り切ると、緊張がほどけたのだろう、演技後に涙ぐんだ。フリーの「ウエストサイドストーリー」では、2度の4サルコウと2度の3アクセルを含むプログラムをはつらつと最後までノーミスで滑り切り、173.50でサプライズのフリー3位という好成績。

「フリーは失うものが何もないので、自分を思い切って出そうと、楽しんで滑ることができました」と演技後、さわやかな表情で語った友野。来年の日本男子の世界選手権出場3枠をキープするには、上位2名の成績が合計13以内というルールがあり、羽生結弦不在の中でそれが可能かどうか懸念する声もあった。だが友野が総合5位という素晴らしい成績を出したことにより、宇野の2位と合わせて無事に3枠を維持することになった。

 田中刑事は、現地に入ってから新しくしたばかりの靴が壊れるという不運に見舞われ、それでも精いっぱいの演技を見せて総合13位になった。

 この大会ではオリンピックの疲れからなのか、不調な演技の選手も少なくなかった。中でも中国のボーヤン・ジンはフリーで5回転倒という、考えられない演技で総合19位という結果に。またSP3位だったアメリカのヴィンセント・ジョウは、フリーでやはり3回転倒があり、総合で14位まで順位を下げた。

 多くのドラマと波乱に満ちた、ミラノ世界選手権男子の戦いだった。

文:田村明子

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