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アスリートインタビュー

<インタビュー>越川優がビーチバレーで目指す“2度目”のオリンピック

2018年7月9日 11:55配信

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17歳の時に全日本男子チームに選出され、2008年には16年ぶりにチームをオリンピック出場に導き、エースとして活躍してきた越川優。バレーボールの第一線で活躍してきたが、2017年1月、当時32歳の時にビーチバレーボールへの転向を発表した。なぜ、越川は輝かしいステージからそれまで足を踏み入れたことのないビーチへと進むことを選んだのか──。挑戦する理由に迫る。

全日本のエース”がビーチバレーに転向 挑戦の理由

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──2017年5月をもってバレーボールからビーチバレーボールに転向しました。17歳の時に全日本チームに選ばれて戦ってきたステージから離れて、ビーチバレーボールに挑戦しようと思った経緯から教えていただけますか?

「東京オリンピックが開催されなければ、なかった決断だと思っています。東京オリンピックをどういうカタチで目指そうかと考えた時に、36歳になりますけど、まだまだ選手でプレーできると思いました。それはインドアをやっていてもトップでプレーできる自信はありましたけど、代表に選ばれるか、と考えたら、それはないと思いました。だったら、たとえ代表に選ばれなくても、単独で国際大会を転戦してそこで結果を残せば、自動的に日の丸をつけた戦えるビーチという環境を選びました」

──高校からVリーグ、そしてオリンピック出場(2008年北京)を果たし、その翌年にはイタリアへ渡りました(2009年イタリア・セリアA2のパドヴァ)。そして、ビーチバレーボールへの転向。新たなことに挑戦していく、という越川選手のバイタリティの根源はどこにあるのでしょう?

「自分がやりたい、と思ったことに挑戦していく中で、自分が進むべき道を人に作られたくない、というところですかね。自分自身が進んでいく道は、自分でデザインしながら進んでいきたい。それがひとりの人間として充実するために必要だと、僕は思っています」

──自分の意志で進んでいくことで、責任が持てますね。

「人生は一度しかないし、過去には戻れませんから。でも、すべてのことがうまくいくとは限らないですよね。だけど、ほしいものがあったとしたら、たとえどんな環境であろうとも、手に入れようとする努力はできるはずです。そこに向かっていく過程が、誰かに影響を与えたらそれが自分自身の刺激になりますし、大げさかもしれないですけど、そこに自分が生きていく意味があります」

「やりたいと思ったことをやらない理由はどこにもない」

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──男子バレー選手のほとんどは大学に進学していますが、越川選手は高校卒業後、Vリーグのサントリーに入社しています。そういった決断もそのひとつですか?

「僕たちの世代は、バレーボールの『ゴールデン世代』。才能にあふれた選手たちがたくさんいました。女子では、大山加奈、栗原恵(ともに元全日本)が高校時代から注目されて『メグカナ世代』とも呼ばれていましたけど(笑)。僕は中学選抜やユース、ジュニアに選出されていましたが、実は試合に出場する機会は少なかったんです。このままだったら、将来シニアの代表に選ばれるのは難しいと思っていました。その状況で同世代の選手に勝っていくためには、みんなと同じことをしていても追いつけないだろうなという想いがあったからです」

──いつ頃から、自分自身に刺激を与えるという考えを持つようになったのですか?

「高校の進路を決める中学生3年の時には、持っていたかもしれません。じゃないと、当時全国で強豪だった岡谷工業高に行かないと思います。両親の育て方が影響しているかもしれませんね。そこを意識して育ててきたわけではないと思いますが、僕がやりたいと思う方に縛りをかけることなく自由にはやらせてもらっていました。例えば、習い事一つにしてもやりたいことがあったら、ダメとは言わず、『やってみたら?』と背中を押してくれましたね」

──越川選手のバレー人生を追っていくと、自分の力を発揮するためには一つの場所にこだわらず、変化を遂げていっているように感じます。

「自分がやりたいと思ったことをやらない理由はどこにもないですよね。それは仕事でも趣味でも大きいことでも小さいことでも何でもそうだと思うんです。“やりたいこと”を“できない”と捉えてやらないのは、言い訳だと思います。僕自身も、“今はできない”と思うこともありますよ。できないのは、今は優先していることがあるという言い訳があって、いずれ時間ができたらやろうと思っていることもあります。“やりたい”と思ったことは、挑戦するまで終わらないですね」

──挑戦するタイミングや、判断する時期も間違いなかったのでは?

「僕だって、時には間違えることもありますよ。いくつか選択肢があったら、あっちのほうを選べばよかったな、とか。それに今まではよかったのかもしれないけれど、これからは結果が出るかわからない。でも、最初にも言いましたけど、過去に戻れないから、間違ったなと思ったら修正すればいい。間違ってしまっても、そこで終わりではないと思います」

──最後に今、挑戦している東京オリンピックへの想いを聞かせてください。

「東京オリンピックに出るのが、僕の目標ではありません。オリンピックで勝つために、オリンピックでの結果がほしいからビーチバレーボールをやっています。世間のビーチバレーボールの印象は、バレーボールでピークを終えた選手がやっているとイメージが少なからずあると思うので、東京オリンピックで結果を残して、決してそうではないことを証明したいと思います」

プロフィール

越川優 YU KOSHIKAWA

1984年6月30日生まれ。石川県金沢市出身。長野県岡谷工高在学中の2002年、全日本に初選出される。卒業後、サントリーサンバーズに入団し、中心選手として活躍。2008年北京オリンピック出場を果たす。2009年にはイタリアのセリエA2のパドヴァに入団。帰国後はサントリーに復帰し、2013年にJTサンダーズに移籍。2014/2015シーズンでJTを創部初優勝に導き、現役最後の大会となった2017年5月に黒鷲旗全日本選手権では優勝し、有終の美を飾った。

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