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インタビュー

木下マイスター東京・水谷隼(後編):卓球をメジャーにするための軌跡

2021年6月16日 10:00配信
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近年、日本が飛躍的に力をつけ、世界一の座にも手が届きつつある卓球。

試合では、スピード、回転、コースの変化を組み合わせ、戦術を練り、その勝敗には、メンタル面も大きく影響する。選手たちは、わずか直径40mm、重さ2.7gのボールに人生をかけ、それぞれの物語を紡いでいる。

この連載コラムでは、さまざまな選手たちにインタビューし、そのプレーや人間性の魅力に迫る。

今回は、4大会連続のオリンピックに臨む水谷隼選手。(インタビューは5月21日実施)

(聞き手・文=山﨑雄樹)


<後編:水谷隼、「卓球をメジャーにするため」の軌跡>

―今の日本の卓球界について、どう感じていますか。

「僕が初めて世界選手権に出場した2005年当時と比べると、何倍にも成長し、良くなってきていると感じます。特に、男子の注目度がすごく高まったことが、自分にとって嬉しいことです。ニュースでも、バラエティーでも、卓球選手がテレビ番組に出る機会も増えました。卓球界全体にとって素晴らしいことだと思います」


―メディアでの取り上げられ方は男子と女子とで違ったのですか。

「リオのオリンピックまでは、本当に天と地の差でした。世界選手権でメダルを獲っても、男子がテレビ番組に取り上げられたことは、ほぼないです。今の若い世代の選手は、男子と女子は同じという感覚で捉えていると思いますが、2005年~2016年までは、メディアに取り上げられる割合は、男子が0.3%で、女子が99.7%ぐらいでした。世界選手権もゴールデンタイムに男子の試合が放送されたことは一度もありませんでしたし、バラエティー番組に出ることも、1年に1回、あるかないかでした」


―水谷選手は、その状況を変えようとしてきたのですね。

「そうですね。昔から雑誌のインタビューでも話してきました。卓球をメジャーにしたいと思っていました。女子は(福原)愛ちゃんの影響もあったり、石川(佳純)選手がいたりして、すごく注目度が高かったのですが、男子は同じような結果を残していても、注目度がものすごく低くて、なかなか世間に浸透していきませんでした。悔しかったですし、なんとか現状を打破したいという気持ちが強かったです」


―正直に話すと、私も20代前半の頃(約20年前)、「何のスポーツをやっていましたか?」ときかれても、胸を張って「卓球です!」と答えられなかった記憶があります…

「『昔、卓球やってました』と言う人が最近、すごく増えたと思います(笑)」


―確かに!(私もそうですが…)

そのなかで、卓球をメジャーにするためや、自身が強くなるために、乗り越えてきた壁や苦悩はありますか。

「例えば、昔はよく『ビッグマウス』と言われていましたが、強気の発言をすることによって、記事の見出しやテレビ番組などで使ってもらえるようにして、自分の意志と反して、『ビッグマウス』をしたり、髪の色を赤くしたり、ロンドンオリンピックでは金髪にしたりしました。『陰キャ』っぽい卓球選手が金髪で戦う、みたいな話題性を作りにいっていました。全部、失敗に終わりましたが(笑)。2005年からメダルを獲る2016年まで、約10年間、そういう努力を続けてきました」


―「本当の自分ではない」ときもあったのですか。

「自分の本心を話すことは、少ないと思います。テレビでも、自分を偽っているとまでは言いませんが、アスリートとしての水谷隼を強く出している部分はあります。変な言い方になってしまうかもしれませんが、卓球専門誌やスポーツ専門誌のインタビューでは、アスリートとしての自分の本心を話すことは多いです。テレビや試合後の囲み取材(記者たちが取り囲んで行う取材)では、ほぼ偽っています」


―それは、ちょっと言えないし、書けないですね(汗)

「書いてもいいですよ(笑)」


―水谷選手は、強くなるためにどんなことを心がけてきましたか。

「僕が昔から意識していることは、『他人と違うことをする』ということです。国際的に日本は団体競技が強いのですが、卓球は個人競技です。日本の文化は集団行動を強く意識するものですので、周りと同じことをしていても、埋もれてしまって同じレベルで終わってしまいます。突出して強くなりたいと思っていましたので、人並み外れた行動を意図的にやってきたような気がします。プレーではなくて、普段の練習やトレーニングにおいてのことです。何か選択する場面があったとしたら、いつも少数派を選んでいました」


―そこに怖さはありませんでしたか。

「どちらかと言うと、僕はそういう姿を格好いいと思ってしまうタイプです。昔から『オンリーワン』に憧れていました。他人と違う道を選び続けて行けば、必ず自分しかいなくなります。それが、また格好いいなと思っていましたので、ずっと少数の方を選んできました」


―苦しんだり、悩んだりしたことはなかったのですか。

「最初の選択は、(14歳のときの)ドイツへの留学です。プライベートコーチ(現・木下グループ邱建新総監督)をつけたことも、男子では初めてのことだったと思います。(2013年~の)ロシアでのプレーもそうですし、誰もやらないことを自分から積極的にやってきたことは大変でした。プライベートコーチについては、コーチの分の宿泊や航空券をすべて手配して、宿泊先から練習会場までの送迎も毎日しました。単純に肉体的な大変さがありました。ロシアリーグに行ったときは、すべて自分で航空券の手配をしました。ロシアにいること自体の大変さもありました。日本で生活していると、人と人との関係で大変さが多いと思いますが、ロシアにいたときは、人とのストレスはないのですが、自分ひとりですべてやらなければならないので不安でした。誰かに聞いて教えてもらうこともできず、全部自分で解決しなければなりませんでした」


―今後の卓球界について、どんなことを望みますか。

「男女とも中国の壁を越えられていません。もし自分が東京オリンピックで成し遂げられなかったら、その後、若い選手たちが僕たちの意志を引き継いで、中国を倒して、世界一になってほしいと思います。自分が死ぬまでに見届けたいです」


―Tリーグについてはいかがでしょうか。

「選手皆が思っていることは、チーム数を増やしてほしいということです。今は4チームですので、最低6チーム、できれば8チームあればいいと思います。観客も年々減少している印象を受けますので、初年度(2018-2019シーズン)のように、たくさんの観客の前でプレーできたら嬉しいです」



―話は大きく変わりますが、趣味やオフの過ごし方などリフレッシュ方法についても教えていただけますか。

「最近は、ジグソーパズルにめちゃくちゃはまっています。昨日も深夜2時ぐらいまでやっていました(笑)。『鬼滅の刃』シリーズで1000ピースのものを4つ完成させて、今、5個目です。ただ、3週間ぐらいやっていても、完成していません。今までのものは、2日、長くても3日で終わったのですが、今のものが一番難しいです。練習の後か、休日にするのですが、昨日は3時間ぐらいやって15ピースぐらいしか埋まらなかったです。800ピースぐらいは、3週間前に埋まったのですが、残りは黒一色しかなくて。運と言うか、忍耐力が必要です(笑)」


―最後に読者の皆さんに、一言、お願いします。

「東京オリンピックでは、団体戦で銀メダル以上、ミックスダブルスで金メダルを獲れるよう頑張ります!」


【プロフィール】

水谷 隼(みずたに じゅん)

1989年6月9日生まれ。静岡県磐田市出身。5歳のときに父・信雄さんと母・万記子さんの影響で卓球を始める。出身校は青森山田中学・青森山田高校、明治大学。全日本選手権では高校2年時の2006年度(2007年1月)の初優勝以来、5連覇を含む史上最多10回の優勝。オリンピックには、北京大会、ロンドン大会、リオデジャネイロ大会と3大会連続で出場し、リオ大会で日本卓球界初のシングルス銅メダル、男子では初となる団体銀メダルに輝く。Tリーグでは木下マイスター東京でプレーし、1stシーズンの後期とシーズンMVPに選ばれる。戦型は左シェークハンド両面裏ソフトのドライブ攻撃型。得意なプレーはサービスとフォアハンド。


【著者プロフィール】

山﨑 雄樹(やまさき ゆうき)

1975年生まれ、三重県鈴鹿市出身。小学生、中学生と懸命に卓球に打ち込んだが、最高成績は県4位、あと一歩で個人戦の全国大会出場はならず。立命館大学産業社会学部を卒業後、20年間の局アナ生活を経て、現在は、フリーアナウンサー(圭三プロダクション所属)として、Tリーグ(dTVチャンネル・ひかりTV・AmazonPrimeVideoなど)や日本リーグ(LaboLive)、全日本選手権(スポーツブル)など卓球の実況を担当。

また、愛好家として、40歳のときにプレーを再開し、全日本選手権(マスターズの部・ラージボールの部)に出場した。

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