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競泳代表選手が決定する日本選手権 有力メダル候補や復活を期す選手に注目

2020年3月25日 13:30配信

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東京オリンピック競泳の代表選手を決定する日本選手権が、4月1日からいよいよスタートする。今大会で東京オリンピック出場の切符を得て本大会でメダルが期待できそうな選手はいったい誰なのだろうか――(文=佐藤俊)

渡辺一平、松元克央、大橋悠衣 瀬戸大也に続くメダル候補の3人

 現在、日本競泳陣のなかで東京オリンピックの出場内定を得ているのは、瀬戸大也(400メートル個人メドレー、200メートル個人メドレー)だけだ。個人種目は、日本選手権の決勝で日本水泳連盟が定める「派遣標準記録」を突破し、2位以内に入ることが条件になる。昨年の世界水泳選手権の結果を踏まえて、日本選手権でオリンピック出場を決めるのは誰になるのだろうか。

 男子では、まずは渡辺一平(トヨタ自動車)だろう。リオデジャネイロオリンピックでは準決勝でオリンピック最速記録を出していながら、決勝では6位だった。「魔物はいなかったけど、決勝の泳ぎが悔しかった」と唇を噛み締めた。誰もが渡辺のことを強く、速いという。昨年の世界選手権200メートル平泳ぎでは銅メダルを獲得、同年7月にロシアのアントン・チュプコフ(2分6秒12)に破られるまで、200メートル平泳ぎでの世界記録(2分6秒67)を持っていた。北島康介にあこがれて成長し、今やメダルの有力候補のひとり。その渡辺が今、見据えているのは、「世界記録を出して、金メダル」だ。そのためには日本選手権で圧倒的な強さで優勝し、期待どおりの強さを見せられるだろうか。

 昨年の世界選手権、男子200メートル自由形で日本人史上初の銀メダルに輝いた松元克央(セントラルスポーツ)も期待の選手だ。小学校時代のアダ名は「カツオ」で、当時から抜群の泳力を見せていた。頭角を現してきたのはリオデジャネイロオリンピック後になるが、2018年アジア大会男子200メートル自由形では銀メダルを獲得。豊富な練習量をこなしていくなかで伸びてきた。世界選手権以降は、前半からスピードを上げること、そして150メートルからのラストスパートに力を発揮できる練習に取り組んできた。世界最速を目標に、日本選手権では違いを見せて東京五輪へ向けた良いステップにしたい。

 女子では、世界選手権女子400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した大橋悠衣(イトマン東進)に注目だ。世界選手権では200メートル個人メドレーで失格となり、涙にくれたが400メートル個人メドレーで雪辱を果たした。もともと力のある選手。世界選手権後は「最後の100メートルの自由形が一番集中したいポイント」と、高地などでハードな練習をこなしてきた。女子200メートル個人メドレー、400メートル個人メドレーの2種目でしっかりと東京五輪代表選手の椅子を勝ち取り、東京オリンピックの舞台で金メダルを争うレースを期待したい。

日本選手権が最後の勝負の場!? 復活を期する注目選手

 彼ら3人は順当に行けば、それぞれの個人種目で東京オリンピックの代表選手を確定するだろう。だが、これまでギリギリの戦いを続けて来て、この日本選手権を最後の勝負の場としているのが坂井聖人(セイコー)、入江凌介(イトマン東進)だ。

 坂井はリオデジャネイロオリンピック男子200メートルバタフライの銀メダリストである。0秒04秒差でアメリカの英雄マイケル・フェルペスに敗れ、「4年後こそは」という強い想いを抱いた。だが、その後に燃え尽き症候群になり、また両肩の痛みなどから思うような泳ぎができず、日本代表チームからも離れた。昨年からようやく復調し、肩の重度の痛みからも解放され、自分の泳ぎができるようになってきた。「五輪の借りは五輪でしか返せない」と、4年前の悔しさを晴らすべく東京オリンピック代表の椅子を獲得することに執念を見せる。

 入江は、背泳ぎのスペシャリストである。ロンドンオリンピック100メートル背泳ぎでは銅メダル、200メートル背泳ぎでは銀メダルを獲得した。リオデジャネイロオリンピックでは惜しくもメダル獲得はならず、精神的にも肉体的にも疲労、3カ月休養。その後は活動の拠点をアメリカに移し、練習を続けていた。伸び伸びした環境で体幹を軸としたトレーニングなどで体作りを一から始め、昨年の世界選手権100メートル背泳ぎでは6位、200メートル背泳ぎでは5位になった。まだまだだが、やれる手応えは得ている。「すべては東京五輪のために」と強く思い、努力を続けてきた。30歳でもやれることを優勝という結果で示してほしいと思う。

 そして、もうひとり。非常に注目されているのが、萩野公介(ブリジストン)だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは400メートル個人メドレーで金メダル、200メートル個人メドレーで銀メダルと、日本水泳界を引っ張るエースとしての働きを見せた。だが、2016年9月にリオデジャネイロオリンピック前から痛めていた右ひじの手術をしてから繊細な動きを失い、萩野の水泳は崩れていった。練習では手応えをつかめても、レースではそれを発揮できない。ストレスが溜まり、精神的にも崩壊しかけたとき、萩野は2019年3月に休養を宣言した。世界を旅したり、故郷に戻ったりするなか、3か月後にプールに復帰。再び東京オリンピックへと歩み出した。だが、いくらオリンピックのメダリストでも、復帰してすぐに勝てるほど水泳は甘くない。思うような結果が出ずに落ち込んだが、それでも今年2月のコナミオープンでは200メートル個人メドレーで2位(1分59秒23)になった。派遣設定記録(1分57秒98)に1秒25足りなかったが、いける手応えは感じた。それから日本選手権まで1カ月半、どこまで調子を上げることができたのだろうか。

 女子の水泳陣をリードした池江璃花子(ルネサンス)が闘病中のため、東京オリンピックの舞台でレースが見られない寂しさがあり、萩野も不在となると飛車角落ちのムードになる。

 一方、萩野が復活すると、日本の水泳界は大きく盛り上がる。今回の日本選手権は多くの東京オリンピック代表選手が生まれるだろうが、おそらく萩野のレースが最も注目を集めることになるだろう。

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