注目選手コラム

鬼塚雅(スノーボード)
4年越しリベンジで頂点へ「ワクワク感しかない」

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ビッグエア・スロープスタイルの両種目でメダルを狙う(Photo by Getty Images)

初めての大舞台ではばたけるか――。
スノーボードの日本代表の中で、注目を集めるのが鬼塚雅である。スロープスタイル、そして平昌五輪から採用されたビッグエアの2種目に出場する。

スロープスタイルは、コース上に設置された手すりや箱型の障害物、ジャンプ台からの技を見せる種目。ビッグエアはスキーのジャンプ台のような斜面から踏み切り、空中で技を見せるものだ。どちらの種目も、華々しくも迫力あるパフォーマンスから、世界では人気を集めている。鬼塚は両種目ともに、世界の上位に位置している。

鬼塚はウインタースポーツでは異色の経歴を持つ選手だ。雪とはあまり縁がなさそうな熊本市に生まれ育った鬼塚は、親に連れられて福岡の室内練習場に通い、5歳のときにスノーボードを始めた。その魅力に惹きつけられると片道二時間はかかる行程にもめげることなく通い続け、7歳のときには15歳以下の選手たちによる国内大会で優勝するなど頭角を表した。

急成長の原動力となったのは、「うまくなりたい」という向上心の強さだ。練習場に通い始めた頃は、特にコーチがついているわけではなかった。そのため、周囲にいる大人に質問し、教わりながら学んでいった。そのエピソードは象徴的だ。

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(Photo by Getty Images)

2015年、努力を積み重ねて力をつけていった鬼塚の名が、世界にとどろく日が来た。高校1年生で出場したスノーボード世界選手権のスロープスタイルで、参加選手の中でただ一人大技を成功させ、金メダルを獲得したのである。このとき16歳3カ月、スノーボードの世界選手権では史上最年少の金メダリスト誕生の瞬間でもあった。

その後も日本代表として世界各地で活躍。2017年の世界選手権スロープスタイルでは銅メダルを獲得した。一方で、ビッグエアでもワールドカップで表彰台に何度も上がるなどたしかな足跡を残し、世界トップを争う一人となった。

昨春、早稲田大学に進学した鬼塚は、現在は福島県磐梯町のスキー場を拠点に練習している。今年1月には、関係各所の協力を得て、平昌五輪のコースを模した専用の練習コースが完成。この上ない練習環境が得られた。

「いい練習ができています。オリンピックに向けて足りないものはありません。ワクワク感しかありません」

自信をほのめかせる。

実は平昌五輪は、雪辱のための舞台でもある。代表入りを目指していた2014年のソチ五輪は、その前に負った左手首骨折が影響して代表に入ることがかなわず、テレビでの観戦をよぎなくされた。その悔しさもまた、今日までの鬼塚の歩みの支えとなってきた。4年前に出ることができなかった悔しさを晴らすためにも、平昌五輪での活躍を期している。

これまで完成に力を注いできた、縦に2回転、横に3回転するという大技に成功すれば、2種目のうち先に行われるビッグエアでの頂点が見えてくる。そこで勢いに乗ることができれば、スロープスタイルでの栄冠もまた、決して遠くはない。

(文=松原孝臣)

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