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リオ大会で伊藤美誠・福原愛ペアとも対戦した、パラ卓球の絶対女王ナタリア・パルティカ

2019年4月5日 10:15配信

取材・平辻哲也

パラ卓球で、11歳の史上最年少選手としてシドニーパラリンピックに出場し、アテネ大会以降は個人戦全戦無敗。パラリンピックのみならず、オリンピックでも活躍し続ける絶対女王が、ポーランドのナタリア・パルティカ選手だ。WOWOWのパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』の太田慎也チーフプロデューサーがその魅力を語る。

ポーランド生まれ、チェコリーグで活躍

ナタリアは1989年ポーランド・グダニスク生まれ。先天的に右腕が肘までしかない状態で生まれる。7歳で卓球を始め、多くの大会で優勝し、頭角を現わす。1999年、パラ卓球の世界選手権で国際大会デビューし、翌年の2000年には、史上最年少選手として11歳でシドニーパラリンピックに出場。4年後のアテネ大会以降は、個人戦ではグループリーグから決勝トーナメントまで全戦無敗で4連覇。東京大会でも金メダル確実といわれる存在だ。

「パルティカ選手は、2008年の北京大会からロンドン、リオまでは、パラリンピックだけではなく、オリンピックにも3大会連続で出場しています。リオオリンピックでは、女子団体戦の1回戦で、伊藤美誠選手、福原愛選手のペアと戦っています(※1-3 <5-11, 11-9, 2-11, 9-11>、伊藤・福原ペアの勝利)。普段は健常卓球の世界で活躍していて、オリンピックとパラリンピックの垣根を越えた選手です。パラの世界ではまさに無敵。パラリンピックを無敗で4連覇し、僕らが取材した時点で、アテネパラリンピック以降の戦績は実に121勝2敗。健常の世界でのランキングも2018年2月時点で53位でした」

――卓球はヨーロッパでも盛んなんですね。

「彼女はチェコリーグに所属しています。ポーランドの北に位置する故郷・グダニスクを拠点にトレーニングしながら、定期的にリーグに参加していました。『日本と中国の選手は強い。あれだけ練習されたら勝てないよ』と冗談を言って笑っていましたけどね。やっぱり、中国、日本は強いんでしょう」

「パラリンピックの方が5倍緊張する」

――オリンピックとパラリンピックの二刀流というのはすごいですね。

「彼女はオリンピックの世界でやっているから、それは当然、強いだろうっていう解釈もできるのですけど、彼女自身は『パラの試合の方が5倍緊張する』と言っています。『まず負けることが許されないし、パラリンピックを持っている力というのは不思議で、オリンピックにないものがあるから、そこで戦うことにはすごく意味がある』と言うのです。『障害のある人たちに届けたい。パラリンピックという素晴らしい大会があって、あなただって金メダルを取ることができるのよって。だから、パラリンピックについて語る時は、とても力を入れる』と言っていましたね。東京で彼女の活躍が2度観られると思うと楽しみですよね」

——パルティカ選手は美しい方ですね。番組に登場する選手は美男美女が多いように思えます。

「確かに彼女はとっても魅力的ですね。ただ、番組としては、『WHO I AM』というタイトルのとおり、“自分”をちゃんと持っているアスリートを取材したいと常に考えています。『自分はこうなんです』としっかり言える人ってみんなきっと、心が美しかったり、笑顔が素敵なのだと思います。シリーズに登場してくれたアスリートたちの写真は、ファッションや広告の世界を中心に活躍され、マドンナやレディ・ガガ、ロジャー・フェデラーなどを撮影されてきた写真家の新田桂一さんが世界中を飛び回って、撮ってくださっているんです。『カモン、チャンピオン! カモン、スマイル!』と言って、選手のポジティブな面を引き出してくださるんです。新田さんのそんなハッピーな撮影のおかげで、選手たちも楽しんでくれているから、いい表情を切り取れているんだと思います。

そしてシリーズ全体としては、できるだけいろんな国、いろんな競技、いろんな障害のあるアスリートを取り上げたいと思っています。もっと人種や宗教、文化も越えて、多様な選手を紹介したいのですが、競技力・成績という意味では、いわゆる先進国の方が、選手層が厚い傾向にあるのかなと感じています。パラスポーツの場合、車いすや義足・義手など、ギアが絡むからかもしれません。オリンピックだと、陸上はアフリカ勢が強い印象がありますが、車いす競技や義足での競技となると、アフリカの選手はあまり多くないんです。おそらく、その国の経済状況などの影響もあるのだと思います」

(続く) 

「WHO I AM」の特設サイト

シーズン1、2の本編(全16番組)はここから無料で観ることができる。

「WHO I AM」とは?

正式名称「IPC & WOWOW パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM」。WOWOWと国際パラリンピック協会(IPC)が、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの5年間にわたって、世界最高峰のパラアスリートたちに迫るパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ。勝負の世界だけでなく、人生においても自信に満ちあふれる彼らが放つ「これが自分だ!=This is WHO I AM.」という輝きを描く本シリーズは2018年、世界最高峰のテレビ賞「国際エミー賞」にノミネートされるなど国内外で高く評価されている。

太田慎也(おおた・しんや)

大阪府吹田市出身。2001年WOWOW入社。編成部でスポーツ担当やドキュメンタリー企画統括を経てドキュメンタリー番組のプロデューサーに。日本放送文化大賞グランプリやギャラクシー賞選奨を受賞。「WHO I AM」では国際エミー賞ノミネート、アジア・テレビジョン・アワードノミネートの他、ABU(アジア太平洋放送連合)賞最優秀スポーツ番組、日本民間放送連盟賞 特別表彰部門 青少年向け番組優秀(2年連続)などを受賞。

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