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新競技・新種目はなぜ採用? “史上最大”のスポーツの祭典となる東京2020オリンピック

2017年12月8日 13:20配信

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(写真:Getty Images)

野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン。これらの競技はいずれも東京2020オリンピックでの実施が決まっているスポーツです。野球やソフトボールは“復活”なので、日の丸を背負った選手たちの奮闘ぶりを記憶している人も多いかもしれません。

2020年にはこの5競技18種目に加えて、3人制のバスケットボールや、柔道混合団体や卓球混合ダブルスなどの新種目が採用され、33競技、史上最多の339種目で行われることになりました。目新しい競技も含めて新種目が一気に増えた東京五輪。それぞれの種目の解説やその魅力については今後詳しくご紹介しますが、まずはどんな競技が、どんな種目が増えたのかをおさらいしてみましょう。

史上最多競技、種目で行われる東京五輪

1896年にアテネで誕生した近代五輪は、陸上、競泳、体操、フェンシング、レスリング、射撃、テニス、自転車のわずか8競技で行われました(ボートが悪天候で中止)。120年の歴史を経て、さまざまな競技や種目が増減を繰り返し、現在は国際オリンピック委員会(IOC)が定めた28競技がオリンピック憲章に明記されています。東京五輪で開催される5競技は、開催都市提案枠なので、現時点では今大会に限った実施になる予定。いずれにしても史上最大のスポーツの祭典がまもなく東京にやってくることになります。

日本人にとって馴染み深い野球・ソフトボールは、かつて五輪の正式種目でした。ソフトボールの涙の金メダルを記憶している人も多いと思いますが、あの北京大会(2008年)を最後にソフトボール競技は五輪の舞台から姿を消していました。今回、元々2つの競技だった野球とソフトボールが、男子=野球、女子=ソフトボールという変則的なタッグを組むことで再び採用されるに至ったのです。

(写真:Getty Images)

野球とソフトボールがひとつの競技に? 女性を重視するIOC

野球とソフトボールが外された理由はいくつかありますが、競技の国際的な普及度、知名度が低いことや、ドーピングへの対応、そして野球限定ですが「世界のトップクラスであるメジャーリーグ(MLB)の選手の積極的な参加が見込めない」「女子競技がない(あっても国際的な普及度は皆無)」であることが挙げられていました。

また、当時のIOC会長であるジャック・ロゲ氏は、「大きくなりすぎた五輪をスリム化したい」という意向を持っていて、競技の減少、実施種目の合理化を進めていたのも向かい風となりました。2020年開催都市発表での「TOKYO」で一躍有名になったあのおじさんのせいかどうかは別にして、五輪競技から外された野球とソフトボールのその後は、東京五輪を含めた “これからのオリンピック”の方針を知る上でちょうど良い題材になります。

みなさんご存知の通り、野球とソフトボールは似てはいますが、まったく別の競技です。日本では “女子野球”をプレーする選手もいますし、 “男子ソフトボール”も行われています。しかし、五輪復活を目指すにあたって、野球の弱点とされた「女子競技がない」点と、ソフトボールの知名度の低さなど補完し合えるとして二つの競技がタッグを組んだという背景があります。

もちろん、日本で国民的人気を誇りメダルも期待できる野球という競技を採用することで、開催地である日本国内の盛り上げようという意図もあります。今回のように開催地提案という制度はありませんでしたが、前回1964年の東京五輪では柔道とバレーボールというどちらも「日本のお家芸」と言われた競技が新種目に加わっています。ちなみにこのとき、「野球」「武道」が公開種目として行われています。

野球とソフトボールの例を見てもわかるように、IOCは女性の競技参加を新しい五輪の柱に据えています。

柔道、卓球、トライアスロン、競泳、陸上、アーチェリー、射撃。これらはいずれも東京五輪で新種目が追加された競技ですが、採用されたのは男女混合種目。ボクシング、カヌー、ボートは男子の種目を減らした分、女子種目が増やされました。この結果、総選手に対する女性の割合は48.8%と、五輪史上最高になったそうです。

男女平等、女性の社会進出は日本社会にとっての課題でもありますが、女性が活躍できる競技、種目が増えた東京五輪をそんな観点から見てみるのも面白いかもしれません。

(写真:Getty Images)

若者を取り込むためのヨコ乗り、アクティビティ系スポーツ

女性と並んでIOCが取り込みたいのが、若者だといわれています。スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなど、レジャーとしても楽しまれているスポーツを正式採用競技にしたのは、若者へのアピールにつなげたいという思惑があるようです。

スケートボードはストリートカルチャーと密接に結びついていて、競技者の年齢も若く、10代のチャンピオンも珍しくありません。スポーツクライミングも日本国内での競技人口が爆発的に増えている競技の一つです。街中でも身体ひとつで行えるボルタリングの施設をよく見かけるようになりました。サーフィンも古くから競技として親しまれていますが、ファッションや音楽との親和性から若者に好まれるスポーツです。

このほかにも、東京五輪では自転車競技のBMXフリースタイルや、バスケットボール競技の3人制など、若者に愛好者が多いスポーツが採用されています。スケートボード、スポーツクライミングやサーフィンの新競技は、日本人選手の若手有望株も多く、メダル獲得が期待されることから大会へ向けてこれらの競技や種目が話題になる機会が増えると予想されています。

競技のスリム化、わかりやすさも重要に 未来のスポーツの方向性も

もうひとつ、新たな五輪の流れとされているのが、よりわかりやすい、スピーディーな競技の存在です。すでに挙げたバスケットボールの3人制種目は、『3x3』(スリー・バイ・スリー)と呼ばれ、ハーフコートで行われるため、攻守の交代も頻繁で5人制のバスケットボールに比べ早い展開が魅力です。リオデジャネイロ大会から採用された7人制ラグビーも同様に素早いテンポでサクサク進む競技が魅力とされています。スポーツを観る人たちが飽きっぽくなっているとは思いませんが、わかりやすさや時間短縮を追い求めた新競技やルールが次々と生まれているのは周知の事実。五輪種目ではありませんが、イギリスやインドをはじめとする旧英領で局地的な人気を誇るクリケットでは、イニング数を1に限定し、従来は7時間ほどになることも珍しくなかった試合時間を2時間半に短縮した『トゥエンティ20』という競技がテレビ中継とのマッチングが良かったことから大人気になるという現象も起きています。

スポーツの在り方が変化しつつある現在、東京五輪で新たに採用された競技、種目には、これからのスポーツ界の方向性や在り方のヒントが隠されているのかもしれません。

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