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インタビュー

トップおとめピンポンズ名古屋・山本笙子(前編):Tリーグでの初勝利と貴重な経験

2021年2月26日 12:54配信
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近年、日本が飛躍的に力をつけ、世界一の座にも手が届きつつある卓球。

試合では、スピード、回転、コースの変化を組み合わせ、戦術を練り、その勝敗には、メンタル面も大きく影響する。選手たちは、わずか直径40mm、重さ2.7gのボールに人生をかけ、それぞれの物語を紡いでいる。

この連載コラムでは、さまざまな選手たちにインタビューし、そのプレーや人間性の魅力に迫る。

今回は、大学生ながらTリーグに2シーズン連続で参戦したトップおとめピンポンズ名古屋の山本笙子選手。

(聞き手・文=山﨑雄樹)



<前編:Tリーグでの初勝利と貴重な経験>

――Tリーグへの参戦は2シーズン目でしたが、自身のプレーぶりはいかがでしたか。

山本選手(以下、「」のみ)

「今年は、新型コロナウイルスの影響で外国籍選手の出場が難しいこともあって、試合に出させていただく機会がありました。昨シーズンは、『いい勝負ができたらいいな』くらいに思っていたのですが、今シーズンは、チームが11連敗したこともあり、勝ちにいかなくちゃいけない、というベンチの雰囲気もあって、チームに貢献したいという思いが強かったです。だから、思い切ったプレーや強気のプレーをすることができました」


――ダブルス(鈴木李茄選手とのペア)で1月24日にTリーグ初勝利を挙げた後、ダブルスでは3連勝、通算3勝3敗の成績でしたね。

「勝てたことは、素直に嬉しかったです。まず、Tリーグで初勝利できたことと、その試合までTOP名古屋はダブルスを落とすことが多かった(7連敗を含む1勝11敗)ので、やっと1勝できたことが嬉しかったです。サーブとレシーブを工夫して、自分ができることを思い切ってやれたことがよかったです。後悔しないように、と思っていたので、自分がやろうとしたことが、ほぼ100%できました」


――「後悔しないように」とは。

「鈴木選手とのペアの1試合目(1月23日・日本生命レッドエルフ戦)は、第1ゲームも第2ゲームも9-9まで競ったのですが、置きにいったり、攻めることができなかったりと、後悔してしまいました。翌日、試合に出させてもらったときは、フリック(台上ではらうプレー)などで思い切ったプレーをすれば、展開が変わると思っていました。また、サーブの場面で得点できるパターンが多かったので、鈴木さんに良い形で3球目攻撃をしてもらえるように、ナックル(無回転)とアップ系(上回転)をうまく混ぜて、相手のレシーブを浮かせたり、ミスをさせたりするなど、回転の変化をつけました」


――シングルスでは、今シーズンはタイのサウェータブット・スターシニー選手(日本ペイントマレッツ)、昨シーズンは韓国のチョン・ジヒ選手(日本生命レッドエルフ)と、海外の代表選手とも対戦しましたね。

「もっと簡単にやられるかな、と思っていましたが、点数としては競ることができました。でも、点数として競ることはできても、最後に勝ち切れなかったり、1ゲームを取れなかったりしたのは、相手の方がいろいろな引出しを持っていたからだと思います。チョン・ジヒ選手には巻き込みサーブが効きましたが、フォアハンドが強くて、3球目攻撃でやられることが多かったです。めちゃくちゃ気迫を感じて、プロの世界は違うと思いました。スターシニー選手との試合は、私にとっても1月の全日本選手権以来11か月ぶりの試合で、最初は手が震えるほど、緊張しました。ただ、スターシニー選手からも緊張が伝わってきて、トップ選手でも緊張するということを肌で感じました。1ゲーム目はリードしたのですが、追いつかれて負けてしまいました。上手い選手は、競ったときに自分の得点パターンを持っていて、それをちゃんとできます。9-9の場面でも、入れにいくのではなく、決めるボールがあることが、全然違うと思いました。海外の代表選手と対戦したのは初めてで、すごく勉強にもなりましたし、あの舞台で経験させてもらえて、よかったです」



――今後に活きる貴重な経験ですね。

「大きな舞台をたくさん経験させていただいて、試合中の感覚的なものを磨いていくしかないのかなと、感じています。もちろん、練習も大事ですが、本番をたくさん経験することで、自ずと戦術の引き出しが増え、今後につながると思います」


――大学生の試合とTリーグはどんなところが違いますか。

「Tリーグの試合は、学生の試合よりも1本多く返ってきます。学生相手だと、決まっていたボールも返ってきます。さらに、1本1本の質が高くて、サーブの回転やコースも全然違います。技術面では、すべてのレベルが一段上がります。でも、それ以上に感じたことは、Tリーグの選手は、試合前にオーダーが出て対戦相手が決まると、ものすごく相手の研究をすることです。大学生も、もちろん研究はするのですが、自分の卓球をすれば勝てたり、凡ミスさえなければ勝てたりします。Tリーグでも、そういったことは大事なのですが、コースや相手選手の苦手なところを見つけ、どう戦うかが重要になってきます。相手によって戦術を変え、その戦術を実行できることもすごいです。大学生は『1本、我慢して返せば勝てる』という感覚なのですが、Tリーグでは、より思い切ったプレーや強気なプレーが必要だと強く感じました」



――チームメイトについてはいかがですか。

「基本的に皆、仲が良いです。今シーズンは、試合前日や当日に、シンガポール代表のリン・イエ選手と練習することが多かったです。すごいボールを打つ選手ですし、厳しいコースに返しても、強いボールで返ってきます。こちらは、練習パートナーでしたので、バック対オール(自分が半面、相手は全面)でブロックをするだけでしたが、『絶対、負けないようにしよう』と思って、練習に取り組みました。練習以外の面では、新型コロナウイルスの影響で、全員揃っての食事はなかなかできませんでしたが、ルーマニア代表のサマラ選手は、炭水化物を控えたり、脂身が少ないお肉を食べたりするなど、食事管理の徹底ぶりがすごかったです。また、誕生日の選手には、ケーキを準備して、宿泊しているホテルでサプライズのお祝いもしました」


――卒業後の進路を教えていただけますか。

「同じTOP名古屋の鈴木選手も所属している昭和電工マテリアルズに入社して、実業団(日本リーグ)でプレーする予定です。何度か練習に参加させていただいて、自分たちで自主的に考えて練習するという雰囲気や環境がとても良いと思いました。正社員として入社するため、午前中は仕事で午後に練習というスケジュールですので、Tリーグに参戦できるかどうかは、まだわかりません」


【プロフィール】

山本 笙子(やまもとしょうこ)

1998年9月11日生まれ。福井県鯖江市出身。7歳(小1)のとき、テレビ番組で福原愛さんを見たことがきっかけで卓球を始める。福井商業高校2年生と3年生のときのインターハイで2年連続ベスト8。中央大学に進み、2年生のときの全日本学生選抜選手権と3年生のときの全日本学生総合選手権で準優勝に輝く。また、2018年の「福井しあわせ元気国体」では成年女子で福井県の優勝に貢献。Tリーグでは2ndシーズンから2シーズン連続トップおとめピンポンズ名古屋でプレー。戦型は右シェークハンド両面裏ソフトのドライブ攻撃型。得意なプレーはバックハンド。

【著者プロフィール】

山﨑 雄樹(やまさき ゆうき)

1975年生まれ、三重県鈴鹿市出身。小学生、中学生と懸命に卓球に打ち込んだが、最高成績は県4位、あと一歩で個人戦の全国大会出場はならず。立命館大学産業社会学部を卒業後、20年間の局アナ生活を経て、現在は、フリーアナウンサー(圭三プロダクション所属)として、Tリーグ(dTVチャンネル・ひかりTV・AmazonPrimeVideoなど)や日本リーグ(LaboLive)、全日本選手権(スポーツブル)など卓球の実況を担当。

また、愛好家として、40歳のときにプレーを再開し、全日本選手権(マスターズの部・ラージボールの部)に出場した。

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