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五輪採用で「KARATE(空手)」に世界が再び熱視線 2020新採用競技紹介

2017年12月17日 12:00配信

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(C)The Asahi Shimbun/Getty Images

オリンピック種目の日本の武道といえば柔道が有名ですが、東京2020オリンピックで新たに実施されることになった空手は、実は柔道をはるかにしのぐ競技者がいるといわれています。世界で愛されている空手についてご紹介しましょう。

驚きの競技人口 世界中で愛される「KARATE」

競技空手の統括団体である世界空手連盟によると競技人口は6000万人、連盟加入国は何と187カ国にも及ぶといいます。集計方法などの違いにより、一概に比較はできませんが、柔道の競技人口は世界で300万人という発表もあるので、空手の競技人口がいかに多いのかがわかってもらえるはずです。

1984年に制作された映画「ベスト・キッド」はアメリカで大ヒットになり、未知の格闘技にして精神性を感じさせる「KARATE」は当時大ブームを巻き起こしました。その人気は徐々に定着し、エンターテインメントの世界でも「KARATE」は世界共通語に。最近では世界的なアーティストBABYMETALの曲名にも使用されるなど、「寿司」や「天ぷら」などと並んで日本のアイコンとして外国人が思い浮かべるものの一つになりました。競技としては「寸止め」で行われる空手ですが、現在では競技者の他にも愛好者は多く、単なるスポーツとしてではなく、東洋的な価値観や思想、精神性に惹かれて空手に取り組む人も少なくありません。

空手の発祥には諸説ありますが、琉球王国時代の沖縄で発祥した「手(てぃ)」が、中国拳法や日本古流の武術などの影響を受けながら発展し、大正時代に本土に渡来。第二次世界大戦後に、日本中に広まったといわれています。

世界的知名度を誇り、競技人口も正式種目の規定をクリアしているはずの空手でしたが、オリンピック種目に採用されるまでには紆余曲折がありました。1985年に当時の統括団体だった世界空手連合がIOC(国際オリンピック連盟)から加盟の承認を受けたものの、流派の違いなどで組織化が難しかった点などを指摘され一時は承認を外されることもありました。オリンピック正式種目を目指す空手が再承認されたのは1991年のこと。1994年にはソウル大会(1988年)、バルセロナ大会(1992年)と公開競技として実績を積んだテコンドーが2000年シドニー大会から正式種目になるという厳しいニュースも飛び込んできました。

空手が初めて正式種目に立候補したのは2008年北京大会から。ロンドン大会(2012年)、リオ大会(2016年)では採用が見送られましたが、東京2020オリンピックでは開催都市追加種目として採用が決まりました。

ルールの詳細は現時点で未定

©GettyImages

初めてオリンピック種目に採用されるため、「寸止め」「セミコンタクト」のいずれを採用するかなどの議論もあり、東京2020オリンピックにおけるルールは2017年12月現在でまだ決まっていません。

空手にはすでに2年ごとに行われる世界選手権、オリンピック種目以外の国際競技会、ワールドゲームズなどの世界大会や、「KARATE1プレミアリーグ」というツアー形式の大会があります。オリンピックのルールもこれらを踏襲したものになると思われますが、世界空手連盟(WKF)は、ルールをまとめIOC(国際オリンピック委員会)に申請することを予定しています。また同年11月7日、世界空手連盟(WKF)と公益財団法人全日本空手道連盟(JKF)は記者会見を開き、東京2020オリンピックに向けた選手選考の方法およびオリンピックルールを説明しています(以下は、その際に説明された暫定のもので、今後変更がありえます)。

 

●種目

組手(くみて)競技・形(かた)競技の2種類。組手は18歳以上、形は16歳以上が出場可能です。組手はコンタクトをせず、直前で寸止め。競技時間内に8ポイント差をつけるか、棄権・反則・失格があったか、試合終了時点でポイント数が多いかで勝者が決まります。また、同点の場合は判定となります。

形の場合、現在の世界大会などで採用されているのは2選手が青赤に分かれての演武。順番に披露し、5人の審判員が青・赤どちらの旗を多く上げるかというフラッグ方式が採用されています。ただ、東京2020オリンピックではよりわかりやすくするため5人の審判員の得点を合計する方式も検討されています。

©GettyImages

●階級

組手に関しては、男子は75キロ超級、75キロ級、67キロ級、女子は61キロ超級、61キロ級、55キロ級。世界選手権は男女各5階級となっていますが、オリンピックでは男女とも3階級となります。一方、形に体重制限はありませんが、WKFが定めた形(約75種)の中から演舞すること、トーナメントでは1回戦から決勝戦まですべて異なる形を演武するという条件があります。

●出場選手枠

出場選手枠は、男女の形を含む全8種目で各10枠(1カ国・地域で最大1枠)。最終案においては、世界ランキング上位4枠、2020年5月にパリで開催される予選大会によって各階級に3枠ずつ、さらに各地域の予選で数枠、残りは日本への開催国枠や推薦枠となる見込みです。

東京2020オリンピックの有力選手は? 「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」に注目!

空手発祥の地、日本の選手たちは、もちろん金メダル獲得の最有力候補です。2017年にポーランドで行なわれたワールドゲームズでは、日本人選手が7人出場。金メダル4つ、銀メダル2つ、銅メダル1つという成績を残しました。なんと、出場した全選手がメダルを獲得したのです。

1964年の東京オリンピックで正式採用され、実施された4階級のうち3階級で金メダル、1階級で銀メダルを獲得した柔道のようにメダルラッシュになる可能性は十分にあります。

活躍が期待される注目選手を何人かご紹介しましょう。

 

●植草歩(高栄警備保障)

うえくさ・あゆみ。1992年7月25日、千葉県生まれ。柏日体高等学校から空手の特待生として帝京大学に入学、在学中の2013年にはコロンビアで行なわれたワールドゲームズで金メダル、2014年の仁川アジア大会では女子組手68キロ級に出場し3位、2015年全日本空手選手権で初優勝(個人組手)と輝かしい成績を残す空手界の女王です。愛らしい容姿から通称「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」とも呼ばれていますが、決してルックスだけの選手ではありません。

 

●香川幸允(テアトルアカデミー)

かがわ・ひでよし。1987年8月14日、東京都生まれ。192センチ115キロという恵まれた体格を持ち、2017年7月のワールドゲームズでは世界王者サジャド(イラン)相手に逆転勝ちで優勝。同大会で最重量級を制した、歴史上初めての日本人となりました。それまで、世界選手権では入賞経験すらなかった香川選手にとって念願のタイトルとなります。中学までバスケットボールに打ち込み、空手を開始したのは高校から。2017年11月時点で30歳、東京2020オリンピック開始時には32歳となる遅咲きの選手はどこまで活躍の場を広げられるか注目です。

 

●嶋田力斗(埼玉栄高) 

しまだ・りきと。10月にスペインで開かれた21歳以下の世界大会で、16歳~17歳が出場するジュニア男子組手76キロ強級で優勝。この年代の最重量級を制した初めての日本人選手となりました。まだ高校3年生、これからの活躍が大いに期待される日本空手界のホープです。

今回紹介した植草選手、香川選手、嶋田選手だけでなく、形では喜友名諒、清水希容、組手では荒賀龍太郎、谷竜一といった有力選手も多く存在します。形に関しては世界トップ、組手に関しても世界トップグループの中に存在する日本。空手という競技の知名度が増し、世界中からライバルたちが生まれつつあるため簡単な戦いではありませんが、初のオリンピックで本家の意地を見せたいところです。

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