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ボルダリングだけじゃない! 東京五輪の新種目スポーツクライミング その順位決定方法とは?

2019年7月24日 13:00配信

 スポーツクライミングは東京五輪で新しく採用された競技だ。男子では楢崎智亜や藤井快など、女子では野口啓代や野中生萌など日本には世界レベルの選手が多く、メダルが期待され注目を集めている。しかし、スポーツクライミング=ボルダリングと認識している人はまだまだ多い。今回は、東京五輪で争われるスポーツクライミングのコンバインドという競技について詳しく解説をしたい。

(文=篠幸彦)

(C)Getty Images

3種の複合競技となるコンバインド 第1種のスピードはスプリント競技

 スポーツクライミングは、東京五輪の新種目として注目を集める。ボルダリングといったほうが馴染みのある人は多いかもしれない。しかし、ボルダリングはあくまでもスポーツクライミングの3つの種目の中の一つに過ぎない。東京五輪では、そのボルダリングと残りのスピード、リードを合わせた「コンバインド」という複合種目でメダルが争われる。

 第1種となる「スピード」は、単純明快で壁をより速く登ることを競う種目だ。15メートルの壁を地上からスタートのシグナルとともに登り始め、頂上のタッチパネルに触れるとゴールとなる。

 ボルダリングやリードと違ってスピードは、壁に取り付けられたホールドと呼ばれる手がかりや足がかりになるものが事前に決まっている。選手は決まったコースを練習で何度も登り、自分に合った登り方を体にたたき込んでいく。本番ではミスなく発揮できるかがカギとなる。

 その中で最も緊張が走る瞬間がスタートだ。フライングをしたらその時点で失格となり、自動的に最下位となってしまう。また、途中で落ちてしまっても記録にならない。まさに陸上のスプリント競技そのものと言える。

 予選では2本登った良い方のタイムで順位が確定し、決勝トーナメント進出者が決定する。トーナメントになると1対1での対戦形式となり、一目で勝敗がわかる白熱したレースが展開される。男子のトップレベルになると5秒台で登り切り、コンマ何秒を争う。その超人的なスピードは迫力満点だ。

一般的に馴染みのある第2種のボルダリングは頭脳的な力も必要

 第2種は一般的に最も聞き馴染みのあると思われる「ボルダリング」。ラウンドに分けられ4〜5つの“課題”と呼ばれるコースに挑む。その課題を登り切った“完登”の数を競う種目になる。大会毎に新しい課題が作られ、選手は毎回初見となる課題に対して制限時間内での完登にチャレンジする。

 素人目ではどう登ればいいかわからない難解な課題に、選手は短い時間でゴールまでの道筋を見つけ、登り切らなければいけない。正解となる登り方を見つける力と、それを可能にする技術とフィジカルが求められる。技術的、肉体的な力に加えて頭脳的な力も必要とされる種目だ。

 完登できなかった場合に勝敗を分けるポイントがある。それは“ゾーン”と“アテンプト”と呼ばれる。ゾーンは各課題の途中に設けられた通過ポイントのようなもの。そこまで進むことでポイントが得られる。完登数で並んだ場合、このゾーンの獲得数で優劣が着けられる。続いてアテンプトとはトライ数のこと。完登数、ゾーン数で並んだ場合、その課題に挑んだ回数となるトライ数の少ない選手が上位となる。つまり、少ないトライ数での完登、ゾーン獲得ができるかを競うのがボルダリングである。最初のトライで完登できたことを「一撃」と言い、選手にとっては最も理想的な登りとなる。

17メートルの巨大な壁に挑むリードはクライミング競技のマラソン

 第3種の「リード」は高さ17メートルの壁にゴールまで40手程度の課題がセットされ、制限時間内にどれだけ高いところまで登れたかを競う種目だ。この課題もボルダリング同様に大会毎に新しいものが作られる。

 ボルダリングは4〜5メートルの壁を一桁ほどの手で登るが、リードはその3倍以上となっている。高さもあるため、選手たちは安全のために命綱となるロープを付けて登る。課題の所々に設置されたクイックドローと呼ばれるポイントに、ロープを引っかけながら登ることになる。それを下から順に引っかけていくのだが、一つでも飛ばしてしまうと失格となる。課題の難易度は低く目に設定されているが、もたついてしまうと体力的に厳しくなるので、スムーズに登り続けることが重要になる。

 長時間にわたって登り続けるのはトップ選手でも過酷で、リードはクライミングのマラソンと形容されることもある。また、ボルダリングと違って、リードは何度もチャレンジできず落ちたらそこで競技は終了。ミスができない緊張感も見どころとなる。

 ホールドには下から順番に番号が振られ、そのホールドを保持できたかによって何番の高度まで到達できたかが決まる。例えば、高度30まで登った選手が次のホールドへチャレンジして落ちてしまったとする。この場合は「30+」という記録になる。次にチャレンジできずに落ちたら、記録は「30」となる。勝利に近づくためには、同じ高度でも次へチャレンジできたかが大事なポイント。同高度の場合は登ったタイムの速いほうが上位となる。

 東京五輪で採用されたスポーツクライミングのコンバインドは、この3種目の順位を掛け算し、ポイントが少ない順に順位が決められる。例えば、スピード3位、ボルダリング2位、リード1位だったとしたら、3×2×1=6(ポイント)となる。

 複合競技だからこそ、多くの見どころがあるスポーツクライミング。各種目の異なる見どころに注目して、楽しんでもらいたい。

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