【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】プレー以外の「高い技術」に注目
2017年8月28日 20:20配信
1.プレー以外でも見られる「高い技術」
8/25から8/27にかけてトップリーグ第2節が行われ、開幕戦同様に白熱した戦いが各地で繰り広げられた。
豆の眼力ではこれまで、プレー中に見られる高い技術にフォーカスし解説してきたが、今回は少し違った視点から解説してみたいと思う。
選手たちがせめぎあいの中で見せるレベルの高い技術は、なにもプレー中だけとは限らない。
観戦する際の視点を変えることで見えてくるスキルもあるのだ。
2.ロッカールームに走って戻る…切り替えを行う選手たち
まずは、前半終了を告げるホイッスルの後に選手たちが見せる、ある行動である。
それは、ロッカールームに「走って戻る」ということ。
「走って戻るのが当たり前では?」
このように感じる方もいるかも知れないが、実はこれ、意識をしていても中々できることではない。
選手たちには前半40分を通して戦い終えた疲労がある。さらに前半で感じた、ゲームの流れ、チームの状況、選手個々の動きや課題・解決策…。
上げるときりがないない程多くの情報や感情を処理しなければならない状況で見せる「走って戻る」という行動。
これこそまさに、後半の勝負へ向かう「切り替え」を行っている瞬間なのだ。
必ずしも、この行動が全て正しい!とは思わない。
しかし気持ちを切り替える1つのオプションとしてはとても意味のある行動だと
豆の眼力では考える。
この「切り替え」がレベルの高いプレーに直接的に関係しているかはわからないが、トップチームになればなるほど、「走って戻る」選手が多く見られるのは事実である。
3.キーとなる選手ほど「コミュニケーション」をとる
さらに、前半を終えた直後に見せる選手個人の動きにも注目してほしい。
チームの中心選手やキーになる選手ほど、前半終了後にレフェリーやチームメイトに必ずと言っていいほど声をかけている。
レフェリーに対しては反則プレーがどのように反則だったのかの確認、
選手間では前半を通して見えた相手の穴や細かい修正など戦術的な確認などを行うために
密にコミュニケーションをとっているのだ。
もちろんロッカールームに戻ればコミュニケーションをとる時間もある。
しかし前半終了のホイッスルが鳴った瞬間に感じた試合全体のイメージの共有や意思確認は、情報が新鮮であればあるほど意味があるのだ。
中心選手たちが、試合においていかにコミュニケーションが重要であり、それがチームを支えていることになるかを理解している証拠である。
4.観戦する視点を変える…ラグビー偏差値を高めるために
こうした、プレー以外での意識の切り替えやコミュニケーションは前述したように意識しても中々できるものではない。
しかし、試合中だけではなく練習のセット間の移動の切り替えなど、意識し反復することで「良い癖」としてチーム全体に浸透していく。
また練習中に疲れた時こそコミュニケーションを意識すればより再現性の高い練習になるかもしれない。
このように普段から細部まで神経をとがらせて練習することで、選手たちは試合中でも「高い技術」を披露してくれるのだ。
観戦する際にも、意識の切り替えに注目することで、チームや選手の新たな一面が見えてくるはずだ。
第3節はそんな違った豆の眼力でも観戦してみてはいかがだろうか。
文:首藤甲子郎
撮影協力:延原ユウキ