dmenuスポーツ

東京五輪2020

コラム

サッカーの五輪候補選手は実質15名の枠を争い活躍の場を海外へ移す

2019年10月2日 13:00配信

 東京オリンピックへのわずかな切符をつかむため、サッカーのオリンピック代表候補と呼ばれる若い世代の選手が今年になって活躍の場を海外へ求めている。今季の彼らの成長がオリンピックでの成績に直結するとなると、その活躍を見逃すわけにはいかない。活躍を期待されるサッカーの五輪候補選手は、どこでどのように躍動しているのだろうか――

(C)Getty Images

(文=鈴木智之)

 オリンピックのサッカー競技に登録できるメンバーは18人。ワールドカップの23人と比べて、5人も少ないことを知っているだろうか? 基本的に23歳以下の選手(1997年1月1日生まれ以降)で構成されるサッカーのオリンピック代表だが、「オーバーエイジ」という23歳以上の選手を3名まで登録できることもあり、23歳以下の選手が争うのは実質的に15人という狭き門になる。開幕まで1年を切った2019年夏、数少ない出場枠を勝ち取るために活躍の場を海外に求めた選手たちがいる。

 現時点で、東京オリンピックのメンバー入りは間違いないだろうという“当確”ランプが点いた選手は、3人います。それは、A代表の経験を持つ、オランダのPSVに所属する堂安律、イタリアのボローニャに所属する冨安健洋、そして大きな注目を集めスペインのレアル・マドリードへ移籍した久保建英(レンタル移籍で現在の所属はマジョルカ)の3名だ。

飽くなき向上心を持つ堂安律 新天地でオランダの頂点を目指す

 一足早く活躍の場を海外に移した堂安律は、オランダ国内でのステップアップを狙い今夏に新天地を求めた。2017年夏にガンバ大阪からフローニンゲンに移籍した2年を過ごしたが、今夏に昨季2位のPSVへと移籍した。契約期間を5年で締結したことからも、期待の高さがうかがえる。

 堂安は、ドリブルで中央へ入り込むカットインから、利き足の左足でゴールを狙うプレーを持ち味としている。ペナルティーエリア手前でボールを持つと、鮮やかなステップで相手をかわし、ゴールへ強烈なシュートを突き刺す。ペナルティーエリア手前を自ら「堂安ゾーン」と呼ぶほど、得意とする形で自信を持っている。

 強豪のPSVへ移籍したことで、ヨーロッパ全体を舞台とする大会に参戦することができるようになった。その舞台では格上との戦いもあるため、攻撃面だけでなく守備面での貢献や戦術理解が求められるようになる。堂安は飽くなき向上心を持って、さらなる飛躍を目指している。

イタリアへ渡った冨安健洋 戦術面を磨きプレーの幅を広げる

 A代表でも欠かせない存在となっている冨安健洋は、これまでよりも戦術的なプレーが求められるイタリアに移籍した。アビスパ福岡の下部組織で育った冨安は、高校2年生のときにトップチームでのデビューを果たす。2018年1月に、ベルギーのシントトロイデンに移籍。その年の夏には日本代表に初招集された。日本代表での活躍を認められ、今夏にイタリアのボローニャへと移籍した。

 開幕戦からスタメンの座をつかんだ冨安は、1対1の強さ、相手のパスを読む能力、空中戦での強さなどが長所となるが、攻撃面でも貢献度は高い。センターバックの位置でボールを受けたとき、前方にスペースが空いているとドリブルで持ち上がり左右へパスを散らす。

 さらに、新天地のボローニャでは右サイドバックで起用され、開幕から好プレーを連発。「期待の新人」として評価を高め、プレーの幅を広げている。18人しか登録できない五輪代表のメンバーにおいて、センターバック、サイドバック、ボランチと複数ポジションでプレーできるのは大きな魅力。将来的にはA代表のキャプテンとの声も挙がるほど、求心力のあるキャプテンシーも持ち合わせている。

東京五輪で顔となる久保建英 スペインへの移籍で世界的な注目を集める

 鳴り物入りでFC東京からレアル・マドリード入り久保建英はスペイン1部での出場機会を得るためレンタル移籍をして、現在はマジョルカの所属となっている。小・中学生の頃には、レアル・マドリードのライバルであるFCバルセロナの下部組織に所属していたこともあり、早くから“日本の至宝”として将来を期待されていた。今年になってFC東京のトップチームに定着すると、18歳となった今夏にレアル・マドリード入りを決めた。

 久保は相手選手間のスペースでパスを受けるプレーを得意とし、そこからドリブルで切り込みラストパスやシュートといったプレーでゴールに迫る。ピッチ上の状況を瞬時に見極めてベストなプレーを選択できるので、彼にボールが入ると高い確率で決定的なチャンスが生まれる。

 久保の将来を期待するのは今や日本だけでなく、世界的にも期待する声が高まっている。かつてはフランス代表の選手としてワールドカップを制覇したこともあるレアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督も久保の才能を高く評価しており、今季はマジョルカで実戦経験を積ませて激しいスペインの水に慣れさせることを決断した。

 自国開催の東京オリンピックでは間違いなく“顔”となる選手で、世界的にも大会で最も注目を集めることだろう。

鹿島からバルセロナ入りした安部裕葵 トップチームへの道が東京五輪への道

 2017年に広島県の瀬戸内高校から鹿島アントラーズに入団した安部裕葵の中学・高校時代は、全国的に知られた選手ではなかった。鹿島スカウトの目に留まると年代別代表でも中心として活躍するなど頭角を現すと、昨年は鹿島で背番号10を背負う選手にまで成長した。

 そして、今夏に移籍したFCバルセロナではBチームの所属でスペインの2部B(3部相当)でプレーすることになり、世界一の選手であるリオネル・メッシらがいるトップチームへの昇格を目指している。

 ドリブルを武器に敵陣を切り裂き、シュートやラストパスへとつなげるプレーは一級品。東京オリンピックのメンバー入りに向けたサバイバルが待っているが、FCバルセロナで結果を残すことができれば自ずとその道は開けるだろう。

前回は2名だった五輪世代の海外組が急増 実績、経験ともに「史上最強」

 日本から飛び出して海外で研鑽を積む決断をした五輪世代の選手は他にもいる。2019年冬に川崎フロンターレからイングランドのマンチェスター・シティへ移籍し、現在はオランダのフローニンゲンにレンタル移籍している板倉滉。同じく今年の冬に柏レイソルからオランダのズヴォレへ移籍した中山雄太。今夏に松本山雅からポルトガルのマリティモに入団した前田大然。同じく今夏に名古屋グランパスからオランダのAZ入りを果たした19歳の菅原由勢。ガンバ大阪からオランダのトゥエンテへ移った19歳の中村敬斗。同じくガンバ大阪からマンチェスター・シティへ移籍した食野亮太郎は、レンタル移籍でスコットランドのハート・オブ・ミドロシアンに加入。今季は川崎フロンターレから横浜F・マリノスへレンタルされていた三好康児は、ベルギーのロイヤル・アントワープに活躍の場を移した。

 Jリーグ以外の海外に活躍の場を求めた“海外組”が、五輪世代と呼ばれる若い世代でも一気に増えた。20代前半の選手がこれほどまでに海外でプレーする状況は、過去に類を見ない。ちなみに、前回のリオデジャネイロオリンピックのメンバーで海外組だったのは、南野拓実と久保裕也の2名だけだった。

 実績、経験ともに「史上最強」の呼び声高い東京五輪サッカー男子のメンバー候補。森保一監督は果たして誰を選ぶのだろうか? わずかの期間で成長する彼らが、今季見せる一挙手一投足から目が離せない。

コラム一覧に戻る

トピックス

競技一覧
トップへ戻る