東京2020

コラム

湘南生まれ湘南育ち、生粋のサーファーが目指す東京オリンピック 2020期待のアスリート・大橋海人インタビュー前編

2018年2月13日 10:00配信

©荒川祐史

東京2020オリンピックの正式種目となって注目されるサーフィン。その日の丸を背負って戦うのは誰かと、サーファーの間でも大きな話題となっている。有力な候補の一人と目されているのが、湘南を代表するサーファーの大橋海人選手だ。両親がサーファーという家庭に生まれ、物心がついたときにはもうサーフボードの上に立っていたという海人。大舞台に強いと言われるこの代表候補に、試合やライフスタイル、そしてオリンピックに向けての熱い思いを聞いた。

(取材・文=李リョウ(サーフィンジャーナリスト))

厳しかった父の指導「試合で勝てば良いというわけじゃなかった」

――(大橋海人選手は)茅ヶ崎生まれの茅ヶ崎育ちなんですか?

大橋海人(以下、海人) そうなんです。

――茅ヶ崎はどんなところですか?

海人 茅ヶ崎は一言でいうとアットホームな感じですね。周りの友達も兄弟みたいだし、試合でも町ぐるみで応援してくれます。

――茅ヶ崎は、湘南のほかの地域よりもサーファー同士がすごく仲が良いって聞きますね?

海人 そうなんです。茅ヶ崎は先輩と後輩という意識があまりなくてみんな仲が良いんですよ。先輩だから気を使うというのはあまりないですね。アメリカもそういうところがありますよね。そんな感じですね。

――御両親もサーファーなんですか?

海人 そうです。父はロングボードのプロサーファーでシェーパー(サーフボードを作る職人)でした。母親もサーファーです。

(※ 父、大橋勧氏は2011年に他界。海人は大橋家の長男として母・祐子さんとともに4人兄弟を支えている)

――じゃあ生粋の湘南サーファーですね。サーフィンを始めたのはいつですか?

海人 3才のときですね。父親とサーフボードに一緒に乗ったのが始まりです。

――それからずっとサーフィンを続けているの?

海人 そうです。物心がつく前にもうサーフィンをしていました。だからサーフィンをいつ始めたという記憶がないんです。そういえば僕サーフィンしてるなって、あるとき気がつきました(笑)。

――お父さんはサーフィンの指導が厳しかったと聞きましたが?

海人 厳しかったです。サーフィンをしていると砂浜で見ていて大声で呼ぶんです。岸に上がると厳しく指導されました。夏の砂浜で何時間も説教されたりもしました。だから海で呼ばれても聞こえないふりしました(笑)。周囲のサーファーが「お父さんが呼んでるよ」って言ってくれても知らんぷりしました(笑)。

――湘南のサーファーの家族にそんなスパルタな父がいるなんて珍しいですね。

海人 試合でも勝てば良いというわけじゃなくて、父親の納得するサーフィンをして勝たないと怒るんです。でも逆に負けたとしても良いサーフィンをすれば納得してくれるんです。負けたのは残念だけど良いサーフィンだったって。勝ち負けよりも良いサーフィンができたかどうかが重要だって言っていました。

――それを聞いてどう思いましたか?

海人 子どもの頃はよくわからなかったです。勝ったのになんで怒られなきゃならないんだろうって思いました。ひどい親だなって、なんで褒めてくれないんだって。でも今は言っていた意味が分かります。勝って喜ぶよりも試合の内容を分析して次に生かそうと心がけています。

©荒川祐史

プロテストを受けたきっかけは“車”

――お父さんに厳しくされてサーフィンは嫌にならなかったんですか?

海人 サーフィンは嫌にならなかったですね。父親を見返してやるっていう気持ちがあってサーフィンにもっと積極的になりました。それと嫌にならなかったのは先輩たちが優しくてそれでサーフィンが続いたんだと思います。

――お父さんが作ったサーフボードに乗ったんですか?

海人 父以外のサーフボードも乗りましたが、試合に勝ったのは父のサーフボードが多かったですね。

――試合は子どもの頃から出ていたんですか?

海人 そうです。試合ばかり出ていました。

――試合は好きですか、それともフリーでサーフィンするのが好き?

海人 試合も好きだし、自由にできるフリーサーフィンも好きです。海が大好きなんです。海を見ていると落ち着くし、そこにいられるだけで和むんです。

――子どもの頃からプロサーファーになる目標があったのですか?

海人 プロになるのは通過点のような気持ちでいました。だから正直な気持ち、それが目標ではなかったですね。

――プロは賞金で稼いでいるんですか?

海人 いえ、サーフィンのプロでは賞金だけで稼げる人は少ないです。ほとんどのプロサーファーと呼ばれる人はサーフボードやウェットスーツのようなメーカーと契約することによる契約金が収入となります。

――アマチュア時代に国内のプロの認定を受けようとしなかったという話を聞きましたが?

海人 そうです。父親も海外に目を向けろと勧めてくれていましたし、ハワイにもよく連れていってもらいました。同い年くらいのハワイアンのサーファーと一緒にサーフィンをしたり。そんなこともあって、海外の試合に出てそこで認められるようになっていかないとダメなんだ、本当のプロとはいえないと、子どもの頃から思っていました。父親も同じ意見で応援してくれました。でも17才のときにスポンサーの方から国内のプロテスト(※)に出るように勧められたんです。それでも断っていたんですが、自動車免許の学校に通っているときに、もし受かったら車をくれるって言ってくれて、それで出て認定をもらいました(笑)。

(※プロテスト:国内のプロコンテストにアマチュアとして出場し一定の成績を収めると、プロとして認定される)

[PROFILE]

大橋海人(おおはし・かいと)

1992年2月16日生まれ A型水瓶座

2012年JPSAプロに昇格。翌年総合ランキング2位隣、ルーキーオブザイヤーにも輝く。2015年にはWSL日本チャンピオンを獲得しプライムイベントという国際試合に出場。また24年ぶりに開催された伝説の試合、稲村クラシックで優勝し大きな注目を集める。2020年の東京オリンピック代表の有力候補の一人。

取材協力:SPORTIFF Café

<後編へ続く>

©荒川祐史

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