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【全日本選手権】女子SPレビュー/これがエースの底力、“足の震え”こらえ宮原が首位発進!紀平は靴の不安が響いて5位と出遅れ

 2018年12月22日 09:07配信

「足が震えるのを頑張ってこらえていた」と語る宮原だが、観ている者にそれを全く感じさせない演技は4連覇中の女王たる所以か(写真:Getty Images)

全日本選手権4連覇中の日本のエース・宮原知子が、底力を見せた。

「ずっと緊張している感じだったので、今もまだ足が緊張している状態。あっという間に、気づいたら終わってしまった」

最終滑走で登場し、ミスのない完成度の高い演技で首位に立った宮原は、演技直後にそう振り返った。その言葉通りやや硬い印象はあったものの、伝説のシャンソン歌手、エディット・ピアフの生涯を描く“小雀に捧げる歌”の世界を繊細に表現する滑りだった。「最初から最後まで、足が震えるのを頑張ってこらえていた」という精神状態で、これだけの滑りをできるのが宮原の強さだろう。

「今日に関しては、自分のやってきたことを見せられたのかなと思う。フリーでもしっかり自分の演技をして、見に来てくださっているすべての方々に、自分の気持ちと最高の演技を見せられるように頑張りたい」

ファイナルでは替えたばかりの新しい靴に慣れず、古い靴に戻したことが功を奏した宮原と対照的に、靴の問題が響いた紀平梨花は5位発進となった。紀平はこの全日本に、使用期間が長いため柔らかくなってきている靴を、テープで巻いて臨んでいる。ショートの前に、当たる部分があった右足のみジェル状の詰め物をした影響で、右足が固く締まっている感覚があったという。「固すぎたのが、演技中ずっと頭にあった」という紀平は、「精神的には、始まる前から『やってしまった』という状態」で演技に臨む。案の定冒頭の3アクセルで転倒、次に予定していた3回転―3回転でもセカンドジャンプが2回転になってしまう。

「期待されることで今までと違う緊張になったのでは」と問われた紀平は、「全くなかったです」と即座に否定している。

「緊張するかなと思ったんですけど、逆にピンチ過ぎて緊張する暇もなくて」

靴の調整が響き、先輩の宮原とは対照的に「緊張する暇もなかった」と語った紀平。初戴冠に向けた試練にどう立ち向かうか注目だ(写真:Getty Images)

緊張している自分を意識しながら滑った宮原とは、紀平は精神面でも対照的だったといえるかもしれない。ただ、大技の3アクセルを持ちながらも結果を残せなかったジュニア時代、試合ごとに繰り返した反省を今季の大躍進につなげた紀平は、この経験も糧にしてフリーに臨もうとしている。

「とにかく今回は靴を上手く調整できなかった自分が悪いので、絶対にフリーでは調整できるようにして、不安要素のない状態で、ジャンプを跳べるか跳べないか、というところにまず思いがいくような状態で挑みたい」

2位につけた坂本花織は、すべての要素に加点がつく素晴らしい滑りを見せた。

「今シーズンは、いい時と悪い時ですごく差があった。この試合は絶対失敗できないので、すごく慎重にいきました」

「明後日のフリーは、(振付の)ブノワ(・リショー)先生と直前までブラッシュアップしてきたので、その成果をしっかり発揮できるようにして、ノーミスでできるようにしたいと思っています」

「練習から舞依ちゃんがすごく調子よくて、だんだん自分の出来が不安になってきて、そのまま離されてしまいそうな気がした」と同門の坂本を刺激するほどの好調さで今大会を迎えている三原舞依がショート3位。三原も坂本同様、出来栄え点にプラスの評価を並べた。「地元なのですごく安心感があって、本当に楽しんで滑れた」と充実した表情を見せた。

4位につけた樋口新葉はGPシリーズロシア杯を怪我で欠場しているが、復活を印象づけた。一つエッジエラーがあったものの、ジャンプが次々と決まり、滑りにも加速度的に勢いがついていく。シーズン序盤ではこなしきれていない印象もあった激しい動きも格好よく決め、樋口の魅力であるスピード感があふれる滑りだった。

日本女子のレベルの高さを感じる好勝負となったショートに続き、フリーも白熱の展開になりそうだ。

text by 沢田聡子

スピード感あふれる滑りで復活を印象付けた樋口。昨季世界選手権2位の実力者は逆転優勝に向けて好位置につけた(写真:Getty Images)

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