東京2020

コラム

1分で感動!アスリート名言集① 「初めて自分で自分をほめたい」有森裕子 のあの時の想い(&北島康介、小平奈緒)

2018年4月27日 12:00配信

©Getty Images

オリンピックの醍醐味といえば、4年に一度、この日のために技を磨いてきた選手たちの、見る物を圧倒するパフォーマンスを鑑賞することですよね。速い、高い、強い、もう単純にすごい! 競技を見ているだけで心躍るのが世界最高のスポーツの祭典、オリンピックの魅力です。

一方で、私たちは、アスリートたちのドラマにも心を動かされます。積み上げて来たものが結実した瞬間、彼、彼女たちが語る「言葉」は最高に説得力があり、言葉以上の価値を持ちます。

この連載では、そんな一流のアスリートだけが体現できる「言霊」をプレイバック。何かを成し遂げたからこそ重みのあるアスリートたちの名言には私たちの人生役立つヒントが隠されているのです。

有森裕子が「初めて自分をほめた」理由

「初めて自分で自分をほめたいと思います」

数々の名言を生んできたオリンピックですが、これほどシンプルなのに味わい深い名言はないでしょう。1996年に行われたアトランタオリンピックの女子マラソン競技。1992年、前回バルセロナ大会の銀メダルに続いて銅メダルを獲得した有森裕子さんの言葉です。

実はこの言葉、有森さんオリジナルの言葉ではありません。

有森さんが高校生のとき、補欠として臨んだ都道府県対抗女子駅伝の開会式で、フォークシンガーの高石ともやさんが選手激励のために詠んだ詩の一節

「ここに来た自分を、人にほめてもらうんじゃなくて、自分でほめなさい」

が有森さんの心に深く刻まれていて、それがアトランタのゴール直後に言葉となって溢れてきたものだと言います。

何かを成し遂げた人が「自分をほめてあげたい」というのは、ごく自然な言葉のように思えます。しかし、アトランタで有森さんが獲得したのは、前回の銀より1つ順位を下げた銅メダル。それでもあえて「“初めて”自分をほめたい」と言った有森さんの真意は、高石さんの詩の前半部分を見るとよくわかります。

「ここまで来るのに一生懸命、頑張ってきた自分も、苦しんだ自分も、喜んだ自分も、全部知っているのは、あなた自身だから」

バルセロナでの銀メダル後、両足かかとのケガなど相次ぐ故障で走ることさえできない時期を経験した有森さんの脳裏に、高校生のときに聞いて感動した言葉がふっと浮かんだそうです。

オリンピックで2大会連続メダルを獲得した有森さんが高校時代補欠選手だったことにも驚きますが、「自分をほめてあげたい」という短いフレーズの中に、これまでの歩み、銀メダル獲得後のプレッシャーや苦悩、そして再び掴んだ栄光というストーリーがてんこ盛り。知れば知るほど味が出るスルメのような名言です。

人間的な魅力を増幅させる一流アスリートの言葉

快挙を達成したあとの名言は、聞いているこちらもうれしくなるだけでなく、何もしていない自分まで勇気づけられる気分になります。

アテネ・北京と計4つの金メダルを獲得した北島康介選手の

「チョー気持ちいい」(アテネ・100メートル平泳ぎで金メダル獲得後)

「なんも言えねえ」(北京・100メートル平泳ぎで金メダル獲得)

は、それまで「国民の期待に応えるため」、ある種の悲壮感を漂わせいたアスリート像を一変させる突き抜けた名言です。

「そりゃあんなふうに泳げて、世界一になったら気持ちいいだろう」

「名言を期待されてマイクを向けられて『なんも言えねえ』なんてかっこよすぎる」

北島選手以降、日本のアスリートのイメージは孤高、ストイックなだけでなく、親しみのある共感できるものへと変化していきました。

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その変化に拍車をかけているのが、近年の日本人アスリートの成熟ぶりです。スポーツ以上に「この人の生き方がすごい」と驚嘆するようなアスリートも増えていると思いませんか?

中でも今回ぜひ紹介したいのが、今年2月に行われた平昌オリンピックでも大活躍した小平奈緒選手の名言です。

「金メダルは名誉ですが、どういう人生を生きていくかが大事」

金メダルの大本命として大会前から注目されたスピードスケートの女子500メートルで下馬評通り金メダルを獲得して、そのあとにこの言葉。有言実行どころか、あらかじめそうなることが決まっていたかのような堂々とした佇まいに、日本中の人たちが「本当の強さ」、「本物の自信」とは何かを教えられました。

小平選手の言葉は競技のみならず生き方のお手本になるようなものが多いことでも知られています。

レース前の集中の仕方について聞かれて

「透明な筒で見ている感じ。周りが見えない筒ではなく、周りは見えているけど、透明の筒で見て、自分のやるべきことだけに集中する」

と答えたかと思えば、好調時の滑りについて

「スケートが自分の足になってくる。さらに言えば、氷が自分の足になってくるような感じです」

と独特の表現をする小平選手は、“氷上の詩人”ともいわれています。

©Getty Images

オリンピック出場、金メダル獲得を人生の目標にしているアスリートはたくさんいます。しかし今回紹介した名言は、競技の結果だけでなく、そこに至る過程や生き方そのものに意味を見出す人でなければ言えない、生めない言葉たちです。

アスリートの言葉を彼らの競技パフォーマンス、そこに至るストーリー、ドラマも含めて味わうのもオリンピックの楽しみ方の一つ。東京2020オリンピック・パラリンピックでは誰のどんな名言が飛び出すのか? いまから楽しみです。

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