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東京五輪2020

アスリートインタビュー

「五輪が延期になってよかった」更なる進化を見せる奥原希望の決意

2020年10月27日 10:56配信

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2016年リオ五輪でメダルを獲得し、2017年世界選手権でも金メダルを獲得。次々に日本初を打ち立てる女子バドミントン界期待の星、奥原希望選手。

このコロナ禍でもYouTubeやSNSなどでも積極的に発信を続け、競技外でも日々存在感を強めている。そんな彼女が、各地への遠征再開を前にコロナ禍での活動の振り返りと、競技面での近況、そして五輪に向けての意気込みについて語った。

(文=VICTORY編集部、写真=ベースボール・マガジン社)

©ベースボール・マガジン社

「もっと変えていこうとする力があれば、変えられるものも多い」

――奥原選手は、YouTubeやSNSなどで積極的に情報発信をされていると思うのですが、そういった活動を始めようと思われたきっかけはありますか?

元々、ヨーロッパの選手が試合後に写真と共に試合の感想を書いているのを見て、それを真似しようと思ってはじめました。自分の反省にも役立ちますし、直接ファンにメッセージを届けられるっていうこともありますし。最初は日本語だけでやっていたんですけど、海外のファンもいらっしゃるので是非英語でも書いて欲しいと言われて、日本語と英語で書くようになっていきました。そんな中で、投稿するのが当たり前になっていたんですが、コロナ禍で試合がない中で何を伝えればいいんだろうっていうのは考えていました。

――そのコロナ禍でも継続して発信をされていましたよね。

応援してくださるファンの方たちのために、何かできないだろうかと考えて毎日私の投稿を見て少しでも元気になってもらえたらいいなと思って投稿していました。それでも自粛期間は、怠けようと思えば怠けられる時間でした。オリンピックもどうなるかわからないし、私にとっても葛藤があったんですけど、日記みたいに投稿していくことで自分も何かをやる活力にもなりましたし、皆さんにとっても活力になればいいなという思いで発信し続けていました。

©ベースボール・マガジン社

「もっとエンターテインメント要素を大きくしていかないと」バドミントン界への提言

――バドミントン界の中ではあまり例のない「プロ」として活動されていますが、実業団所属のときとの違いはありますか?

私としてはプロだからできる、できないって思われたくなくて、バドミントンのトップ選手みんなに良い方向へ向かおうって思ってもらいたいですね。現状維持じゃなくて、もっと変えていこうとする力があれば変えられるものも多いので、みんなの力を借りながらやっていきたいと思っています。

――そんな中で、奥原選手が感じる日本のバドミントン界の課題はどのあたりにあるとお考えですか?

もっとエンターテインメント要素を大きくしていかないと、直接お客さんが会場に観に行きたいとは思わないんじゃないかなと。スポーツの迫力を感じるために、会場へ観に行こうと思ってもらえるようにしたいですね。競技人口自体は多いんですが、「観戦人口」っていうのを、もっと増やしていかなければならないと思っています。私たちとしても、リモート応援より直接声援を受けた方が嬉しいので。特にインドネシアの会場は声援がすごくて、シャトルを打つ音とかも聞こえないですけど、お客さんが楽しんでいる雰囲気もすごく伝わってきます。シャトルを打つ音が聞こえないっていう、プレーに向いた環境とは言えない状況なんですがそれでもバドミントン選手はみんなインドネシアでプレーしたいって言いますね。

――そんなに観客の皆様の力は大きいんですね。

観客の皆様がどれだけ楽しんでいるかが私たちのモチベーションにもなるので、日本のスポーツ全体の観戦においても、盛り上がっていって欲しいですね。選手たちがバドミントンに限らず、他のスポーツでも世界トップで活躍することが多い中、せっかく身近でこんなに大きなイベントがあるのに、それを十分に楽しめていないというか。終わってからその大会を知ったとかであれば、本当にもったいないと思いますし、日常生活の一部にスポーツがあってほしいなって思います。

――スポーツ観戦人口を増やしていくためには、どのようなことが必要だとお考えですか?

会場に行くまでのハードルをなくしていくこと、そして会場に行くまでの労力を使ってまで、見に行きたいと思えるエンタメを作っていかないといけないと思います。ただ試合を観るだけだと、リモートでいいかなって思ってしまうので、試合以外の部分でも積極的に取り組んでいかなければならないと思います。飲食だったり、それこそ飲酒も認めて、体育館の中で販売するとか。そういう施策でどんどん、スポーツ観戦をエンタメ化していくことが必要かなと。

©ベースボール・マガジン社

五輪延期は「しょうがない」

――話は変わって、近況についてお伺いしますが、直近の日本代表合宿はどうでしたか?

みんなビクビクしている感じもなく、ソーシャルディスタンスは保ちながらでしたけど、久しぶりに代表レベルの選手と思いっきり打ち合えたので、いい刺激になったかなとは思います。楽しかったですね。

――練習内容はいかがでしたか?

最初は検査結果が出るまでは、できるだけコートに入らなかったんですけど、結果が出てからは少しずつ今までに近い形でやれるようになっていきました。

――合宿問わず、コロナ禍も含めて、どのように練習をこなされてきましたか?

半年間ずっと練習してきて、怪我はほぼなく短期集中で質の良い練習ができています。今、一番状態がいいですね。そんな中でも課題がないわけではなくて、でも前に進めているのが試合がない中でも実感できているので、今までやってきたことが形になっているのかなとは思います。

――試合がない中だと、中々成長を実感できるタイミングもないのかなと思うのですが。

いつもは男子選手に相手をしてもらっているんですけど、今回の代表合宿では女子の選手とシャトルを交えることで、やっぱり男子選手の方がスピードが速い分、女子選手に通用する部分が実感できましたね。

――今後、ようやく試合が再開されると思うのですが、率直なご感想をお聞かせください。

やっと試合ができるなって感じです。今の状態でどこまで自分が通用するのかっていう意味で、挑戦して行こうと思っています。相手が格下であっても、自分のやってきたことを試せる場だと思います。去年は一回もタイトルが取れなかったんですけど、自分の中でその理由がやっとわかったし、だからこそ早く試合がしたいなと思っています。

――オリンピックの延期についてはどのようにお考えですか?

アスリートが試合をしたいって言うのは、世間の方からしたら「何言ってんだよ」っていう受け止められ方でしたし、仕方ないとは思っていてあまり驚きもしなかったですね。延期になった現実は変わらないし、率直に私は練習が今までできていなかったので延期を聞いて嫌な感じはしなかったです。ただ、この一年が私にとって長く感じたのか、短かったのか、よかったのか、悪かったのかっていうのは結果でしか何とも言えないので、今一瞬を大切に悔いがないようにやっていくしかないなと。この半年の練習は充実しているので、延びてよかったかなとは今は思っています。

©ベースボール・マガジン社

[PROFILE]

奥原希望(おくはら・のぞみ)

1995年3月13日生まれ。小・中・高校と全日本ジュニア選手権2連覇、インターハイ優勝など、輝かしい経歴を飾る。2011年全日本総合選手権においては、大会史上最年少(当時高校2年)となる16歳8か月で、女王の栄冠を手にする。その後、2012年世界ジュニア選手権女子シングルスにて、日本人初となる金メダルを獲得した。2016年リオデジャネイロオリンピックで日本バドミントン史上初のシングルスでのオリンピックメダリスト、2017年世界バドミントン選手権でも日本人で初めて、女子シングルスを制覇するなど快進撃が続く。

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