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【TORANECO選手 × Fadezisコーチインタビュー】Jadeiteは何をしてくるのかわからない——首位を奪われたSCARZはPlayoff Grand Finalsでリベンジできるのか!?
2023年5月12日 15:00配信
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『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan Split 2」のプレイオフが5月10日（水）から開催中。4月13日（木）から開催されていたメインステージで勝ち上がった6チームがアセンショントーナメント進出をかけて戦っている。
プレイオフは6月3日（土）〜4日（日）はオフライン（エディオンアリーナ⼤阪）で開催されるだけでなく、負けてしまったチームは、今年の競技シーンから姿を消すことになるので非常に重要な試合となっている。
なお、直近のメインステージで成績上位を収めていたSCARZ、Jadeiteはオフライン進出は確定。残りの4チームで残り1枠を奪い合うという試合が行われていた。
DAY2のMATCH3ではトップ争いのSCARZとJadeiteの試合が行われた。試合の結果に関係なく、両チームはオフライン大会出場が決定しているものの、勝利すれば一気に決勝戦まで駒を進めることができる大事な試合。今までSCARZはJadeiteに負け知らずの成績ではあったものの、今回はマップカウント1：3で敗北。6月3日（土）の準決勝戦からのスタートとなった。
今回は、試合直後に行われたTORANECO（とらねこ）選手とFadezis（ふぁでじず）コーチのインタビューをお届けしよう。
SCARZとして答えが出せなかったJadeite戦
——まずは試合おつかれさまでした。Jadeite戦では惜しくも負けてしまいましたが、試合を終えた感想をお聞かせください。
TORANECO選手（以下、TORANECO）：Jadeiteは自分たちの強みが出ていました。例えばエージェント構成や作戦も一度見せた作戦をフェイクに使ってきたり——。逆に、僕らはSCARZらしいプレイができなかったという印象でした。
Fadezisコーチ（以下、Fadezis）：今回は小さなミスが多く、調子がよくなかったですね。例えばスパイク設置はできたものの、その後のラウンドで負けてしまったり、ピークの仕方をミスしてしまったり——。そういった部分はしっかりとリプレイを見て直すようにしていきたいです。
Jadeite自身は予想通りのプレイをしていたのですが、それに対してSCARZは答えを出せなかったのが敗因だと思っています。
——SCARZらしいプレイができなかったというのは、用意していた作戦が通用しなかったのか、それとも試合中解決策を見つけることができなかったということなのでしょうか。
TORANECO：自分たちが準備してきたことがありながら、現場の判断や肌感で「いや、でもこうした方が勝てるんじゃないか」という判断が変わる部分があります。今回でいうと、そういった判断があまり刺さらなかったのが苦戦した部分だと思っています。
なので自分たちが準備してきたことが通じなかったという訳ではないかな。
——JadeiteはArt選手のオーディン（武器）を筆頭に、独特な戦術を見せるチームだとは思いますが、SCARZとしてプレッシャーを感じることはありますか？
TORANECO：オーディンの部分は大きいですね。サイトにいる人数が少ないなら、数で押し切れば攻められるだろうと思っても、オーディンで弾幕を張られてしまって、エントリーを止められてしまうという場面もあるので、そういったディフェンダーとしての圧力というのは、ほかのチームとは違ったものがありますね。
——そのオーディンに対しての対策はどのように考えていましたか？
TORANECO：スモークで止められた時は、自分たちはエントリーしづらいのに対し、相手は弾幕を張れるっていう部分があるので、スモークが来てそこにオーディンがいるってなったら結構行きづらいのかなと思っています。
▲1マップ目アセントでのワンシーン。アセントでオーディンを購入するシーンが多く見られるマップではあるが、対Jadeite戦でもより謙虚に。10人中3名がオーディンを装備しているラウンドも。そんな中Art選手のオーディンは特にやっかいな存在でもあった（https://www.youtube.com/watch?v=qlfBNyQyU5M&t=4819s）
——ちなみにSplit1からSplit2にかけて、善悪菌選手がサブメンバーに移りロスターが変更となりましたが、コミュニケーション面での影響はありましたか？
TORANECO：Split2からは善悪菌に変わって、Allenがメンバーに入りました。善悪菌はその場の判断で、言わずもがなで動くのがめちゃめちゃうまい選手でした。一方、Alleは自分から意見を発信するプレイヤーなので、より暗黙の了解で動くというよりは、コミュニケーションを取って意思疎通しながら動くようになりました。
——Allen選手はチームとしてどのような存在ですか？
TORANECO：Allenはめちゃくちゃ意見を発するプレイヤーですが、メインステージでは意見を出しすぎてしまうところを自分自身で修正しているように感じました。
その中で、提案しなければならない大事な場面ではしっかり提案したり、自分から動いたりできるプレイヤーだと思っています。
——今回、3マップ目のスプリットでは前回のJadeite戦とは異なり、サイファーを起用せず、セージを起用したエージェント構成になっていましたが、どういった理由でエージェント構成を変更したのでしょうか。
TORANECO：ディフェンダーサイドでは7：5とリードして折り返せてはいたのですが、アタッカーサイドでまくられて負けてしまいました。アタッカーサイドにおいて、サイファーがいればAサイトにアクションをかけつつ、ヴァイパーがBサイトにアクションをかけるといった感じで、全体的に圧力をかけることができました。
一方でセージを採用することで、ヴァイパーがAサイトにアクションをかけつつ、別のメンバーがミッドやBサイトにアクションをかけるという作戦で挑んだのですが、その変化にチームがフィットしきれなかった部分はありましたね。
▲3マップ目スプリットでのワンシーン。ヴァイパーを使用するTORANECO選手がAサイトでアクションを起こし、ほかの選手がミッドにアクションを起こすも、やや手薄になっているBサイトから詰められてしまうSCARZ。一方的に情報を取られてしまったことが原因なのか、なかなかエントリーできない場面も見られた（https://www.youtube.com/watch?v=qlfBNyQyU5M&t=12158s）
ただどちらの編成が正しいのかというのは今の段階ではわかりませんね。ここからしっかりチーム内で話し合って決めていきたいです。
——次の試合ではサイファーが入っているかもしれないし、入っていないかもしれないしという感じですか。
TORANECO：そうですね。スプリットに限らずパールでも編成を変えていたように、現状はどのマップでもエージェント構成が変わる可能性は十分にあります。オフライン大会までの1カ月間で調整してきたいと思います。
——オフライン大会で勝ち進めば再びJadeiteと戦うことになります。今回の試合を経てどのような対策を考えていますか？
TORANECO：難しい質問ですね。ほかのチームと比べてJadeiteは変わったエージェント構成をしてくるので、次の試合ではまた別の構成になることは十分考えられますし、同じ作戦を使ってくるとは思っていません。
本番では自分たちのその強みをただ押し付けるプレイにするのか、相手のエージェント構成から何かしらの答えを出すのかっていう部分は試合中に考えていくしかないかなと思っています。
——なるほど。なかなか答えが出しにくい相手ですか？
TORANECO：まあそうですね。結構何してくるかわからない部分は間違いないと思います。
——今年の国内リーグはSplit1、Split2同様に、長いリーグ戦を経て、Bo5というトーナメントが行われています。こういった長丁場の試合の場合、期間中どのようなことに注力して試合に挑んでいましたか？
TORANECO：メインステージではそんなに期間が空かずに次の試合に進むので、その短いスパンの中でどれだけ自分たちの動きを変えて、敵の動きを考えながら自分たちがどう動くのかっていうことを意識していました。
プレイオフでもその考え方は同じで、相手の動きに対して自分たちは何を変えればベストな動きになるだろうっていう部分を注力して練習していました。
Fadezis：練習やスクリムはもちろん、相手の作戦を考えていました。その中でSCARZの作戦を練る作業をしていました。期間が長いので、相手の作戦も何度も変わりますが、それに対してどうやって勝つのか、どうやってチームを組み立てていくのかをずっと考えていました。
——SCARZはSplit1に引き続きSplit2でもオフライン大会進出となりました。オフライン大会への意気込みをお聞かせください。
Fadezis：まずはしっかり休んで、選手のメンタルをリフレッシュさせたいです。あとはベストパフォーマンスを見せられるよう、練習やスクリム、リプレイを見るといった準備をしていきたいと思います。
TORANECO：チームとしては今日勝って決勝戦からという形にしたかったのですが、そこはちょっと悔しいですね。ただオフラインという環境の中で再び試合ができるというのは、経験としてうれしいことだと思っています。
以前のオフライン大会を踏まえ、オフライン環境で自分たちが苦戦した部分を修正して挑みたいです。
——オフライン環境で苦戦していた部分というのは具体的にどんなことでしょうか？
TORANECO：大会で使用されるイヤホンがヘッドセットに近いような音だったり、観客や実況解説の声がどれくらい入ってくるのかといった部分ですね。あとはモニターアームではなくスタンドでモニターがセッティングされている場合もあるので、自宅でもモニターアームを使わず、あえてスタンドでプレイをするといった対策はしています。
——環境が変わるとプレイスタイルに影響はでますか？
TORANECO：例えば環境の違いで撃ち合いに勝てないとなると、プッシュをした方がいい場面でも気持ち的にできなくなることもあるので、そういった部分でも影響はあるかなと思います。
——最後に大阪のファンの皆さんへ、また応援してくれているファンの皆さんにひとことお願いします。
TORANECO：最近はSCARZの公式からもコンテンツを出そうという動きがあって、その中でもファンの方々からフィードバックをいただいたり、SNSで反応してくださったりするおかげで、自分たちも海外選手もいい経験ができていると思っています。
ゲームをプレイしていて楽しいと感じるのは、そういったファンの皆さんのおかげだと思っているので、大阪に来てくださる方は会場で一緒に楽しんでもらいたいですし、配信を見てくれる方も僕たちが試合している姿を見て楽しんでいただけるとうれしいです。
——ありがとうございました！
———
Jadeite相手に無敗の成績を収めていたSCARZだったが、プレイオフでついに敗北をしてしまった。唯一勝利した2マップ目のヘイヴンでは13：4と大差をつけて勝利していることから、作戦がかみ合うことで盤面をひっくり返すことも十分考えられると感じた。
特に気になったのがオフラインでの環境面。普段とは異なる環境やデバイスでのプレイは、選手のパフォーマスに大きな影響を与える要因だ。会場の完成やプッシャーもある中、そういった環境にいち早く慣れることが勝利への近道かもしれない。
なお、SCARZは6月3日（土）にFENNELと戦うことになる。
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【井ノ川結希（いのかわゆう）プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
Twitter：@sdora_tweet
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