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【連載】ヨガの八支則ってなあに?⑥心に一つの仕事を与える「ダーラナ」の教え
ヨガレッスンに通っているうちに、「ヨガの教えでは…」と哲学的な考え方を耳にすることはありませんか?ヨガはカラダを動かすだけのものではなく、心の働きを定め、幸せになるための哲学が起源となっています。
この連載では、ヨガの哲学の中でもヨーガスートラの八支則についてひとつずつ解説していきます。
瞑想の出発点「ダーラナ」
「よし!瞑想するぞ!」と座ってみたものの、目を閉じれば昨日の出来事が浮かび、これから食べたいものが浮かび、テレビで流れたCMが耳によみがえる…。「これではだめだ!」と自分にダメ出しをして、その感情につられて呼吸が乱れ、ハッと目を開く…。
これではせっかく瞑想していたつもりが、フラフラと心が迷走していたことになってしまいます。
「ダーラナ」は『努力のいる集中』と訳されます。
次のステップである瞑想に向かうための前段階で、心を一つのことに集中させる訓練をすることです。
集中することができなければ瞑想をするスタートラインにも立つことができません。
では、どのような訓練をするのでしょうか?訓練の方法にはさまざまなものがあります。ここではその中から一つ、ご紹介いたします。
今、自分がしていることに気が付き続ける
五感の中から一つの情報を感じることに専念し、それをハッキリと「毎回」自覚する…。この作業を、心に仕事として与えます。
今起きていることを「感じる」「自覚する」という仕事に集中をしてもらうのです。
ただじっと座っている時、自分のカラダに起きていることで感じやすいものといえば、主に座っているというカラダの感覚と繰り返し行われている呼吸があります。
呼吸には動きがあるので
「息を吸っている」「息を吐いている」
「お腹が膨らんでいる」「元に戻っていく」
「吸う息は冷たい」「吐く息は暖かい」
など、その動きを感じ続けることが、少しやりやすいかもしれません。
「呼吸」で『努力のいる集中』ダーラナを体感する
ここでは例に「呼吸」を選んでみます。ひと呼吸ひと呼吸を感じながら、今度は言葉で「自覚」します。
自覚するとは、吸った時におなかが膨らんだ感覚があれば(吸っている)、息を吐いた時にはおなかが元に戻った感覚を(吐いている)と心の中で言葉にすること。
毎回の呼吸でこれを行うことで、心は一つのことに(ここでは呼吸に)集中をする練習をしていくことになります。
実際に行ってみると、すぐに違うことを考えてしまい、続けることがなかなか難しいのではないでしょうか?「感じる」だけ、または「自覚する」だけではなく、両方を行い続けるには努力が必要になりますね。
この努力を伴う集中の練習が、ダーラナなのです。
心は一瞬の隙を見つけては「ふと」違うことを考えたがります。注意深くしていないと、いつの間にか集中していたことが上の空になっていたり、違うことを考えていたりします。
ダーラナでもう一つ大切なことは、集中することから心が離れてしまったら、なるべく早く気が付いて、また集中している対象に心を寄りそわせる。
呼吸に集中する努力をしていたら、心を寄りそわせるように(吸う~、吐く~)
ただ言葉にしているだけで呼吸を感じていないことに気が付いたら、すぐに感覚に戻ります。心が寄りそっている時間が長くなればなるほど、集中している時間が長くなっているということです!
いかがでしたか?
実際に行ってみると最初のうちは難しいかもしれません。また、心は動き回りたいので、すぐに「私には瞑想なんかできない」と白黒つけたがるかもしれません。ですが、どうかあきらめないでください。
続けていくうちに少しずつ、集中を継続することができるようになります。どんな物事にも当てはまりますが…。例えば、おいしい料理を作ろうとしたら、レシピを見て何回か同じ料理を作りますよね。
繰り返していく中で調味料の分量や火加減を覚え、続けるうちにレシピを見なくても、おいしい料理が作れるようになります。
楽器を弾くこと、武道を極めること、習字を上達させることとはダーラナと同じ。どんな物事でも練習を続けていくこと、実践していくこと以外、上達はないのです。
何回失敗してもいいんですよ。続けていけば、その過程がすべて糧になるのですから。
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