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【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】ラグビー界の「忍者」トヨタ自動車・ジェイミー選手

2018年1月10日 19:00配信

首藤甲子郎氏

1.大詰めを迎えたトップリーグ

ラグビーの日本選手権を兼ねたトップリーグ(TL)の決勝トーナメントは上位4チームの争いとなった。

7季ぶりにトップ4入りしたトヨタ自動車ヴェルブリッツとリーグ戦13戦全勝のパナソニックワイルドナイツが相見えた準決勝の1戦。

結果は17―11でパナソニックが競り勝ち、2季ぶりの優勝に王手をかけた。

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2.ジェイミー選手が見せた一流のプレー

決勝進出をかけたこの試合で、一流のプレーを見せてくれたのはトヨタ自動車ヴェルブリッツのWTBヘンリー・ジェイミー選手(No.11)だ。チーム唯一のトライをもたらしたこのプレーは17-3とパナソニックリードで迎えた後半16分に生まれた。

首藤甲子郎氏

3.クロニエ選手のお膳立て

まずは、このプレーをお膳立てした、トヨタ自動車SOライオネル•クロニエ選手(No.10)の状況判断に触れて起きたい。

パナソニック陣内22m付近の中央スクラムから、右にサイドアタックを2度仕掛けたあとの攻撃。左へ展開されたボールはクロニエ選手へパスアウトされた。

そこからクロニエ選手は相手DFラインの状況を把握し、大外へスペースがあることを確認。すると瞬時に「2人飛ばし」のパスを出し、大外で待ち構えるジェイミー選手へとボールを繋げたのだ。

4.ジェイミー選手の「目線」と「体の向き」

この時、クロニエ選手からのパスが少し浮き、ジェイミー選手はジャンプキャッチをしなくてはならない状況であった。通常であれば、ジャンプキャッチの難易度はそこまで高くはない。

しかしキャッチのあと、着地の瞬間に相手DFにタックルされ、タッチに押し出されてもおかしくないというプレッシャーが難しい状況を作り出す。

ここで注目してほしいのは、ジェイミー選手の「目線」と「体の向き」だ。

彼は、キャッチを成功させた次の瞬間、まだ体が空中にある状態にもかかわらず相手DFの動きをしっかりと確認し、さらには、着地する瞬間に半身になっていることが確認できる。

首藤甲子郎氏

5.DF心理の裏をかく

一方、DFの心理はこうだ。

「着地した瞬間にタックルで押し出そう」

着地した瞬間、相手のパワーが残っていないタイミングでパワーを伝えることができれば確実にタッチラインの外に出せるのだ。

DFにとってはまさに絶好のチャンスで、一気に間合いを詰めたくなる。このDFの心理状態と動きを、ジェイミー選手は見逃さなかった。

相手DFが一気に間合いを詰め、頭が下がった瞬間、半身になっていた自身の体を瞬時に半回転させロールを成功させたのである。反対にDFは力の伝える場所を失い、まさに「肩すかし」をくらった状態となる。

ジェイミー選手は「狭いスペースで勝負する」一流の技術を見せたのだ。

6.「忍者」と化したジェイミー選手

この半回転の動き、ラグビーファンならば見覚えがあるはずだ。そう、2015年ラグビーワールドカップのサモア戦で日本代表の山田章仁選手が見せた「忍者トライ」である。

ジェイミー選手は山田選手顔負けの技術で目の前の相手を抜き、さらに迫り来るバッキングDFに対しても絶妙なタイミングのハンドオフで落とし、そのままインゴールまで駆け抜けた。

7.最終戦でも忍者が現れる?

今回、ジェイミー選手が見せてくれたこの技術、簡単そうに見えるが、実はなかなか難しい。まず、相手の重心の位置を正確に把握し、次に相手の力が自分のどこにかかってくるのかをイメージする必要がある。

さらに、イメージした力の軌道に対し自分の体重をいかにコントロールし移動させるかを瞬時に考え実行しなければならない。

そして舞台は勝てば日本一への挑戦権を手にするという大一番。プレッシャーのかかる状況で、これだけの技術を見せたジェイミー選手は現代の忍者である。

いよいよトップリーグも最終戦となる。決勝でも勝利をたぐりよせる忍者が現れるのか。是非、会場で見届けてみてはいかがだろうか。

文:首藤甲子郎

編集:Ellis Web編集部

撮影協力:延原ユウキ

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