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ユーリー・クシナリョフ
ロシア
注目ポイント!正確なキックを持つ、ロシア代表の精神的支柱
ラグビー日本代表が、冷や汗をかかされた。2018年11月24日、イングランドのグロスターにあるキングスホルムスタジアムでのことだ。この日に対戦したロシア代表は、日本代表がワールドカップの初戦でぶつかる相手に決まっていたが、それは出場権を失効した他国の代わりに出場できるピンチヒッターという立ち位置。前回大会で3勝した日本代表のファンにとっては、リサーチの意味合いが強いゲームだったかもしれない。
ところがいざキックオフすれば、旗色が悪くなる。背番号10のユーリー・クシナリョフが、背番号9のヴァシリー・ドロフェエフとともにキックまたキック。日本代表が蹴り返してもなかなか陣地を挽回できない。タフな肉弾戦で反則を犯せば、クシュナレフのブーツがペナルティーゴールを次々と決める。
クシュナレフが交代する前半32分までに10-16とビハインドを背負った日本代表は、その後も失点して10-22でハーフタイムを迎え、後半19分の段階でも24-27と負けていた。最後は中軸候補の田村優らが登場して32-27と金星献上こそ免れた。ただしクシュナレフが途中で抜けていたのを考えれば、讃えられるべきはタフに戦ったロシア代表かもしれなかった。
というのもクシュナレフは、2005年に20歳でテストマッチデビューを果たしてからロシア代表のジャージィを着続けてきた。同代表が初めて出た2011年のワールドカップニュージーランド大会でも、予選プールの3試合に出場。初戦でペナルティーゴールを決め、この国で初めてワールドカップで点を取った選手となる。
その後も地道にキャリアを重ね、積み上げたキャップ数(テストマッチ出場数)は108で、積み上げたスコアは同国レコードの758点(2019年6月現在)。正確なキックを長所とするスタンドオフ候補のクシュナレフは、キャリア豊富な精神的支柱でもある。対戦相手にとっては、ロシア代表に快適に陣地を取らせたくはない。主要なキッカーに圧力をかけ、事前分析のデータを視野に弾道へ先回りしたい。もし自陣で大型フォワードにペースを握られたら、要所でクシュナレフがスコアを刻んでくる。裏を返せば、繰り上がり当選国のワールドカップ初勝利が見えてくる。
(文=向 風見也)
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