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【世界選手権】男子SPレビュー/宇野昌磨、右足首を負傷しながらも今季世界点で首位

2023年3月24日 16:10配信

写真:Getty Images

 演技を終えたあと、喜びを素直に表した。ガッツポーズをはじめ、最近には見られなかったというほど、喜びが出た。

 3月23日、世界選手権男子ショートプログラム。宇野昌磨の全身が、不安と向き合いそして打ち勝ったことを示していた。

 試合を前に、宇野を心配する目線が注がれていた。3月22日の公式練習で転倒、そのまま動けずにいた。しばらくして起き上がったものの練習は途中で切り上げた。その後、日本スケート連盟からもともと痛めていた右足首をジャンプの着氷時に痛めた旨の説明があった。宇野からは「大丈夫だと思います」と話があったというが、試合を控えてのアクシデントに不安がふくらんだ。

 迎えたショートプログラム。だが宇野は、心配が杞憂であったことを演技で示した。最初のジャンプである4回転フリップを決めると4回転トウループ-ダブルトウループもきれいに成功させる。最後のトリプルアクセルも成功。3つともにクリーンに決めてみせた。

 ジャンプだけではない。スタートからフィニッシュまで、培ってきたスケーティング、表現を体現する滑りを披露する。

得点は104・63点。今シーズンの世界最高得点をマークし、1位でショートプログラムを終えた。

 演技だけを見れば、事前の不安や心配が嘘のようだった。ただ、内実がそうではなかったのは、演技を終えたあとの言葉が物語っていた。

「ジャンプがいちばん不安な部分が多かったんですけど、及第点のジャンプを跳ぶことができましたし、出しきった、と言える演技だったと思うので」

 大会へ向けて調整する過程では痛めていた足首の影響を含め納得のいく練習の時間を過ごすことはできなかった。加えて公式練習時の転倒と負傷があった。不安を抱えていて、自然な状況があった。その中で、出しきった、と思えるほどに力を出した。

「いつも、最近はけっこう冷静に演技後もいたんですけど、今日は込み上げる気持ちがありました」

 そう語るのもまた、自然なことであった。同時に、これまでも負傷などを抱え厳しい局面で見せてきたここぞというところでの強さをあらためて示したのがこの日の演技だった。

写真:Getty Images

 2位にはイリア・マリニン(アメリカ)。今シーズン、シニアデビューを飾った18歳は、得意とするジャンプを3本ともに成功。スピン、ステップもすべてレベル4。技術点だけで60点近くをあげ、トータルでも100・38点の自己ベスト、宇野とともに100点台に乗せた。

 3位のチャ・ジュンファン(韓国)も自己ベストの99・64点と100点に迫る得点をあげた。冒頭の4回転サルコウをきれいに決めたのをはじめ、シーズンを過ごしてきて完成度を高めたことを示していた。

 世界選手権3度目の出場、補欠からの繰り上がりではなく自身で切符をつかんでの出場は初めての友野一希は7位で終えた。

2つ目のジャンプである4回転サルコウで転倒したのが惜しまれる。それでも92・68点という得点をあげることができたのは友野の総合的な地力の底上げを示している。

「失敗があった中でかなりの高得点が出たのは、成長したかなと思います」

 友野もまた、こう語っている。失敗はあっても、フリーへ向けて、十分に手ごたえを得ることができた演技でショートプログラムを終えた。

 山本草太は75・48点、17位で終えた。最初のコンビネーションジャンプでは手をつき、2つ目のジャンプもこらえる形となり最後のトリプルアクセルでは転倒と、ジャンプに苦しむなど本来の演技を披露することはかなわなかった。

写真:Getty Images

「メンタルの弱さや経験のなさが出てしまい、思い通りにはいかなかったです」

 演技を終えた山本は反省を口にした。それでもこう語る。

「お客さんのおかげで、笑顔で終われて滑りきることができました」

 23歳でようやく立つことができた大舞台だ。緊張は大きかっただろう。そして目標にしていた舞台に立てた喜びもあっただろう。

 フリーは3月25日。宇野を中心とする優勝争いの行方、巻き返しを期す者、それぞれの立ち位置から、シーズンを締めくくる好演技を披露するために氷上に立つだろう。

text by 松原孝臣

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