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りゅうせい戦で気づいた海外大会で勝てなかった理由【連載第6回】
はいどうもこんにちは、カワノです。
「SFL」で「クラシックタイプ・ルーク」を使った理由
まず、前回のコラムで、『ストリートファイター6』(スト6)に変わった「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023」(SFL)で、モダンタイプ・ルークを選択した理由について書きました。第3節では実際にモダンルークを使用しました。
ただ、今季2回目の出場となった「SFL」第7節からは、宣言した「モダンルーク」ではなく、「クラシックルーク」で出場しました。
これについてはかなりいろいろな葛藤があったのですが、操作タイプ変更の一番の理由は、“間に合わない”というところでした。操作感が従来と違いすぎて、どうしても自分の器用さだと普通に動かせるようになるまで1年はかかるなと思いました。
「モダンタイプルークで行く」と言っていたため、気まずさはあったのですが、いかんせん「SFL」のチーム順位も2ndステージまでのボーダーランキングギリギリらへんでしたので、やむなくクラシックタイプを選択しました。
クラシックタイプは元々『ストV』で慣れていたこともあって、広島 TEAM iXA戦ではなんとか勝ち星をつかむこともできました。
ですが、モダンタイプを使用するということをあきらめたわけではないです。2ndステージ、グランドファイナルに上がることはかないませんでしたが、練習時間も作れるはずなので、いつか出したいなとも思っています。
やっぱりモダンタイプの利点として、自キャラの「バーンアウト」がそこまで怖くないんですよね。このゲームにおいてバーンアウトが怖くないっていうのは相当なアドバンテージだと思うので、これからもクラシック・モダン両方とも練習していきたいなと思っています。
あと、個人的な話なんですが、“JPだけは絶対倒すマン”になりたいです。
JPに勝てなさすぎるからみんなのJP対策このツイートにリプライして欲しい。
— カワノ Hit Box|Kawano (@kawanoChannn) August 30, 2023
国内大会は総なめ、なのに海外では……
さて、あらためて第4回からの続き、2019年に戻ります。
2019年のフランスのプレミア大会「The MIXUP 2019」に参加以降は、基本的にランキング大会ではなくグローバルプレミア大会に参加していました(編集部注・当時の「Capcom Pro Tour」には、開催規模の大きなグローバルプレミア大会と、地域や国ごとに開催されるランキング大会があり、年に1度の「Capcom Cup」への出場権を得るためのポイントを獲得できた)。
先に言ってしまうと、その年に海外大会で芳しい結果が出たことは一度もなかったです。ビギナーズラックというべきか、最初に出場したベルギーのランキング大会「Brussels Challenge Major Edition 2019」での7位という順位が一番いい結果でした。
じゃあ成長していなかったのかというとそういうわけではなく、その証拠に国内の大会は総なめと言っていいほどに優勝していました。大会勘をつけるためにも、参加できる大会はなるべく全て参加するようにしていました。
「大阪で大会が開催されるっぽいな。優勝賞金30万ってことは、交通費とマネージャーに渡す分引いても黒字だし行くか」
みたいな感じで、黒字であるならば全国の大会に行ってました。
当然ですが優勝しなければ赤字ですので、大会勘をつけたいと言えどもできるだけ猛者が来ないように、大会告知のツイート等はリツイートを控えてました(笑)。拡散すればするほど大会自体は盛り上がるので主催者には申し訳なかったんですが、できるだけ生活費を稼ぎたかったので小賢しいことしてました。すいません。
「BeasTV杯」という優勝したら海外大会での費用を全負担してもらえる、かなり大規模なオンライン大会でも優勝していましたし、普段の練習部屋での勝率も徐々に上がってきていたので、間違いなく自分の“ストV力”は成長していました。
ですが、海外大会では思うように結果が出ませんでした。
“海外大会に3回行かせてもらえること(TOP8に入るごとにもう1回海外大会に行かせてもらえる)”という契約条件があったと思うのですが、最速で使い切りました。TOP8どころか第1プールで敗退することがほとんどでした。
「ゆーて、国内の大会優勝したりして強くなったとこ見せたら海外大会連れてってくれるんちゃうか」とかいう甘い期待も軽くあったっちゃあったんですが、その期待もむなしく、ちゃんとこれっきりでした。
海外大会のトナメ表は大体3日前くらいに出るので、当然当たりそうな相手の対策をして向かうわけですが、それでも全然勝てませんでした。
りゅうせい戦への万全の対策と惨敗
すべての試合の感想を言うのもあれなので、一番印象に残っている試合を話したいと思います。
僕があの頃の海外大会で一番印象に残っているのは、「VSFighting 2019」でのFAV gaming所属のりゅうせいさんとの試合です。同じプールにいたので対策をして臨んだのですが、その時の対策量は尋常じゃなかったなと振り返ってみて思います。
まず、人読みメモの量がすごかったです。
この人読みメモが確か4枚分くらいありました。そして、そのメモも試合直前に見るとかではなく、忘れないように、頭に刻み込むために、試合の3日前くらいから何回も何回も読み直してました。そしてりゅうせいさんの試合を50試合ほど録画してスマホに入れ込み、飛行機に乗っている最中はずっとその録画を見てました。
おかげで超自信満々でりゅうせいさん戦に臨むことができたんですが、超自信満々に臨めただけであって、結果はというと……
驚くほどあっさり負けました。
本当に「あっ」という間でした。
この時「あれ? これ、俺が思ってる以上にトッププロ勢との差、すごいんじゃないか? この差って本当に埋めれるんか?」と、普段は根拠のない自信家の自分が、初めて弱気になりました。
これだけ準備してきて負けるのかと放心しました。自分はとにかくプールを抜けることが第一優先でしたので、りゅうせいさんのみに対策を絞ってかなり準備してきたんです。
ですが、りゅうせいさん側からしたら俺の対策も少しはしたかもしれませんが、それより先のプールを抜けた方も見据えて対策してたと思うんですよね。
そこの準備の差もあるにもかかわらず、あっという間に負けてしまったわけです。さすがに弱気になりました。
ルーザーズ側でもその気落ちした状態を引きずって速攻負けました。ただ、今思えば気落ちしてたからとかそういうわけではなく、大会に対しての心構えや単に実力が足りてなかったんだろうなとも思います。確か海外実況者のF-Wordという方のいぶきに負けた記憶があります(彼は33位でした)。
負けたことで得たもの
ですが、くよくよしている暇はありません。りゅうせいさんに負けてしまったものの、収穫を探すことにしました。
見つけた収穫は何だったのかというと、“自分って思ってる以上に不器用だな”ということに気づけたことです。
りゅうせいさんの人読みメモをしっかり覚えたりしたものの、実戦で全くそこを突くことができなかったんですよね。
結局、練習でできないことは本番でできないんだなとここで思いました。今回、人対策をしたはいいものの、誰かと対戦しながらそれを当てはめるってことをしていなかったんです。
誰かと対戦しながらその人対策を実践することで、そこで初めて実戦でも同じことをやれるようになるんだなと気づいたんです。
当然相手はりゅうせいさんにはお願いできないので、人対策自体はそこでは機能しないかもしれませんが、しっかり練習でもやっておくことが大事だなと思いました。
というわけで、海外大会のチャンスは速攻失ってしまったものの、その後「SFL」のメンバーに選ばれます。次回はそのことについて書いていこうかなと思います。
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