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激震! マラソン・競歩の開催地変更 10カ月前の変更が及ぼす影響とは?

2019年10月27日 19:00配信

 10月17日、国際オリンピック委員会(IOC)が、東京オリンピックのマラソンと競歩の開催地を東京から札幌に変更することを発表した。大会組織委員会をはじめ、選手やファンにも大きな衝撃を与えた。猛暑による棄権者を懸念したということだが、一体どんな影響が考えられるのだろうか――

(C)Getty Images

(文=和田悟志)

マラソン開催地が札幌に変更 同コースだったMGCの経験が水の泡に

 東京オリンピックのマラソン代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)から1カ月が経った10月16日。MGCの興奮も冷めやらないなか、日本陸上競技界、いや、東京オリンピックの関係者、そして待ち望むファンの間に激震が走った。国際オリンピック委員会(IOC)が、マラソンと競歩を“札幌”で開催する案の検討に入ったと発表したのだ。と思いきや、たちまち翌日には正式決定が発表された。これが多くの賛否両論を巻き起こしている。

 そもそもMGCは東京オリンピックのプレイベントとして開催されており、スタートとゴールを除いてはオリンピック本番と同じコースで行われた。また、オリンピック本番を想定した暑さ対策も、給水所を増設したり、ポリ袋入りの氷を置いたりといった工夫がこらされていた。また、コースの路面温度を下げるための遮熱性舗装の整備も進められていた。

 すでにオリンピック内定が決まった選手は、早くも来年8月に“東京で42.195キロを走り切る”ためのトレーニングに入っていただろう。MGCで成果を出した面々は早い段階から準備を進めてきたことを結果に結びつけたが、本番まで10カ月を切った状況での開催地変更に、準備の見直しを迫られることになる。特に、“東京”のコースは終盤に上りが待ち受けるだけに、この難所を実戦で体験できたのは日本人選手には大きなメリットになるはずだった。

 また、日本陸連の強化委員会は、科学委員会の協力で暑さ対策を目的とした合宿を行うなどして、猛暑の東京オリンピックで結果を残すための対策を練ってきた。そういった準備があって、ドーハ世界陸上では男女の競歩で大きな成果を出した。もちろん、マラソンでも同様の取り組みを行ってきている。

 8月の札幌も暑いことに変わりはなく、日本陸連がこれまで暑さ対策として取り組んできたことが全くの水の泡になることはないだろうが、東京開催ほどの大きなメリットは得られないことは事実だ。

安全性を考えれば大きなメリット しかし開催地変更が二転三転の恐れ

 とはいえ、IOCが開催地の変更を検討したのもうなずける。9〜10月にドーハで開催された世界陸上では深夜開催にもかかわらず、高温多湿の悪条件で競歩とマラソンで棄権者が続出した。ドーハの暑さは東京とは比較にならないという報告もあるが、8月の東京も相当なものだ。すでに、当初の予定よりもスタート時間を早めることなどは決まっていたが、早朝でも30度に迫る過酷な条件下のレースになることも予想されていた。

 しかし、8月の東京の猛暑は東京オリンピックの開催が決まった時点で分かりきっていたことだ。選手の安全性を考慮すれば、IOCが開催地の変更に踏み切ったのも致し方ないことかもしれないが、もっと早く検討されていても良かったことだった。仮に、札幌開催の決定が2〜3年早かったら、賛否の“賛”のほうが多かったのではないだろうか。こと日本人選手に限っていえばデメリットのほうが目立つが、多くのアスリートの安全性が保たれるという点では、大きなメリットになるのだから。暑かろうと涼しかろうと、選手にとって条件は同じ。そう割り切って、また1から準備を進めるしかない。

 選手サイドよりも、東京オリンピック組織委員会のほうが痛手は大きいのではないだろうか。オリンピック種目で男女のマラソンといえば人気種目。2016年のリオデジャネイロ五輪の日本における平均視聴率では、日本人選手の成績が振るわなかったにもかかわらず、男子マラソンが最も高く、女子マラソンも3位だった(ちなみに、2位は開会式)。この花形種目が他の都市で開催されるとなれば、盛り上がりに欠けてしまう恐れもある。また、すでに販売されているチケットの問題もある。IOCの決定がなされたものの、札幌開催が実現するまではまだまだ問題は山積みだ。代表が内定している競技者をこれ以上振り回さないでほしいが、はたまた二転三転することもあるかもしれない…。

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