コラム
【フィンランド大会】男子レビュー/佐藤駿が初のファイナル進出を決める!マリニンはGPシリーズ連勝
グランプリ第6戦・フィンランド大会の男子シングルはイリア・マリニン(アメリカ)が優勝、佐藤駿が2位、ケビン・エイモズ(フランス)が3位という結果になった。
マリニンは、ショートプログラムでは後半に跳んだ3アクセルの着氷で手をつくミスもあり、2位発進となった。しかし、ショート4位から逆転優勝を果たしたスケートアメリカ同様、フリーで追い上げる。
アクセルを含む4種類5本の4回転を入れる超高難度の構成は、彼にしか跳べない4アクセルから始まる。4アクセルは着氷で手をつく形になり、4分の1回転不足をとられて完璧な成功とはいかなかった。しかし、続いてフリップ・トウループ・サルコウと3本の4回転を着氷させる。4サルコウは4分の1回転不足と判定されたものの、後半に4トウループ+オイラー+3サルコウを決める。そして最後のジャンプでは、3フリップ+3アクセルという難しいシークエンスを成功させた。躍動感あふれるコレオシークエンスとスピンで演技を締めくくり、シニアデビューシーズンのグランプリシリーズを2連勝で飾っている。
佐藤は、ショートでは自らの武器である4ルッツで転倒したものの、他の要素はすべて加点のつく出来栄えで滑り3位につけた。フリーの冒頭では再び4ルッツに挑み、今度は2.96という高いGOEがつく完璧な出来栄えで決めた。その後は4トウループと3アクセルを各2本含むプログラムを、大きなミスなく滑り切る。3フリップにエッジエラーがついた3連続ジャンプ以外の要素にはすべて加点がつく会心の滑りで総合2位に入り、初のグランプリファイナル進出を決めた。
テレビのインタビューでファイナル進出についての気持ちを問われた佐藤は、感極まった様子で言葉に詰まっていたが、ようやく声を絞り出した。
「去年怪我もあって苦しいシーズンが続いたんですけど、今回しっかりとノーミスの演技ができて、頑張ってよかったなと思っています。自分でもファイナルは行けると思っていなかったので、行けると決まって本当に嬉しいです」
佐藤は、マリニンに祝福のハグを受けていた。
3位のエイモズは、4回転は入っていない構成をショート・フリーとも大きな失敗をせずに滑り切った。今シーズンも唯一無二の個性が光るプログラムで観客を楽しませており、演技構成点での高評価が銅メダルにつながった。
4位には、昨季世界ジュニア銅メダリストの壷井達也が入った。フリー冒頭では4サルコウを成功させ、2.49という高い出来栄え点を得ている。完成度の高いフリーを滑り切り、ショート5位から一つ順位を上げた。
本田ルーカス剛史は、3アクセルで転倒したショートでは10位スタートとなった。フリーでは3アクセルを2本跳ぶ予定だったが、1本目は1回転になり、2本目は転倒。しかし、最後の要素である3ルッツに2トウループを2つつけて3連続ジャンプにし、意地のリカバリーをみせた。11位という結果だったフィンランド大会で得たものを、全日本選手権で生かしてほしい。
この結果を受け、男子のファイナル進出者は三浦佳生、宇野昌磨、山本草太、佐藤駿、マリニン、ダニエル・グラスル(イタリア)の6名となった。
text by 沢田聡子
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