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インタビュー

トップおとめピンポンズ名古屋・鈴木李茄&安藤みなみ(後編):ふたりの出会いとプロ転向、見えた景色とは

2023年3月17日 11:00配信
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近年、日本が飛躍的に力をつけ、世界一の座にも手が届きつつある卓球。

試合では、スピード、回転、コースの変化を組み合わせ、戦術を練り、その勝敗には、メンタル面も大きく影響する。選手たちは、わずか直径40mm、重さ2.7gのボールに人生をかけ、それぞれの物語を紡いでいる。

この連載コラムでは、さまざまな選手たちにインタビューし、そのプレーや人間性の魅力に迫る。

今回は、Tリーグ・トップおとめピンポンズ名古屋のキャプテン鈴木李茄選手とエースの安藤みなみ選手。(インタビューは2023年3月6日オンラインで実施)

(聞き手・文=山﨑雄樹)

後編・ふたりの出会いとプロ転向、見えた景色とは

安藤みなみ選手(左)・鈴木李茄選手(右)


―後編では、まずおふたりの出会いからうかがいます。鈴木選手と安藤選手は2学年違いで、出会いは安藤選手が青森山田中学、鈴木選手が青森山田高校のときですか。

鈴木「はい。私が高校1年生で、安藤選手が中学2年生のときです。中学生と高校生の練習は土日は一緒のこともありましたが、平日は別々でしたので最初はそれほど話すことはありませんでした。安藤選手がすごく人懐っこい性格なので少しずつ話すようになりました。『よく喋る子だな』って思っていました。一緒に美容院に行ったことがあって、それまで私は年下の中学生とはあまり話していなかったので、『緊張するなー』って思っていたのですが、めちゃくちゃたくさん話してくれて楽しかったことを覚えています(笑)」

安藤「私ははっきり覚えていることがあります。鈴木さんが青森山田高校に来る(入学する)かもしれないという話が伝わってきたときに、練習場がものすごくざわつきました。『あの(強い)鈴木李茄が来るらしいよ!』という感じでした。実際に来たときは、なかなか話しかけられない方だと思っていましたので、実は緊張して話せるようになるまで時間がかかりました(笑)」


―専修大学時代は、おふたりで組んだダブルスで大学チャンピオン(2015年・全日本大学総合選手権)に輝かれています。大学時代はどんな関係でしたか。

鈴木「全日学で優勝できたことも嬉しかったのですが、その前の春の関東学生リーグでダブルスは全勝(6勝0敗・チームも優勝)することができたことが印象に残っています。安藤選手はどんなボールでもスマッシュが入る状態でした。あのスマッシュが全部入ったら気持ちいいですよね!隣でバンバン決めてくれて、大きな声で吠えていて、それがすごく楽しかったです」

安藤「大学に入るまで個人タイトルを取ったことがなかったので、全日学のダブルスで優勝できたことはすごく嬉しかったです。先ほど、鈴木さんが話してくれましたが、関東学生リーグはめちゃくちゃ声を出して、勢いで卓球をやっていたような感じでした(笑)。横を見たら、鈴木さんがクスクス笑っていたことが何回かありました」

鈴木「『無双状態』みたいな、『何でも入ります』という感じで、私は本当に楽しかったんですよ。横を見たらものすごく怖い顔をして吠えていて、普段とのギャップが面白くて笑ってしまいました(笑)」


―また、おふたりに共通していることは実業団を退社して、プロへの道を選ばれている点です。それぞれ、この道を選ぶために葛藤などはありませんでしたか。まず、鈴木選手は2022年3月に昭和電工マテリアルズ(現レゾナック)を辞められました。

鈴木「(日本実業団リーグ)の昭和電工マテリアルズと(Tリーグの)トップ名古屋の両方でずっとプレーさせていただいてきました。Tリーグの舞台でプレーすることはすごく楽しかったですし、昨シーズン、若宮(三紗子)さんが監督に就任されて、チームの環境も整ってきました。最初の方は練習場もなくて大変なときもありましたが、練習場ができて練習相手も用意してもらえるようになりました。もちろん実業団でも良い練習はできるのですが、より良い環境でやってみたいと思いました。心配だったことは練習環境だけでした。そこはしっかり整えていただけたので、まったく不安はなかったです」


―安藤選手は専修大学を卒業した後、十六銀行で約2シーズンプレーし、日本リーグの年間総合優勝(JTTLファイナル4)も達成した後、2021年1月に退社されました。

安藤「プロに行ける、しかも地元のチームでプレーできるチャンスでした。実業団でもすごく良い経験をさせていただけて、もうひとつ上のステップでプレーしたいという気持ちがありました。最初は心配な部分もあり、両親や大学時代の恩師に相談もしましたが、『行かないで後悔するなら、行っちゃった方がいいな』と思い、決断しました」


―この道を選んでよかったと思えるときがあったと思います。

鈴木「今シーズンはTリーグ1本で頑張ってきました。これまでのシーズンも、もちろん頑張ってきましたが、専属のプロ契約をしていただいたので、今まで以上に自分に厳しくできた1年でした。練習もそうですが、身体がキツイなというときもトレーニングに取り組むことができました。2月26日のレギュラーシーズン最終戦はホームマッチで、ずっと応援してくださってきたファンの方や選手の家族、皆と勝った瞬間を喜び合うことができて本当に嬉しかったです。セレモニーの光景も素晴らしかったです」

安藤「Tリーグの試合は、観客の方が『推しタオル』を持って応援してくれたり、アリーナMCの方が盛り上げてくれたり、そういった応援や演出があってプレーしていて本当に楽しいです。また、Tリーグの試合ではチームメイトの頑張りに、自分自身も感動します。私も周りの方に感動していただけるような試合がしたいと思っています。あと、卓球以外では…、実家に戻ってきたので、母親のおいしい御飯を食べて、甘やかしてもらいながら卓球できるのはすごく幸せです(笑)」


―鈴木選手の今後について教えていただけますか。

鈴木「今シーズン限りで引退します。元々、最後の1年をプロとして頑張って引退しようと考えていました。今年1年頑張ってきて結果も出せた分、『どうしようかな』と迷った瞬間もありましたが、悔いがなく終われるかなと思います。今後も卓球には携わっていこうと思うので、卓球仲間として皆に会えると思います」


―今度のTリーグ・プレーオフが現役最後の試合になるのですね。

鈴木「最後の舞台がプレーオフになるということで、そこに連れて行ってくれた仲間の皆に感謝しています。2月25日と26日の試合で負けていたら、(26日の)レギュラーシーズン最終戦で卓球人生が終わっていたのですが、第1マッチのダブルスで勝つことだけに集中していたので、自分の引退について考える余裕はありませんでした。今も周りから『最後だね』と言われるのですが、それよりもプレーオフでどうプレーするかということを考えています」


―安藤選手の今後の目標を教えてください。

安藤「トップ名古屋では日本人エースと言っていただいているので、もっと勝ち続けられるように、チェンイーチン選手のようにチームを引っ張っていける選手になりたいです。また、国際大会に出場できる機会が減ってしまいましたが、出場できるときは出場して経験を積みながら、レベルアップにつなげたいです」

オンライン取材中の安藤選手(左)・鈴木選手(右)


―それぞれ高校時代と中学時代に出会い、プロの道を歩み、SNSなどでも仲の良さがうかがえますが、今回お話をきかせていただいて、その印象がさらに強くなりました。

鈴木「(プロになる)以前は、よく旅行に行ったり、遊びに行ったりしていましたが、ふたりともトップ名古屋所属になった今シーズンは一緒にいる時間も多く、お互いに何でも話せます。仲良くやっています(笑)」

安藤「鈴木さんには本当に何でも話せるので、何でも話してしまって、『本当にしょうもないね…』とよく言われます(笑)。もちろん引退した後も、遊んでいただけるとは思っていますが、同じチームの選手でいられるのはあと少しですので、頑張りながらしっかり楽しみたいです」


―最後に、お互いにエールを交換していただけますか。

鈴木「Tリーグで最多勝(14勝)と結果を残してビクトリーマッチという緊張する場面でもチームをたくさん救ってくれました。本当に頼れる存在なのですが、プライベートは頼りなく、しっかりしていないのでもう少し頑張ってほしいなと思います(笑)」

安藤「私は、鈴木『大』先輩の背中をずっと追いかけてきました。鈴木先輩は全日本選手権で結果を残されました(6大会ぶりのベスト8)。私もかっこよく現役を終われるような選手になりたいです。そして、プレーオフ(3月22日)でも勝って、鈴木さんが泣ける試合を皆でしたいと思います!」


【プロフィール】

鈴木 李茄(すずき りか)

1994年11月8日生まれ。静岡県静岡市出身。実家が経営する「プロショップ スズキ」で6歳のときに卓球を始める。仙台育英秀光中学に1年通った後、JOCエリートアカデミーに1期生として入校、その後は青森山田高校、専修大学に進学。全日本カデット、インターハイ、全日本大学総合選手権と中学、高校、大学でシングルス日本一に輝く。実業団(日立化成・昭和電工マテリアルズ・現レゾナック)に進んだ後も、2022年に全日本選手権の混合ダブルスで準優勝(吉村真晴選手とのペア)。Tリーグでは、1stシーズンからトップおとめピンポンズ名古屋でプレーし、2ndシーズンには、梁夏銀選手とのペアでベストペアに選ばれ、4thシーズンからキャプテンをつとめる。戦型は左シェークハンド両面裏ソフトのドライブ攻撃型。得意なプレーはバックハンドドライブ。


安藤 みなみ(あんどう みなみ)

1997年2月12日生まれ。愛知県名古屋市出身。母・小百合さんと兄・史弥さんの影響で6歳のときに名古屋市の「卓伸クラブ」で卓球を始める。青森山田中学から青森山田高校に進み、高校2年生の秋、熊本県の慶誠高校に転校。専修大学時代は、全日本大学総合選手権のシングルスで2度、ダブルスで3度、優勝。実業団の十六銀行では、日本リーグ最高殊勲選手賞に選ばれるなどチームの年間総合優勝に貢献。プロに転向した2021年にはアジア選手権に日本代表として出場し、団体では金メダル、シングルスとダブルスは銅メダルを獲得。戦型は右シェークハンド裏ソフトと表ソフトの前陣速攻型。速いテンポのラリーが持ち味でカウンター「あんパンチ」は必見。


【著者プロフィール】

山﨑 雄樹(やまさき ゆうき)

1975年生まれ、三重県鈴鹿市出身。立命館大学産業社会学部を卒業後、20年間の局アナ生活を経て、現在は、フリーアナウンサー(圭三プロダクション所属)として、Tリーグ(dTV・ひかりTV・AmazonPrimeVideoなど)や日本リーグ(LaboLive)、全日本選手権(日本卓球協会・卓球TV)など卓球の実況をつとめ、「日本一卓球を愛するアナウンサー」と呼ばれる。また、小学生、中学生と懸命に卓球に打ち込んだが、最高成績は県4位、あと一歩で個人戦の全国大会出場はならず。その後、愛好家として、40歳のときにプレーを再開し、全日本選手権(マスターズの部・ラージボールの部)に出場した。

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