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新シーズン2024での大規模な変革がもたらすもの【watanekoの『LoL』考察】
皆様こんにちは、watanekoです。2024年も「LJL」の解説を担当させていただくことになりました! 引き続き、よろしくお願いします。
この連載では昨年まで、『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の競技シーンや話題になったメタの考察・分析を、「Worlds 2023」を中心に行ってきました。
今回は、1月11日からスタートした「シーズン2024」で起きた大規模な変革とその影響についてご紹介しながら、今年の『LoL』についてご紹介していきたいと思います。
『LoL』のアップデートについて
さて、『LoL』では2週間に1度、アップデートが行われています。このパッチ(アップデート)には大きく分けて3種類あります
(1)環境を一新するパッチ(一度壊す)
・シーズンの変わり目
・アサシンアップデート等
(2)環境を丸めるパッチ(強弱を整える)
・強すぎたものを調整
・弱すぎたものを調整
(3)競技シーン用
・上位ランク帯で試されている抜け穴を防ぐ
・システムの裏を突いたような状況を防ぐ
今回の14.1のパッチは(1)に当たる環境を一新するパッチであり、大きな変更と変化が加えられます。
よって多くのプレーヤーが困惑することでしょう。かくいう私も手探りの状態の中、今年はプレシーズンがない中でのアップデートのため、通年よりもより変化を強く感じるスタートとなりました。
そして、今までのシーズン間におけるパッチとしては大きな変更の周期となっています。
ご覧の通り、確認できるだけでもシーズン4から大きな変更が毎年行われ、そんな中でもシーズン6、シーズン8、シーズン2020と大きな変更があることがわかります。約2年周期でシステムに直結するような変更が行われてきました。
しかしシーズン2021以降、新型コロナウイルスの影響によって開発チームはリモートワークを余儀なくされ、開発が思った通りに順調ではなかったそうです。
よっていったん途切れてしまった2年周期の変更がシーズン2024(14)にて盛大に行われたというわけです。
シーズン2024の大きな変更点
シーズン2024の大まかな変更点はこちらになります。
- ヴォイドの変更
ヴォイドグラブ、ヴォイドマイトの追加
ヴォイドボーンモンスターの追加
リフトヘラルドのリワーク
バロンナッシャーのリワーク - 地形の変更
マップの変更
インファーナルの地形の変更 - アイテムの変更
- ルーンの変更
- タワーの調整
シーズン2024の変更により、『LoL』はより「Win Lane Win Game」の要素が強化されたと考えられます。簡単に言えば、主にオブジェクトの追加がこの変化の要因であり、有利な状況を素早く有益なオブジェクトに変換しやすくなったことが影響しています。
また、新たに登場したヴォイドグラブの存在により、TOPサイドの重要性が一段と高まりました。
ここからは、私が感じた重要なポイントについて、いくつかピックアップしてご紹介します。
(1)ヴォイドの変更点
今回の変更点で一番大きなものは、「ヴォイドの変更点」です。これまでサモナーズリフトに存在していたヴォイドモンスターはリフトヘラルドとバロンナッシャーのみでしたが、今後はヴォイドの存在がより大きな役割を果たすようです。
既存のリフトヘラルドとバロンナッシャーにも変更が加えられるため、これらの変更点を1つ1つ注意深く見て、考察していきます。
・「ヴォイドグラブ」の価値
ヴォイドグラブを倒すと、チーム全員にヴォイドの飢えという恒久的なバフが得られます。タワーに通常攻撃を与えると、4秒間かけて確定ダメージを与える効果が発生します。さらに、5体以上の敵を倒すことでヴォイドマイトを召喚することも可能です。
バフの内容は以下の通り。
恒久的なバフは、タワーへの影響力を高め、1つのアクションでの有利が大きくなります。これにより、少しのタワー攻撃でも簡単にダメージを与えることが可能であり、例えばタンクでもタワーを破壊しやすくなります。
一方で、この新しいバフはドラゴンのように直接的な戦闘力に関わるものではありません。その代わりに、タワーを攻撃することによる瞬間的な恩恵が大きく広がり、ゲームにおいて重要な影響をもたらすことになります。
・ヴォイドグラブとドラゴンとの価値比較
ドラゴンとヴォイドグラブの出現時間がほぼ同じである5分時点で、それぞれの出現時間がドラゴンが5分、ヴォイドグラブが4分であるため、ドラゴン2体とヴォイドグラブ6体のトレードが生じる可能性があります。
一般的な評価では、ヴォイドグラブを6体獲得した方が有利で、ゲームに勝つことができるバフとされています。しかし、これに関しては統計的なデータや競技シーンでの傾向を確認することが重要です。
今後の競技シーンの動向や統計データに注視し、どちらが有利かを詳細に分析していく予定です。
・「ヴォイドボーンモンスター」について
20分段階から登場するヴォイドボーンブルーセンチネル(青バフ)とヴォイドボーンレッドブランブルバック(赤バフ)は、ゲームプレーにおいて大きな変化をもたらす要素となりました。これらのモンスターを倒すことで、チーム全員にバフが与えられ、一時的に攻撃力が向上します。オブジェクトファイトにおいてこれらのバフを獲得することで、戦闘の状況が有利に変化するでしょう。
特にヴォイドボーンブルーセンチネルはマナの回復に寄与し、これがビルドに影響を与えます。
例えば、アジールのようなチャンピオンでは、最近ではまったくマナステータスを持ったアイテムを積まない傾向が見られます。「ナッシャートゥース」を1stアイテムに選択することで攻撃を強化し、Wのマナ消費量だけでレーニングのコントロールを追求します。
その後も「リッチベイン」や「ゾーニャの砂時計」、「ラバドンデスキャップ」など、魔力が強力なアイテムを選択して攻撃力を高める方針が一貫しています。
20分を過ぎると、ヴォイドボーンブルーセンチネルのバフを取得できるため、マナに対する不安定な状況はほとんど解消されます。また、スマイトアイテム完成時もバフは今までと同じように1人分追加で獲得可能です。
これらの変更がゲームの進行にどのような影響を与えるか、今後の競技シーンでの動向を注視していく予定です。
アイテムの変更点
今回アイテムがさまざま追加されたことによってビルド面が大きく変化しました。強力なのはもちろん、プレーヤーの意見が反映されたアイテムも新たに加わりました。いくつかピックアップしてご紹介します。
パッチノート 14.1
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-14-1-notes/
・ストームサージ
3秒以内に最大体力の35%に相当するダメージを与えると追加でダメージを発動するAPアイテムの特性があります。このアイテムはアサシンだけでなく、シンドラやフェイなどのバーストメイジとも相性がいいため、通常は1つ目や2つ目のコアアイテムとして選ばれることが予想されます。
特に、35%というハードルを超えるためには、電撃といったキーストーンや「ルーデンコンパニオン」などのアイテムとの組み合わせが目立つでしょう。これらの選択は、追加ダメージを効果的に引き出し、キャリーやバーストのメイジにとって重要な役割を果たすことになります。
・サンダードスカイ
「サンダードスカイ」は、「ディバインサンダラー」の代替アイテムとして登場しました。その効果は、「チャンピオンに対する最初の通常攻撃がクリティカルになり、基本攻撃力の140%(+減少体力の6%)にあたる体力を回復する」という独特なものです。このアイテムは通常攻撃が必ずクリティカルになり、攻撃の一撃で体力を回復できるという特異な性質を持っています。
CDが6秒と少し長い、効果的に利用できるチャンピオンに好まれそうです。現在では、エイトロックスやポッピー、リー・シンなどがこのアイテムを選択しているようです。これらのチャンピオンはアイテムの効果を有効に利用でき、継続的な戦闘で優位に立つことが期待されます。
・タイタンハイドラ
「タイタンハイドラ」は効果の変更になりますが、大幅に効果が変更されたファイター向けのアイテムとして優秀です。発動が可能になり、実質的な通常攻撃(AA)として利用することが可能になりました。
このアイテムは非常に大きなダメージを与えるため、HPが増加するセミタンクアイテムでありながらも、バーストダメージを発揮することができ、AAを重ねることで得られる恩恵があるチャンピオンが装備すると非常に強力です。
特に、ジャックスやシン・ジャオ、レネクトンなどとの相性が良さそうです。これらのチャンピオンは通常攻撃に依存する特性を持ったチャンピオンであり、このアイテムの変更により、効果的に戦闘で優位に立つことが期待されます。
このアイテムの変更がファイターのプレースタイルにどのような影響を与えるか、今後のゲームプレーで注目されるでしょう。
・ボルテイク サイクロソード
新たな脅威アイテムの「ボルテイク サイクロソード」は通常攻撃(AA)を強化し、ダッシュかステルス効果を発動するとチャージ速度を75%増加させることが可能です。ただし、他のアイテムと比較するとダメージは高くないため、回転率を重視して何度も追加ダメージを与えることができれば強力です。
このアイテムの影響もあり、ソロキューではレンガーが猛威を振るっています。他にもカ=ジックス、アクシャン、グレイブスなどがこのアイテムを活用し、競技シーンではルシアンでも試されているようです。
このアイテムの特性がどのようにゲームプレーに影響を与え、どのチャンピオンがこれを効果的に利用できるかが注目されるでしょう。
・ホロウレディアンス
新しく登場したMR(魔法防御)版のサンファイア系は待望されていたアイテムで、これまで魔法ダメージ相手には「バミシンダー」で留める必要がありましたが、このアイテムの登場によりそのジレンマから解放されます。特に競技シーンでは、カ・サンテがジャックス相手にこのアイテムを選択する様子が確認されています。
ジャックスに対しては、序盤から魔法ダメージがある程度発生することもあり、このアイテムが機能するとされています。また、効果によってウェーブクリアが早くなるため、序盤から強力なのがポイントです。
・先人の道標
2024 ゲームプレイビュー
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/2024-gameplay-preview/
テーマ別アイテム投票の結果、追加されたサポートアイテムがミッドアップデートで100G高くなりましたが、依然として非常に強力です。特に、ラカンをはじめとするエンゲージタンクサポートにとって、望ましいスタッツと効果がそろっており、味方が生きやすくなる効果が今後ますます重要になるでしょう。
アイテムの価格が上昇してもなお、その強力な効果を考えれば、サポートプレーヤーたちはこれを選択することで、仕掛ける点に関して優位性を得られる可能性があります。
新しいサポートアイテムの影響はゲームプレーにおいてどのような変化をもたらすか、プレーヤーたちの反応やメタにどのような影響を与えるか、注視されるでしょう。
・ブラッドソング
サポートアイテムの強化先の中で、攻撃力ダメージ用の「ブラッドソング」が一番強力です。その理由は、まずダメージが高く、さらにサポートアイテムの強化なので安価で入手できる点です。サポートアイテムの効果が一新され、ゴールドを共有できるようになったことで、ADCもサポートアイテムを選択するケースが増えています。
正確にルールを守り、ゴールドを共有すれば、CS獲得によるペナルティがある中でも、順調に進めば3つのコアアイテムが完成するまでにブラッドソング分の火力が加算され、相手を上回ることが可能です。
ただし、今後の仕様変更によっては状況が変わる可能性もあるため、ゲーム内のアップデート情報を確認することが重要です。サポートアイテムの変更がゲームプレーにどのような影響を与えるか、注意深く見守るべきです。
「脅威」(物理防御貫通仕様)の変更
アイテムに付随する効果のひとつ、「脅威」の計算に関して変更がありました。以前までは0.6~1のレベルスケールであったものが、純粋に等値で物理防御を貫通します。わかりやすくなった分、低レベル時の物理防御貫通能力が高くなったと言えます。
これにより、安価になった1000Gの「セレイテッドダーク」を購入した際のパワースパイクが非常に強力であり、序盤のアサシンが活躍しやすい状況が予想されます。低レベル時に相手の防御を効果的に切り崩すことができるため、アサシンがより早い段階で敵に対して脅威を発揮できるでしょう。
新たなバランスがゲームプレーにどのような影響をもたらすか、また、これによる競技シーンのアサシンの評価について注目したいです。
マップの変更
マップの変更点については、これからの研究課題なので全てを申し上げることはできません。しかし、赤サイドのBOTについて議論がよく上がるので、こちらについて少しだけまとめていこうと思います。
現在の地形は、赤サイドのBOTにおいて地形的にガンクしやすい傾向はありますが、逆にしっかり警戒していれば対処しやすいとも言えます。
強力なチームはボットへのガンク警戒のためにミッドレーナーにワードをおかせている様子が確認できています。これをすることによってガンクルートを1つ潰すことができるのです。ミッドの強さが他レーンに影響を及ぼすマップという意味は、以前よりも顕著になったと思われます。
おわりに
今回は、簡単ではありますがシーズン2024の変更とその評価、競技シーンとの関連性についてふれてきました。まだふれていないアイテムやそこから考えられる強力なビルド、ミニマップの変更など2024のアップデートは盛りだくさんです。
これからの競技シーンや新たな情報を楽しみにしたいと思います。
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