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男子ボクシング競技の国内代表が決定 世界を相手に戦う選手とは?

2019年12月12日 19:00配信

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 男子ボクシング競技は、11月下旬に行われた全日本選手権で優勝した面々が日本代表として戦うことが決定した。今後、世界を舞台にした大会で東京オリンピック出場枠の獲得を目指すことになるが、日本代表となった選手たちはどのようなボクサーなのだろうか――

(文=善理俊哉)

(C)Getty Images

国内代表選手を決める全日本選手権 今大会から元プロが参加して注目を集める

 11月20日から24日にかけて鹿児島の阿久根市総合体育館で開催されたボクシングの「2019年度全日本選手権」では、男子8階級のトーナメント優勝者が東京オリンピックで戦うための代表メンバーに決まった。今回の大会にはプロボクシングの元世界王者や世界ランカーなど元プロ選手の参加が認められ、各地区の予選から注目度は例年以上に高く選手たちが意地をぶつけ合った。2012年のロンドンオリンピックでは、男子75キロ級の村田諒太(当時・東洋大学職員=現WBA世界ミドル級王者)が金メダル、清水聡(当時・自衛隊体育学校)が銅メダルを獲得したボクシング。東京オリンピックではどの選手が世界の強豪と競い合って、金メダルを目指すのだろうか。

“世界王者の実兄”や“史上最強の高校生だったボクサー” 世界での期待が高まる逸材がそろう

 52キロ級を勝ち抜いた田中亮明(中京高校・教員)は、プロボクシングの世界王座を3階級制覇している田中恒成(畑中ジム所属)の実兄となる。スピーディーなパンチで攻防を組み立てる弟とは対照的で、兄は構えがサウスポースタイルで左ストレートを武器にした力強い攻撃を持ち味にしている。2016年のリオデジャネイロオリンピックの予選では、本戦で金メダルを獲得するシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)に善戦したが敗退。東京オリンピックに向けてはリベンジという思いが強い。

 57キロ級は日本で最も充実しているが、その群雄割拠となる階級を制したのは堤駿斗(東洋大学)だった。現在プロボクシング界で快進撃を続ける井上尚弥(大橋ジム所属)を含め、これまでも高校ボクシング界に怪物たちはいた。だが、その中でも堤の実績は群を抜いている。世界ユース選手権での優勝は日本人で唯一の記録となっている。洗練された左ジャブを使って自分に優位な距離を守り、弱冠20歳とは思えぬ完成度で相手を追い詰めていくスタイルは世界でも一級品と言えるだろう。

 63キロ級では成松大介(自衛隊体育学校)が代表となった。実は、日本代表の選手はリオデジャネイロオリンピックで誰も予選を通過できないと予想されており、危機に直面していた。そこで真っ先に通過を決めたのが成松で、非凡な腕力を生かしたブロッキングで対戦相手のスタミナが切れるまで攻撃させてから反撃をしかけるのを得意とした。しかし、現在は軽快なフットワークから相手の隙を見て飛び込み、ポイントを取るスタイルにチェンジしている。

ユニークな才能が代表権を獲得 世界の舞台に向けた戦いが始まる

 69キロ級代表の岡澤セオン(鹿児島体育協会)は、母が日本人で父がガーナ出身といった両親の元で育った。ダンスするかのような独特のリズムでクリーンヒットを奪い続けるスタイルで、今年4月に行われたアジア選手権では銀メダルを獲得した。10月に行われた東京オリンピックのテストイベントでは金メダルを獲得した。そして、今回の全日本選手権では最優秀選手賞にも選ばれ、東京オリンピックでもメダルを期待される逸材だ。

 75キロ級を制したのは、森脇唯人(自衛隊体育学校)となった。ロンドンオリンピックで村田が金メダルを獲得したこの階級には、日本の競技人口が少ないのが常だった。その中で、森脇は抜群のハンドスピードを持ち味とした本格派王者として君臨している。そして、昨年から国際大会でも表彰台入りを果たすようになり、東京オリンピックでの成績も期待できるようになってきた。

 81キロ級では梅村錬(拓殖大学)が代表権を獲得した。岩手県の江南義塾高校時代には全国大会で4冠王となったゴールデンボーイだったが、大学進学後にエリート(19歳以上の成年部門)の壁にぶつかって国際大会ではいまだに勝ち星がない。しかし、長年の夢である東京オリンピックへの執念を形にしたようなしつこい連打で、全日本選手権を優勝。東京オリンピックには「開催国枠を使わずに地力で出たい」とプライドをのぞかせた。

 ここまでに紹介した各階級の男子王者たちのほかに、女子の予選出場メンバーを決める『ボックスオフ』が12月8日に都内の東洋大学キャンパス内で行われる。そして、来年2月にアジア・オセアニア予選が中国の武漢で開催。5月には世界最終予選がフランスのパリで行われ、彼らは代表権を獲得することになる。

 統括団体のガバナンス問題によって他競技より準備が遅れていたボクシングだが、いよいよ戦いのゴングに向けて準備が整ってきた。

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