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【連載】第12回やさしく学ぶヨーガスートラ:4つの悩みの現れ方
日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外である、心や思考に作用する“ヨガの教え”に興味を持つ方も増えています。
この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちが解説していきます。
心が静まると、真実の自分に出会える
前回の【連載】第11回やさしく学ぶヨーガスートラ:私たちを悩ませる苦しみとはでは、【悩みや苦しみの原因は、心の働きによるもの】について、学びました。
そこで今回は、その【悩みの現れ方】の段階についてヨーガスートラの一節を読み解いていきましょう。
第2章4節
アヴィッディヤー クシェートラン ウッタレーシャン プラスプタ タヌ ヴィッチンナ ウダーラー ナーン
アヴィッディヤー(無知)が、後の4つのクレーシャ(苦悩)の原因です。
5つのクレーシャ(苦悩)の現 れには、それぞれ4段階あります。
4段階は(1)プラスプタ(潜在的な状態、問題は眠った状態)
(2)タヌ(心に問題が少し現れ始めているけど意志で収めている状態)
(3)ヴィッチンナ(問題はあるけど、表に出せない状態)
(4)ウダーラ(完全に苦悩が表面化している状態)です。ヨーガ・スートラ(やさしく学ぶYOGA哲学ヨーガ・スートラ参照)
今日の心の天気を見てみましょう
なんだか今日は気分がすっきりしないな。と感じることはありますか?
天気のせいなのか、仕事やプライベートでの心配事のせいなのか・・・ 理由は分からないけど気持ちが晴れない日もありますよね。
変わりやすい心の天気に、心が動かされることがあります。
【悩みは、今、どこにある? 】
ヨーガスートラでは悩みの現れ方の段階を4つの段階に分けています。その4つの段階と、ヨガをする人におススメの対処法をここで、ご紹介します。
1: プラスプタ
【段階】
悩みは表面化していないけれど、潜在的に存在している段階。
【解説】
例えるなら生まれたばかりの赤ちゃんのように、純粋無垢で頭で思い悩むようなことは考えていません。心の揺れを繊細に見つめ、本質的なしあわせに近づけていくことを習慣として会得している状態です。悩みは潜在的にあるものの、滅多に現れることはありません。
【ヨガをする人の対処法】
生活をすべて、ヨガをベースに送りましょう。
2: タヌ
【段階】
潜在的に持っている悩みをヨガや瞑想で対処できている段階。
【解説】
心の揺れを繊細に見つめ、本質的なしあわせに近づけていくことを習慣として会得している状態です。悩みは潜在的にあるものの、滅多に現れることはありません。
【ヨガをする人の対処法】
修行中のヨーギーはここに分類されます。 ヨガの修行者たちは日々の鍛錬によって悩みに対処する術を知っています。
例えば:日々瞑想を実践し、心の不純を浄化します。
3 :ヴィッチンナ
【状態】
悩みが表面化していて思い悩むが、なんとか一時的にとどめられている段階。
【解説】
初期のヨガ修行者はこちらに分類されます。
悩みに対処する術は知っていても、その術をまだ上手に使いこなせていません。 しかし、悩みに対する対処法が見えているのであれば一段階上のタヌに近づけそうです。
【ヨガをする人の対処法】
思い悩むことが出てきたら上手にヨガや瞑想を使いましょう。
例えば:カラダを動かすアーサナを実践したり、マントラを唱えて瞑想状態を目指しましょう。
4 :ウダーラーナ
【状態】
感情的になり、完全に苦悩が表面化している段階。
【解説】
心の移り変わりに翻弄され、波のような心の揺れを静かにする術もなく、悩みがとても大きく現れている状態です。ウダーラーナは悩みの渦にのまれている状態です。
【ヨガをする人の対処法】
例えば:まずは深呼吸をして悩みの正体を見つめます。
ありのままの悩みを見つめることが解決へのスタートラインとなります。
私たちを悩ませ、心を苦しめる原因は「無知・自意識の高さ・欲望・嫌悪・死への恐れ」の5つに分けられています。その中で、その悩みは今、4つのどの段階に分類されるのか見極める(正見する)ことで次の手を考えることができますね。
今、自分の心の天気は、晴天ですか、それとも曇り、土砂降り。良い悪いでなく、どの状態であるかを知ることが、ヨガではとても大切なことだと教えられています。
そして自分が今どの状態にいるかと分かった時、ヨガの知恵やアーサナ、瞑想が、その悩みをやわらげてくれる手段となるのです。
自分との会話で見えてくるもの
「気分が晴れなくてモヤモヤする・・・」
「気持ちもそうだけど、最近少しカラダが重い気がするな。」
と感じたら、そのままにせず会話をしてみましょう。
また
「仕事のことで心配なことがあって、その心配に蓋をするように、つい食べすぎてしまっていたのかもしれない。」
もしこんな状況だったとしたら、自分の心の感情に手を差し伸べる時間、つまり心との会話の時間をつくってみましょう。
例えば、
「どうして気がかりなの?どうなったらその心配は和らぐの?」 と、自分の心に尋ねてみます。
すると、
「あぁ、私ってこういうことで悩んでいたんだ。」と、
蓋をしていたありのままの自分の思いに気づくきっかけになるかもしれません。 見えていなかったモヤモヤの正体が少しずつ見えてきましたね。 悩みをありのまま見ること(正見)ができたら、悩みの渦中にいる状態から一歩前進できているといえます。
悩みがあると感じたら、まず今している自分の呼吸に意識を向けてみましょう。そのまましばらく観察します。
慣れてきたら徐々にゆっくりと穏やかな呼吸に整えていきましょう。
呼吸を整えることで気持ちもすっきり!気分転換におススメです。とても簡単なことですが、呼吸(今)に意識を向けることは瞑想がはじまるきっかけとなりますよ。
自分に愛を
あなたが、あなたにとって慈悲深く、愛ある大切な親友だとしたら、悩んでいる親友になんと声をかけるでしょう?
きっと愛にあふれた優しい言葉をかけるはずです。
その愛を自分自身に向ける時間をつくってみましょう。
思い悩み、心が揺れる経験は時に自分を小さく、足りない存在に感じさせるかもしれません。しかし、そうではないのです。その経験はあなたの人生に彩りを添え、味わいを深くするエッセンスとなります。
どんな時も慈しみ、自分に愛をそそぎながら、心の揺れを見つめてみてくださいね。
そうすることで自分を許せたり、悩みの糸口を見つけるきっかけになるかもしれません。
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