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19/20年シーズン総括/羽生結弦は四大陸選手権優勝で快挙達成!紀平は悲願の新全日本女王に輝く

 2020年3月21日 13:56配信

羽生結弦は男子シングル初となるジュニアとシニアの主要国際大会すべてを制覇する“スーパースラム”を達成(写真:Getty Images)

2020年モントリオール世界選手権が、新型コロナウイルスの影響により開催中止という思いがけない形で終わってしまった2019/2020年シーズンとなった。

選手たちはこの3月に向けてピーキングをしてきており、目標としてきたシーズンハイライトがなくなってしまったことはやむを得ない事情とはいえ、残念だ。今年も多くのドラマがあったシーズンを、振り返ってみたい。

男子で特筆すべきことは、まず羽生結弦がシーズン通して怪我もなく、GPシリーズ2大会、GPファイナル、全日本選手権、そして四大陸選手権に出場したことだろう。トリノGPファイナルでは、4ルッツと4ループの両方を成功させて、5度の4回転を入れたフリーに挑んだが、得意の3アクセルが抜けてネイサン・チェンに次いで2位となった。だがこの大会の公式練習中に、2度の4アクセルに挑戦。回転不足だったものの「(2006年トリノオリンピック会場だった)ここでトライできたのは、光栄なことだったなと思っています」と語った。4年ぶりに挑んだ全日本選手権では、さすがに連戦の疲れが出たのか、宇野昌磨に次いで2位に終わる。特にフリーは、これまで見たことのない不調な演技だった。大会終了後すぐに、自ら希望して四大陸選手権に出場することを発表。そしてプログラムを平昌オリンピックのSPとフリーに戻して挑んだ四大陸選手権で、初優勝を決めた。覚悟を決めて戻したであろう、SPショパンと、フリー「SEIMEI」で彼がモントリオール世界選手権でどのような演技を見せてくれるつもりだったのか、今となっては幻になってしまった。

宇野昌磨は、5月に子供の頃からついていた山田満智子、樋口美穂子コーチの元を離れることを宣言。だがコーチなしで挑んだシーズン前半は、かつてないほどのジャンプの不調に陥ってフランス杯8位に終わる。この大会後、ロシア杯までスイスでステファン・ランビエルの指導を受けに行くことを明かした。

そして代々木で行われた全日本選手権では、ランビエルを正式に新しいコーチに迎えることを発表。「試合よりも公式練習とか日ごろの練習で、やっと自分にスケートを楽しむ練習を戻してくれた。このコーチのために、ぼくは一緒に戦っていきたいという気持ちがありました」4年目となる全日本タイトルを手にし、初めて直接対決で羽生結弦に勝利した。

新コーチのランビエルと二人三脚で復活を果たした宇野昌磨。来季の滑りにも期待がかかる(写真:Getty Images)

海外勢では、昨シーズンからずっと個人戦では不敗を誇ってきたアメリカのネイサン・チェン。イェール大学に通いながら、ラファエル・アルトゥニアンコーチに遠距離指導を受けるというスタイルを貫きながら、安定した演技を見せ続けてきた。モントリオールは、彼の3度目の世界選手権タイトルがかかっている大会になるはずだった。

欧州選手権では、ロシアのディミトリ・アリエフが初のタイトルを手に。一方ではGPファイナルでチェン、羽生に続いて3位に入ったフランスのケヴィン・エイモスがSPで26位になり、フリー進出を逃すという信じられない結果となった。彼らがこの経験を生かしてどのように成長してくるかに期待したい。

女子はロシアの新しい世代によって、技術レベルがいっきに押し上げられたシーズンとなった。ジュニアから上がってきたアリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワの3人が、GPファイナル、欧州選手権でメダルを独占。4回転はないが、3アクセルと優れた音楽表現を持つコストルナヤが他の2人を圧して優勝し、4ルッツと4フリップを跳ぶシェルバコワが2位、9月に女子で初めて3度の4回転をフリーで成功させたものの、ここ数か月ジャンプが安定していないトゥルソワがどちらの大会でも3位となった。

この3人に勝てる可能性がもっとも高いと期待されていた紀平梨花は、シーズン前半は怪我の影響でルッツを入れないプログラムで挑んだ。GPファイナルのフリーで初めて4サルコウに挑んだが、転倒して総合4位に。その後全日本選手権を優勝し、年が明けて3ルッツを復帰させ、四大陸選手権は2度目のタイトルを手に。ロシアの若手たちとリターンマッチは、来シーズンに持ち越されることになった。

紀平はロシア勢の牙城を崩せるか。来季はさらに進化した姿を見せてくれることだろう(写真:Getty Images)

シーズン前半は怪我の影響でスロースタートだった樋口新葉は、全日本選手権ではほとんどノーミスのフリーで2位に入り、3年ぶりに表彰台に返り咲いた。ジュニアの川畑知愛がベテラン勢を退けて3位に入った。

全日本4位だった宮原知子は練習拠点をカナダのトロントに移し、リー・バーケルコーチの下で心機一転の再スタート。昨年の全日本チャンピオン坂本花織は、今シーズンはジャンプなどが安定せずに全日本6位という結果になった。

北米では、全米選手権で14歳のアリサ・リューが2連覇を果たしたが、2位のマライア・ベル、3位のブレイディ・テネルらのベテラン勢も安定した成績を上げてきており、まだまだ目が離せない。

女子の来季は、どのような展開を見せるだろうか。ロシアの若手たちが夏を越してもまだ安定したジャンプを保っているかどうか。紀平は4回転を本格的にプログラムに組み込むのか。今季不調だった坂本花織はどのような復帰を見せるのか。さらには、GPファイナル後に競技活動休養宣言をしたアリーナ・ザギトワはその後日本のテレビ局インタビューで「来季は戻る」と語ったが、それは実現するのか。

現在は新型コロナウイルスの影響により、全米のリンクのほとんどが閉鎖している。選手たちが安全にトレーニングできる環境が、1日でも早く戻って欲しい。

text by 田村明子

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