注目選手コラム

小平奈緒(スピードスケート)
ダブル金も射程内「隙を見せず、心は冷静に」

小平奈緒01
絶対女王が目指すは複数金メダルの獲得だ(Photo by Getty Images)

滑るたびに速さと強さを発揮する。スピードスケート女子短距離のエース・小平奈緒(相澤病院)は、長野県茅野市生まれの31歳。昨季から現在にいたるまで国内外の500mで連勝街道をばく進中で、ワールドカップ(W杯)では2シーズンにわたって負けなしの15連勝中と、無敵の強さを誇っている。平昌五輪では押しも押されもせぬ、金メダル候補の一番手だ。

1000mでも実力をつけた今シーズンは、昨年12月のW杯ソルトレークシティー大会で1分12秒09の世界記録を樹立した。日本女子が個人の五輪種目で世界記録をマークしたのは初という快挙だった。

自身にとって3度目の五輪となる平昌大会では500m、1000m、1500mの3種目に出場する。

「どの種目も好き。3種目で1セットです。それぞれ味の違う3種目を楽しむという感覚です」と目を輝かせている。

平昌五輪では2月12日に女子1500m、14日に女子1000m、2月18日に女子500mという順番でレースが行なわれるが、この順番も小平にとっては追い風だ。まずは、W杯で勝ったことがないことを逆手にとり、チャレンジャーとして挑むことができる1500mで足慣らしをする。次に世界記録を持つ1000mで弾みをつけ、最後に大勝負となる500m。徐々に勢いをつけていけるのだ。

小平奈緒02
(Photo by Getty Images)

出場する種目にはそれぞれ小平流の思いがある。

「自分の中で、500mと1000mは“競技”としてのスケート。シビアに速さを極めたいところがあるので、心の中にそれほど余裕がないんです。1500mは“スポーツ”としてのスケート。自分にチャレンジしてゴールを切ることができます」

500mで最大のライバルとなる選手は、10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪で500mを連覇している“韓国の女帝”李相花(イ・サンファ)だ。ソチ五輪後はケガの影響などもあって不調が続いているが、地元開催の五輪とあって調子を上げてくるのは間違いないだろう。

しかし、今の小平にはどんな相手でも跳ね除ける力がある。平昌五輪が行われるリンクは昨シーズンの世界距離別選手権で金メダルを獲得しており、相性抜群。リンクの特性もしっかりと把握しており、死角はない。

日本スケート連盟は昨季からの日本勢の大活躍により、平昌五輪の目標を「金1個を含むメダル4個を獲得」から「金メダルを1個に限定せず複数個を獲得」に上方修正した。この流れを牽引しているのが小平だ。連戦連勝の500mはもちろんのこと、1000mでも金メダルは射程内。2種目で優勝となれば日本スケート界初の複数金メダルになる。

「自己ベストを出すことがメダルの色に関わってくる。隙を見せず、心は冷静に」。絶対女王の滑りに注目だ。

(文=矢内由美子)

注目選手コラム一覧へ