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【GPスケートアメリカ】男子レビュー/チェン、新ルールに適応し圧巻の強さで初戦V!

 2018年10月21日 17:27配信

自らの成長を新ルールに適応させ、初戦を勝利で飾ったチェン(写真:Getty Images)

“4回転時代の申し子”ともいわれる昨季の世界選手権王者、ネイサン・チェンは、ルール改正にも見事に対応する強さを見せた。表彰台の真ん中に立ったチェンは、「演技の完成度を高めてほしい」というルール改正の意図をしっかりと読み取っている。

平昌五輪後に改正されたルールで行われる初めてのグランプリシリーズの試合となったスケートアメリカ。 スケートアメリカの男子シングルを見る限り、ルール改正後の採点では、ジャンプはただ跳ぶだけではなく完成度の高いものを成功させないと高得点は望めないようだ。

ショートプログラムで、チェンとヴィンセント・ジョウが明暗を分けたのは象徴的だった。二人は同じアメリカの選手で、ジョウは多種多数の4回転を跳ぶチェンを追うように4回転ジャンパーに成長、平昌五輪でも6位に入っている。このショートでも、ジョウはルッツとフリップという高難度の4回転に挑戦。しかし、4回転2本に加え3回転アクセルでも回転不足をとられ、ジャンプの出来栄え点はすべてマイナス評価となり6位と出遅れてしまう。対してチェンの構成は、4回転はフリップの1本のみ。これは回転不足と判定されたが、他の2つのジャンプ、3回転アクセルと3回転ルッツ―3回転トゥループは出来栄え点で2点台の評価を得ている。4回転も跳べるルッツをあえて3回転にした判断が吉と出たといえよう。結果的には、4回転1本のチェンの技術点は4回転2本のジョウよりも6点以上高く、チェンは首位発進となった。

チェンとは対照的にジャンプでの回転不足が響いたジョウ(写真:Getty Images)

チェンはフリーでも、得点が伸び悩んだジャパンオープンでは入れていた4回転サルコウを外し、代わりに3回転ルッツを入れる構成で臨む。3本跳んだ4回転を含むいずれの要素もプラスが付く出来栄えで、地元でのグランプリ初戦を悠々と制した。昨季は多数の4回転に挑戦し、今季はジャンプの完成度を高めるチェンの方針は、ルールに合わせるというだけではなく、彼自身の成長の段階にも合っているのかもしれない。

しかし、チェンの強さの理由はルール改正への適応能力の高さだけではない。ショート「キャラバン」フリー「Land of All」とも、彼ならではの魅力を際立たせるプログラムになっている。特に、昨季好評だったショート「ネメシス」に続きシェイ=リーン・ボーンが振り付けた「キャラバン」では、洗練されたおしゃれな振付を格好良く滑りこなし、輝くような魅力を発揮する。バレエの基礎が身についているチェンはどんなジャンルの曲を滑っても所作が美しく、音をスケートで自由自在に表現できる。硬質な滑りも、ますます彼ならではの個性として際立ってきた。チェンにとり、今季はスケーターとしての完成度を上げていくシーズンになりそうだ。

チェンの圧勝だけではなく、2位のミハル・ブレジナ、3位のセルゲイ・ヴォロノフといったベテラン勢が表彰台に上ったことも、完成度の高い演技が評価される今季からの方向性を示しているようだった。

文:沢田聡子

ミハル・ブレジナはベテランの意地をみせ2位に入った(写真:Getty Images)

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