激突!首藤甲子郎氏が語るラグビー、ルーマニア代表戦の見どころ
2017年6月8日 14:00配信
元代表選手が語る、ルーマニア戦の見どころ!
毎年6月は世界中でラグビーの国際試合が行われる。今年はルーマニア代表(世界ランク16位)と6/10に、アイルランド代表(世界ランク4位)と6/17、6/24に戦う予定だ。この3試合はとても注目されている。なぜなら2019年に日本で行われるワールドカップでアイルランドとは予選同組が確定、ルーマニアもその可能性がとても高いと言われているためだ。
そこで、エリスではこの2国にフォーカスを当てて試合の見どころを解説する。第1戦のルーマニア代表戦については、トップリーグ最小身長ながら元7人制日本代表まで登りつめた首藤甲子郎氏に見どころを聞いた。
首藤甲子郎氏の経歴
元トップリーグのラガーマン。現役時代はトップリーグ全体で2番目に小さい体ながらも、タイミング抜群のハンドオフや、トップクラスのステップを武器に、日本代表を経験するなど日本ラグビー界を長く牽引してきた。中学までは九州で育ち、高校進学を機に親元を離れて全国常連の神奈川・桐蔭学園高等学校の門戸をたたく。桐蔭学園ラグビー部では、1年生のときから活躍し、花園への出場も果たした。高校卒業後は早稲田大学へ進学し、入学当初からレギュラーとして定着。早稲田大学の中心メンバーとして活躍後、NECグリーンロケッツへ入団。2014年にはリオ五輪を目指すラグビー7人制代表に選出されるなど、トップリーグを代表する選手として活躍。2017年2月に現役を引退。
今回のルーマニア戦の見どころ!
ルーマニア代表の特徴としてよく語られるのが、スクラムの強さだ。ルーマニア代表は体が強い。特に、その体の強さを活かしたスクラムの強さは世界のトップレベルだと言われている。前回2014年に対戦した際は、日本代表はその強固なスクラムに苦戦を強いられ、日本選手からも、「ルーマニアのスクラムは上手い、強い」驚きの声があがったほどだ。その強固なスクラムに対してどう日本の選手が立ち向かっていくのかが見どころの1つであることに疑いはない。
対して日本代表は、昨年度から参画した世界最高峰のリーグであるスーパーラグビーにおいても華麗なトライを量産したように、バックスでのアタックに強みを持つ。そのバックスアタックでルーマニア代表の防御網を破ることができるかも、大きな見どころだろう。今回はその観点を中心に、ルーマニア代表の要注意選手の紹介などもしていこうと思う。
世界屈指のスクラムを持つ相手とどう戦うか。
相手は「ルーマニアと言えばスクラム」とすら言われる強固なスクラムを活かして勝負にくる可能性は高い。スクラムで劣勢になれば、ディフェンスが困難になるだけでなく、ペナルティも取られる。すると相手はキックで大きく陣地を取ることができる。ラグビーの試合で重要視されるのはテリトリー(陣地戦略)なので、そういった展開が多くなると試合が難しくなってくる。
日本代表としては、相手の強みであるスクラムからのジリジリとした得点獲得に付き合うのではなく、最大の武器であるバックス陣の走力で試合を優位に進めたいところだ。世界最高峰であるスーパーラグビーでも評価をされた日本のバックスリー(背番号11、14、15)がどのようにルーマニアディフェンス網を切り裂くのか。日本代表のバックスリーが持ち前の強さを発揮する時こそ、勝機の扉が開かれるだろう。
注目!ルーマニア代表の要注意選手とは!?
スクラムに定評のあるルーマニア代表では、あえてスクラムに関わるフォワード選手でなくバックスの選手を要注意としたい。CTBのジャック・ウマガ選手である。今年33歳になるベテラン選手ならでは、勝負どころを抑えたプレーが光る選手だ。強固なスクラムを起点としたアタックでは、的確な状況判断とスキルフルなランで日本代表の脅威となるだろう。また、日本代表が優位に立ちたいバックスアタックにおいては彼のディフェンスをいかにかいくぐれるかに注目だ。
フォワード戦は劣勢でも、バックスアタックで仕留める
前述の通り、この試合はフォワード戦で劣勢になる場面も見られるだろう。そんな時こそバックスの出番である。今回日本代表に選ばれたバックス15名の選手のほとんどが、個の力で状況を打開できる選手たちである。彼らの技術をもってすれば、1対1の状況で相手のディフェンス網を破ることはそう難しくはないはずだ。卓越した技を駆使し、体格で劣る日本選手がルーマニアの大男たちを仕留める様を大いに期待したい。