コラム
【四大陸選手権2022】見どころ/派遣した3種目すべてでメダルが期待できる日本勢
1月20日から、エストニアのタリンで2020年四大陸選手権が行われる。実は1999年にISU(国際スケート連盟)が本大会を創設して以来、欧州で四大陸が行われるのは前代未聞のことだ。この大会は、欧州選手権に出場権がある国以外の全世界の選手、南北アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカの選手たちを対象とした大会だからである。
本来は中国の天津市で開催が予定されていたが、パンデミックを理由に中国が辞退した。そもそも北京オリンピックという大イベントを控えている中国が、なぜこの大会の開催を志願したのかも不思議だが、中国が辞退した後、四大陸圏内で代替開催を名乗り出た国はいなかった。そのため先週欧州選手権を開催したエストニアが、2週続けて同じ会場を使って四大陸選手権を開催することを提案。言ってみれば全日本選手権をアメリカで開催するようなもので、不思議な状況ではあるのだが、エストニアは追い詰められていたISUに救いの手を差し伸べたと言える。
オリンピック直前でしかもパンデミック下とあって、日本も含むほとんどの国はオリンピック代表選手をこの大会に派遣しない。それだけに、今年の四大陸選手権はそれぞれの国の選手層の厚さ、次世代の実力のレベルが問われる大会になりそうだ。
男子の予想されるトップ7人は
そんな中で、韓国は男女ともに国内チャンピオンを派遣した。全員がベストな演技を見せることができれば、男子の優勝は韓国のチャ・ジュンファンと、日本の友野一希の間で競われることが予想される。またこの大会初出場の三浦佳生は、全日本選手権では、フリーで4本4回転を入れ、そのうち3本を成功させた伸び盛りの新人。彼が実力を出し切れば、サプライズの結果も十分あり得る。三浦星南は4サルコウを2本入れた構成のフリーで挑むことが予想される。この若手二人には攻めの姿勢を貫いて、思い切りの良い演技を期待したい。
日本勢のライバルとして注目なのは、アメリカのジミー・マ、全米選手権ではコロナ検査の陽性結果で欠場となった樋渡知樹、カムデン・プルキネンの3人だろう。彼らはいずれも安定した4回転を跳び、調子が良ければ高得点を狙える選手たちだ。この7人のうち、誰が表彰台に上がってもおかしくない激しい戦いになるだろう。
女子は日本勢と韓国勢の表彰台か
女子もやはり韓国チャンピオンのヨン・ユーと、日本の三原舞依が優勝を争うことになりそうだ。3アクセルを跳ぶユーは、今シーズン出場したGP2大会でどちらも3位に入り、メダルを獲得してきた。2020年の四大陸選手権で2位になっており、今回こそ優勝を狙ってくるだろう。またキム・イェリム、イ・ヘインともに200点台を出せる選手で、ティーンエイジャーのこの3人とも、表彰台を狙える位置にいる。
対する三原は2017年にこの大会に初出場し、初優勝。翌年の2018年には銀メダル、2019年には銅メダルを手にした実績がある。今季は出場したGP2大会と、全日本選手権で安定した演技を見せて、全て惜しいところで4位だった。この大会ではもう一つ突き抜けて、彼女の可憐な滑りを存分にアピールした演技で表彰台に返り咲いて欲しい。17歳の松生理乃、欠場した宮原知子の代わりに出場する横井ゆは菜は、いずれもこの大会初挑戦。萎縮せずに、この貴重な舞台で実力を発揮してもらいたい。
アイスダンスで村元&高橋のライバルになるのは
日本のファンにとって、この大会のハイライトはアイスダンスの村元哉中&高橋大輔かもしれない。村元は2018年にこの大会でクリス・リードと3位に入り、日本のアイスダンサーとして初めてISUチャンピオンシップメダルを手にした。一方高橋は男子シングルとして2度この大会のタイトルを手にし、特に2008年には四大陸選手権で当時の男子歴代最高スコアを更新した。彼にとっては思い出深い大会に違いない。今回は、村元とアイスダンサーとして初挑戦することになる。
確実に表彰台を狙える位置にいる二人だが、最大のライバルは恐らくアメリカのカロライン・グリーン&マイケル・パーソンズになるだろう。全米選手権では4位だったが、筆者は現場で取材して3位に相応しいと思ったほど、端正で質の高い滑りだった。また全米選手権で印象深い演技を見せて5位と健闘したエミリー・ブラティ&ソマービルも、急成長中の若手である。今シーズンからカナダでスコット・モイアに師事しているクリスティーン・キャリエラ&アンソニー・ポノマレンコは、全米ではまだ演技がまとまっていない印象で7位だったが、あれからどこまで調整してきただろう。
カナダのキャロラーヌ・ソシース&シェーン・フェリスは、村元&リードが3位に入った四大陸で2位になったチームだけに、ここでどのような順位になるのか興味深い。またフランスからカナダに所属連盟を変更したマリー=ジャード・ローリオ&ロマン・ルギャックも、実力のあるベテランチームだ。こうした経験豊かなライバルたちの間で村元&高橋の有利な点は、元々のスケーティング技術が高いこと。そして世界のトップクラスの表現力、リズム感があることだ。だがメダルを取るには、最低限でもノーミスの演技は必須になる。結成してから国際大会に出るのは今季が初めてという二人にとって、貴重な舞台になることは間違いない。
日本はこの大会で男女シングルとアイスダンスの3種目しか派遣していないが、その全てでメダルを獲得することが期待できる、充実した戦いになるだろう。
text by 田村明子
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