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新型コロナウイルスの感染拡大、フィギュア界への影響は?

 2020年3月23日 12:01配信

新型コロナウイルスの影響により、世界各地のリンク施設が閉鎖されるなどの異常事態に(写真:Getty Images)

現地時間の3月11日午後、新型コロナウイルスの影響により、カナダのケベック州政府がモントリオール世界選手権開催中止を発表した。2011年に東京世界選手権が東日本大震災の影響によって取りやめになって以来の事態だが、新型コロナウイルスの影響が世界中に及んでいる今回は代替地もなく、延期開催の見通しも今のところ立っていない。やむを得ない事態とはいえ、多くのスケート関係者、ファンにとって受け入れがたい現実となってしまった。

この残念なニュースが発表された翌日の3月12日、アイスダンス・アカデミー・オブ・モントリオールが、ファンたちに嬉しいアナウンスを行った。カナダのテレビ局CBCの協力のもと、3月16日にファンたちに所属選手たちの演技の映像を届けると宣言したのである。

アイスダンス・アカデミー・オブ・モントリオールは、元アイスダンス世界銀メダリストのマリーフランス・デュブリュイユと夫でパートナーのパトリス・ローゾン、コーチのロマン・アグノエルらが率いる、モントリオールを拠点とするアイスダンスアカデミーだ。現在の世界チャンピオン、ガブリエル・パパダキス&ギョーム・シゼロンなどを始めとする多くのトップアイスダンサーを抱えていて、現在アイスダンス界において世界のトップに君臨するアカデミーと言って良い。このリンクに所属する13組が、衣装をつけてお気に入りの演技を披露する、と発表した。

ところがそのわずか2日後の3月14日、このイベントがキャンセルされた。理由は、カナダ政府が国内の学校、スポーツ施設、図書館などの閉鎖を指示したためだた。リンクでの撮影も不可能となり、デュブリュイユたちのファンへの心遣いは実現されることなく終わった。

それよりも困難に面しているのは、練習場を失った選手たちである。通常、トップ選手たちは3月末に世界選手権を終えて、1,2週間ほどの休養をとる。それから次のシーズンに向けてのプログラムの振付をはじめ、アイスショーに招待された選手たちは夏にその新プログラムを披露する。だが来季はもう北京オリンピック前年のシーズンになるというのに、選手たちはトレーニングをするためのリンク設備もない。

「サトコはどのみち、世界選手権の後に体を回復させるため2週間の休暇をとる予定をしていました。だから今のところは、休暇が来るのが少し早くなった程度の影響しかありません」電話取材に応じてそう語ってくれたのは、トロントで宮原知子を指導するリー・バーケルコーチである。日本に一時帰国をしても、カナダに戻ってきたときに2週間の自主隔離が課される可能性などを懸念して、現地に残ることにしたという。「4月には日本でアイスショーの出演予定があるのですが、それもどうなるのか今のところわかりません」とバーケルコーチ。

宮原知子はリスクを考慮し日本への一時帰国を断念(写真:Getty Images)

原則スポーツ施設全て閉鎖だが、振付師が個人と作業する場合のみ、貸し切り可能という未確認情報もある。それもどのくらいの時間可能なのか、いずれそこにも規制が入るのかは今のところ不明である。

一方新型コロナウイルスの影響が比較的少ないとされているロシアでも、モスクワ市内のリンク施設は市長の指示により4月12日まで閉鎖された。エテリ・ティベリゼコーチが拠点とするサンボ70も、現在はトレーニング活動を行っていないことが確認されている。

3月22日現在、サンクトペテルブルクを拠点とするアレクセイ・ミーシンコーチたちのグループは、まだ平常通りのトレーニングを続けているが、知事がいつどのような指示を出してくるのか注意深くモニターしているという。

一方日本では、関係者によると貸し切りのみは可能というリンクがまだ何か所かある。だが懸念されるのは、これから夏にかけて開催予定されていた多くのアイスショーである。「スターズオンアイス」は3月に大阪と名古屋で予定されていた公演を中止した。4月には八戸と横浜公演が予定されているが、開催可能かどうかはこの原稿を執筆中の3月22日現在まだ未定のままだ。

トランプ米政権は19日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、米国人に対し全ての渡航中止を勧告した。この渡航禁止令は当面一か月とされているが、ショーに出場予定のアメリカの選手たちが日本に来ることができるかどうか、見通しは厳しい。

「生まれて初めて、私は明日何をすればいいのかわかりません。来週、来月は何をするのか。いつ氷の上に戻れるのか」と自らのSNSで告白したのは、フランスのアイスダンサー、ガブリエル・パパダキスである。「でもこの狂気が過ぎ去ったなら、私たちはまたお互いを見つけてハグし合うことができるのを信じています」

アイスダンスのガブリエル・パパダキス(写真左)はSNSで不安な心境を吐露(写真:Getty Images)

現在はまだ来シーズンに向けての準備も切迫したものではない。だが遅くても5月半ばくらいまでに施設の再開が叶わないと、選手たちの新プログラム作成なども難しくなるだろう。

この世界状況が一日でも早く落ち着いてくれることを、祈っている。

text by 田村明子

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