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メダル獲得を目指す4×100mリレー 群雄割拠の候補選手から選ばれる4人の条件

2020年4月22日 13:00配信

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陸上競技のなかでもメダルの可能性が高いと言われているのが、4×100メートルになる。シーズンごとに新しい有力選手が現れるなど群雄割拠で、延期された東京オリンピックでのメンバーを決めるのは悩ましい状況となっている。果たして、1年後にバトンを繋ぐメンバーには誰が選ばれるのだろうか――

(C)Getty Images

(文=佐藤俊)

世界も注目する日本の4継 メダル獲得への期待が高まる

 1年延期になった東京オリンピックだが、陸上のトラック競技でメダル獲得の可能性が最も高いのは男子4×100メートルのリレー(通称4継)だろう。日本の男子4継はアテネオリンピック以降、メダル2個、世界選手権でも2度メダルを獲得している。

2004年アテネ五輪 4位 38秒45

(土江寛裕、末續慎吾、高平慎士、朝原宣浩)

2008年北京五輪  銀メダル 38秒15

(塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣浩)

2012年ロンドン五輪 4位 38秒35

(山縣亮太、江里口匡史、高平慎士、飯塚翔太)

2016年リオ五輪 銀メダル37秒60

(山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥)

2017年ロンドン世界選手権 銅メダル 38秒04

(多田修平、飯塚翔太、桐生祥秀、藤光謙司)

2019年ドーハ世界選手権 銅メダル 37秒43

(多田修平、白石黄良々、桐生祥秀、サニブラウン・ハキーム)

 日本の男子4継が持つ最高記録は、2019年に開催されたドーハ世界選手権での37秒43だ。アジア最高記録であり、全世界で見てもジャマイカ、アメリカ、イギリスに次いで4番目の記録になる。日本は、桐生(日本生命)が2017年に9秒台を出すまでは100メートルで10秒を切る選手がいないのにもかかわらず、リオデジャネイロオリンピックでメダルを獲得した。その偉業に世界のアスリートからも注目されており、ウサイン・ボルトも感心する「絶妙なバトンパス」であるアンダーバトンパスを磨き、日本はチームとして戦うことで100分の1秒を削り出してきた。

個々のレベルも右肩上がり 気になる1年後のメンバーは?

 近年は桐生に加え、サニブラン(フロリダ大)が9秒97、小池(住友電工)が9秒98を出すなど9秒台を記録する選手を3人も輩出し、個人レベルとしても世界と戦える質の高いチームになってきている。それだけに、東京オリンピックに向けてのリレーメンバーの編成が気になるところだ。

 現在、東京オリンピック100メートル男子の参加標準記録(10秒05)に達しているのは、桐生、小池、サニブラウンの3人だ。200メートル男子では、小池とサニブラウンの2人になる。彼らに続くのが10秒12の記録を持ち、世界選手権で2大会連続の銅メダルに貢献している多田(住友電工)だ。タイムだけでメンバーを決めるのであれば、この4人になる。

 ただ、100メートルなどのタイムが速いだけでは勝てないのが、リレーの面白いところだ。1走はスタートダッシュがうまい選手、2走はバトンを受ける場所によって変化するが最長で130メートルを走ることになり、持久力かつ直線で力を発揮できる選手、3走はカーブを全力で走ることになるので、コーナーリングのテクニックが必要になる。そして、アンカーは直線での爆発力が求められる。適材適所の配置が要求されるわけだ。

 個人的には、故障や極端な不調でもない限り、3走の桐生と4走のサニブラウンは鉄板だと思っている。桐生は3走の経験が豊富で、スピードを生かしたままアンカーに繋げられる走りがうまい。サニブラウンは、彼のスピードで勝てる選手は国内にはおらず、最後の直線で順位をキープあるいは上げる役割を果たせる。

 今後、変化があるとすれば1走、2走だろう。では、誰がその候補となるのか。

 ドーハ世界選手権で2走を任され、メダル獲得に貢献した白石(セレスポ)は今後が楽しみな逸材だ。多田と同年齢であり、同じコーチの下で練習をこなすことで急成長している。普段から多田とはコミュニケーションを取っているのでリレーの相性も抜群で、ドーハでは初めてとは思えない完璧なバトンパスを見せた。200メートルが主戦場ゆえに持久力とスピードを兼ね備えている。伸びしろから見てもメンバーの有力候補だろう。

 日本の9秒台3人衆のひとり、小池も有力候補だ。ドーハの世界選手権では1走を任され、37秒78で国内歴代4位の記録を出している。スタートのうまさは多田だが、後半の伸びは小池が強い。

 また昨年は故障で苦しんだが、100メートル10秒00の記録を持つ山縣(セイコーホールディングス)も復活が予想される。100メートル参加標準記録を破るなど調子を取り戻せば、五輪2大会連続でスターターを任された経験があるだけに大きな戦力になるのは間違いない。

 ケンブリッジ(Nike)は故障などで近年は伸び悩んでいるが、リオデジャネイロオリンピックではアンカーを務め、「最高の瞬間だった」と表情を綻ばせ、「4年後も東京でメダルを獲る」と意欲を見せていた。壁を乗り越えることができれば十分に9秒台を狙えるし、メンバーに入ってきてもおかしくはない。他にも100メートル10秒12を持つ坂井隆一郎(大阪ガス)、10秒22の川上拓也(大阪ガス)もおり、来年までに勢力図が変わる可能性は十分ある。

「リレーは100メートルの個人種目とは全く別モノ。でも、みんなで一緒に戦って、何かを勝ち取るという達成感がある。これからもリレーを日本のお家芸にしていきたい」

 桐生は、そう語っている。

 リレーは個人種目のトラックにあって、唯一の団体競技。力を合わせて勝利を目指す形は、日本人向きの競技でもある。これからも個々で磨きをかけてタイムを上げれば、さらにメダルへの可能性が高まる。競争と共栄でチーム力をブラッシュアップすると、最終的にどんなメンバーになるのだろうか。今後1年における有力候補選手の活躍、そしてニューカマーの登場に期待したい。

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