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東京五輪2020

アスリートインタビュー

「誰が代表になるかわからない」リオ五輪ゴルフ代表、大山志保が語る東京への思い

2019年11月28日 11:35配信

ゴルフ競技の五輪代表は、国際ゴルフ連盟が発表する男子は来年の6月22日、女子は同29日の『オリンピックゴルフランキング』に基づき決定される。期限直前の大逆転の可能性も有るだけに、五輪代表に関するインタビューとなると時期尚早と尻込みするプレーヤーが多い中、前回のリオ五輪の女子代表の大山志保選手が取材に応じてくれた。候補選手に関することや日本人プレーヤーのメダルの可能性、そして前回のリオ五輪のことなどを話してもらった。

(文=古屋雅章、写真=小内慎司)

©小内慎司

――ゴルフ競技は男女とも、まず、ランキング15位までのプレーヤーに出場権が与えられます(但し1か国4人までに限る)。残りを16位以下のプレーヤーの中から(15位以内の有資格者も含め一か国につき2名を上限に)出場権が与えられ、男女とも最大60人の出場プレーヤーが決まるわけです。まずは、何人の日本人が15位以内に入れるかということ関心が集まりますよね。

「そうですね。私は15位以内に3人は入る可能性があると思っています」

――現時点では(2019年10月末日)、日本人で15位以内にいるのは畑岡奈紗プロが3位、渋野日向子プロが12位の2人だけですけれど。

「もちろん、今の時点で(畑岡)奈紗ちゃんに一番可能性があるし、渋野さんも含めてこの二人が有力候補だと思います。でも今後、来年の春先から6月にかけて、今年の渋野さんのように凄い成績を挙げる人がポンと出てくるかもしれないし、来シーズンの前半戦に調子が良い状態にもっていけた選手に可能性があるわけだから、本当に最後の最後まで、代表レースは大混戦になるんじゃないかなと思っています」

――それほど今の日本の女子プロゴルフ界の競争は激しいわけですか。

「いやぁ、入れ替わりが激しいですよね。新しい子がドンドン出てくるし、その一方で、以前の不動(裕理)さんみたいに圧倒的な強さをもつ存在がいないので、本当に誰が代表になるかは分からないと思います」

©小内慎司

――現在、日本の3番手は鈴木愛プロで27位ですから、仰る通り今後の成績によっては充分に15位以内にランクイン可能です。鈴木プロ自身も「東京でやることは、自分が生きている間はもう無いだろうし、年齢的にイイ感じに重なってくれたので、出られるなら出たいと思いますし、東京でメダルが取れたらなと思っています」と意欲的です。ただ、鈴木プロは今年の日本女子オープンを左の手首痛で欠場をしていることは心配です。今後は、鈴木プロに限らず、ケガが代表レースに左右するポイントにもなりますね。

「そうです。私自身が大会前にケガを経験したからじゃないですけど、『一生に一度』だからと無理をして、その先のゴルフ人生に悪い影響が残らないように、気を付けながら頑張ってほしいなと思います。まだまだ、20代の子には何度もチャンスがあるわけですから」

――今、話しに出ましたが、前回のリオ五輪に出場された時の話を聞かせてください。

「2007年の終わりから左ひじの痛みに悩まされ、2009年に手術をしたんですけれど、その直後にゴルフが116年ぶりにオリンピックの競技種目になるというニュースが入ってきたんです。それでその後に一年間のリハビリ中に、オリンピック出場を目標に掲げ、それをモチベーションにして頑張れたんです。だから代表に決まった時は、目標を持って、自分は出来るんだと強く想い続けることの大切さを、本当に知ったという感じだったんです」

――オリンピックは通常のツアーの試合と違い予選落ちが無く、一戦必勝なので、最初から飛ばしていくみたいな戦略はあるのですか。

「う~ん、飛ばして行こうでは無いけれど、最初から自分の持っているものを出し切りたいなと思ってプレーはしていましたね。とにかく、今の自分がもっている力を全部出し切るという思いでプレーをしていました」

――どうしてですか。

「5月に、今度は肩と首をケガで痛めてしまい、本番の8月までに良い調整がまったく出来なかったんです。練習量も足りなくて、だからせめて、今自分が持っている力は全て出し切るという気持ちで、初日からやりました。そういう状況で臨んだので、オリンピックの本番にピークをもっていくとことがいかに難しいかを改めて実感させられたし、それをクリアしてメダルを獲る選手って本当に凄いなと思いました」

――左手首のケガを克服して代表になれたのに、本番前に別の個所を痛めてしまったわけですか。大山さんにとってリオ五輪って、どんなものだったわけですか。

「もちろん、オリンピックの舞台は夢の舞台だったので、そこで国を代表してプレーをしたことは良い経験になりましたし、幸せなことでした。でも、結果自体は自分としては満足のいくものでは無かったし、未だに『悔しい』という気持ちを引き摺っていて、やっと最近、オリンピックとかの番組とか関連ニュースとかも見られるようになったくらいです。これが自分個人だけのことだったら、練習が足りなかったとか、ケガをして運がなかったとかそういうことで済んだのかもしれないけど、4年に一度のオリンピックだし、もう出場することも無いと思うし、『出場した』というだけになってしまった。ほんと、日本のゴルフ界にはもっと強い選手がいるのに申し訳なかったとか、そういうことばかり考えていましたね。一時期は」

©小内慎司

――オリンピックに出られて良かったというわけじゃないんですね。

「私の場合は、そうでしたね」

――東京大会のゴルフの会場となる霞が関CCは今回、トム・ファジオとローガン・ファジオの親子が改造してだいぶ変わったらしいんですが、改造前にプレーをしたことはありますよね。

「ええ。1999年の日本女子オープンで回っています。当時、私はアマチュアでしたが、3日目の途中まで優勝争いをしたんです。グリーン周りのバンカーが効いていて、ショットが良いだけでは通用せず、ショートゲームの技術が求められる、全てが揃わないと良いスコアで回れないコースだなという印象があります」

――日本人プレーヤーに有利ということはありますか。

「やっぱり芝とかグリーンの状態に慣れている選手の方が有利なんじゃないかなと思いますね。もちろん、事前にチェックのラウンドが出来れば有利ですよね。リオの時はラフが無かったので、飛距離が出れば短いウエッジで打てることが多かったので飛ばし屋有利の部分もあったけれど、霞が関はラフがきつくなってくると思うので、そうなれば正確性とかショートゲームのスキルが良くないと上にはいけないと思うので、日本人選手にも十分にメダルの可能性はあると思いますね」

――8月の日本の暑さは尋常ではないですが、その点はどう影響しますか。

「日本の特有の湿気を含む暑さの中で、いきなりプレーをするのと、少しでも慣れているのとでは大きく違いますから、そこは開催国の強みになるのではないでしょうか」

――畑岡奈紗や渋野日向子、そして他のプレーヤーが選ばれたとして、日本人の活躍は期待できますかね。ライバルは韓国勢ですか。

「私が出た時(ランキング43位)とは違って、今の彼女たちは世界ランクの上位者ですから、その辺は全然違います。オリンピックではやはり世界ランキングのトップ10にいる選手がメダルを獲る可能性は高いと思うので、二人には期待が大いにできますよね。レベル的に畑岡さんも渋野さんも韓国人のトップ選手と変わらないし、何といっても自国開催がプラスになります。だから誰が代表になったとしても、私は日本人選手がメダルを獲ると思っています。コースを分かっていて芝の感覚を分かっていること、そして何より、ギャラリーの「入れ」っていう気持ちは届きますよ。今の日本人の若い選手は、それを力に変えられると思います」

――ラグビーのワールドカップのように、多くの国民がこれを機会にゴルフ競技に注目し、応援をしてくれるということがメダル獲得を後押ししてくれるわけですね。

「そう思います」

――来年の6月まで、誰が代表になるか分からないわけですから、大山さんもレースに加わっている一人なので、頑張ってください。

「いやぁ、私は今回は、どちらかというと仲間の応援の方に回っているので。日本人選手の誰かがメダルを獲ることを楽しみにしています」

©小内慎司

[PROFILE]

大山志保(おおやましほ)

1977年5月25日生まれ。168センチ、63キロ。宮崎県宮崎市出身。10歳でゴルフを始める。2000年にプロテストに合格。2003年にツアー初優勝し、現在までにツアー18勝。2006年に年間5勝を挙げ、初の賞金女王になる。09年からは米女子プロツアーに参戦、16試合に出場し翌年のシード権を獲得。同年10月に手術を受け、2010年秋にアーに復帰。2016年ゴルフ日本代表選手として臨んだリオ五輪で42位。ケガや故障に負けずに試合に挑み続ける不屈の精神と闘志あふれるプレースタイルで根強い人気のプレーヤー。

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