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刷新された「LJL 2024 Spring Split」レギュラーシーズン、全6チームの戦いを振り返る
「LJL 2024 Spring Split」のレギュラーシーズンが、2024年2月18日のDAY10をもって終了した。
前評判の高かったDetonatioN Focus Me(DFM)、SoftBank HAWKS gaming(SHG)が早々に1、2位抜けを決めたのに対し、混戦となった3、4位争いはレギュラーシーズン最終日のDay10までもつれ、最後の1ゲームまで見逃せない戦いとなった。
結果、Sengoku Gaming(SG)とV3 esports(V3)がプレーオフへの切符を手にし、AXIZ CREST(AXC)、BurningCore Toyama(BCT)は残念ながらここでシーズンを終えることになった。
本記事では、レギュラーシーズンでの戦いを振り返り、プレーオフ出場チームの評価や展望、残念ながらプレーオフ出場がならなかった2チームは来季への課題をまとめてみた。
なお、各チームの勝敗数については、Bo2(2戦を戦い、2勝=3ポイント、1勝1敗=1ポイント、0勝1敗=0ポイント)の結果を勝敗としてカウントさせていただいた。「引き分け」はゲームカウント1-1という意味合いだ。
1位 DetonatioN Focus Me(9勝0敗1引き分け)
前評判通り圧倒的なパフォーマンスを見せたDFMがレギュラーシーズンを1位で走り抜けた。
取得ゲーム数で見ても19勝1敗の勝率95%と圧倒的で、ファーストタワー取得率90%、15分段階でリードしていた試合の勝率94.7%と他チームを寄せ付けない成績を見せた。
今シーズンからviviDコーチが加入したが、ピックを絞ってプレイの精度を上げるというチームの伝統は大きくは変わらず、ミッドのAria選手がアジールを10ピック、ADCのYutapon選手がルシアンを7ピックと、キャリー陣のピックの偏りはリーグでも目立っている。
一方で、サポートのHarp選手はリー・シンやランブルといった奇抜なピックも折りませながら、リーグ最多の14種類のチャンピオンを操って見せた。
ほとんど注文をつける部分のないシーズンだったが、強いて言えば、序盤・中盤のアグレッシブに行き過ぎた時のミスが目立ったことだろうか。DAY9(2月17日)のV3戦では勝利することができたものの、「あわや」のシーンをつくられてしまった。
今後PCSとの合同プレーオフへと進めば、ミスを咎めてくるチームも増えてくるので、LJL1位でのPCSプレーオフ進出を目指すのはもちろんだが、ミスを減らすことをこのプレーオフの課題にしていきたい。
もう1点気になるのは、Aria選手のメインピックだったアジールが、おそらくプレーオフで使用されるであろうパッチ14.3でナーフされることだ。レーン戦の安定性が落とされる調整で、執筆時点では(まだ試合数は少ないが)やや勝率を落としている。
DFMはミッドにアジールを置くことでエンゲージ要素を補い、ルシアン+ナミやミリオをボットでピックし、レーン戦~中盤戦で積極的にプレッシャーをかける、というバンピックをレギュラーシーズン中多用していた。新しい戦術の用意があるのか、あるいはナーフに構わずアジールを続投するのか、注目だ。
2位 Fukuoka SofBank HAWKS gaming(7勝2敗1引き分け)
2023年はヨーロッパの1部リーグ「LEC」に日本人として初めて挑戦したEvi選手が加入したことで、ストーブリーグで大きな話題を呼んだSHGは、レギュラーシーズン2位という結果に終わった。
開幕戦でこそDFMに敗れたものの、Day6(2月4日)でのリベンジマッチでは1-1の引き分け、今シーズン唯一DFMからゲームを取得したチームとなった。
「LJL」はスローテンポなリージョンと評されることが多いが、2024年のSHGは非常にアグレッシブで、やや無理筋に見えるようなアクションでも積極的に行っているのが印象的だった。
平均試合時間は「LJL」でも最短で、ミッドでは安全にプレイし、サイドレーンやバロン、ドラゴンピットまわりで激しくプレイするのがこのチームの特色だ。
そのサイドレーンの強さを支えているのはやはりEvi選手。キャリーピックを任されることが多いV3のTaNa選手に次ぐダメージ占有率リーグ2位、ファーストブラッド率40%は、トップレーナーとしては異様なほど高い数値で、チームとしても彼を育ててサイドレーンを強くプレイすることをゲームプランにしているのがわかる。
レギュラーシーズンではアグレッシブすぎるプレイが仇となって不利を背負うシーンが多々見られたが、リミットテスト(どこまで戦えるかリスクを取ってチャレンジすること)をしているようにも見えたので、負けられないプレーオフに入ってからはプレイスタイルをがらっと変えてくるかもしれない。
ミッドのDasheR選手はビクターというオフメタチャンピオンを多用して好成績を残している。パッチ14.3ではフェイがメタの中心になりそうなので、フェイに後出しできるチャンピオン候補として、実績のある手札が1つあるのは心強そうだ。
3位 Sengoku Gaming(2勝4敗4引き分け)
SGは完全な新ロースター、Gaeng選手の兵役明けの現役復帰と不安要素が多かったものの、レギュラーシーズン3位でプレーオフへの進出を決めた。
新チームということもあってシンプルな戦術を繰り返すことで精度を高めているようで、ジャングルのEllim選手にキャリーポテンシャルの高いリー・シンやヴィエゴを渡し、Gaeng選手がノーチラスやラカンといったエンゲージチャンピオンを担当するドラフトが主軸になっている。
この2人はキル関与率でリーグ4位、1位とスタッツ面でもSGの心臓部になっているといえるだろう。
逆に言うと、ドラフトプランがシンプルすぎるがゆえに、上位チームからすると警戒すべきポイントが絞られてしまって、集団戦やその前のセットアップの部分でGaeng選手が狙われ、そこから崩されるシーンが多かったのが今後の課題だろう。
ミッドのKakkun選手かADCのYuhi選手がキャリーの役割を分担できれば、Ellim選手にエンゲージを渡したり、Gaeng選手がエンチャンターをピックできたりと幅は広がりそうだ。
3チームがPCSプレーオフに上がれることや、レギュラーシーズンの結果を踏まえると、SGにとっての本当の戦いは3月2日の3位決定戦になりそうなので、この2週間で新しい手札を用意してほしいところだ。
4位 V3 esports(2勝5敗3引き分け)
韓国人選手をロスターに加えプレーオフを目指すという方針転換を行った今シーズンのV3。AXCとの際どい順位争いを制してなんとか4位の座を確保した。
「LJL」随一のキャリートップのTaNa選手は今シーズンも健在で、ADCのBini選手とほぼ同じダメージ占有率を記録し、ゲームプランとしてしっかりと役割を果たした。
また、今シーズンはミッドのAcee選手のパフォーマンスが素晴らしく、トリスターナやアジールといったキャリーDPS系から、フェイやニーコのようなユーティリティ性能の高いメイジまで、11種類のチャンピオンを操り、集団戦で大活躍を見せた。
彼が活躍することで、対戦相手チームはニーコやトリスターナにバン枠を割かざるを得ず、結果としてジャングルのHRK選手がバンを受けずに得意のエンゲージ系チャンピオンをピックできる、とゲーム内外での貢献が光った。
序盤でリードできた時の勝率は安定しているので、課題はレーンフェイズで崩されないことだろう。特にレッドサイドのときのボットレーンは課題で、序盤にダイブを受けて倒される機会が多くなっている。
サポートのhetel選手のチャンピオンプールの問題もありそうだが、もう少しレーンで主導権が握れるピックが出せるようになると、得意の集団戦フェイズを有利な状況で迎える試合が増やせそうだ。
5位 AXIZ CREST(2勝5敗3引き分け)
あまりいいスタートを切れなかったAXCは、シーズン途中調子を取り戻すシーンはあったものの、結果的に同点となったV3相手にDay1の直接対決で0-2してしまったことが響いて5位、プレーオフ進出は果たせなかった。
開幕前から実績面でエース格と目されていたSsol選手は、セナを中心に射程が長く安定したキャリー力を持つチャンピオンがピックできたときは特に高いパフォーマンスを発揮。SHG相手に引き分けに持ち込むなど、チームを牽引した。
一方で、ミッドのEugeo選手は得意の守備的なピックがメタを外れていたし、本来ならキャリー系をプレイさせたいジャングルのCassin選手のピックも、チーム事情的にエンゲージチャンピオンを取らざるを得ないと、他レーンに関してはいろいろとかみ合わない印象が強いシーズンになってしまった。
Day10(2月18日)のSHG戦が典型例だが、ボットを徹底的にマークされた場合にSsol選手の代わりにサブプランとしてキャリーできるプレイヤーをチーム内に見出すことが、来季までの課題となりそうだ。
6位 BurningCore Toyama(0勝7敗3引き分け)
拠点を富山県に移転し、日本人若手プレイヤーを中心にチーム再建を図るBCTは、今季Bo2での勝利を収めることはできなかったが、3ゲームを取得。最終週はプレーオフ争い中のV3相手に勝ち点1を上げ、リーグの盛り上がりに貢献した。
新加入のJool選手はレーン戦のスタッツこそ低いものの、ソロキルはDFMのAria選手を上回る12回でLJL1位。チームのためのピックも目立ったが、来季はキャリー系のチャンピオンのピックが増えてほしい。
レーン戦から苦戦する展開が多いとはいえ、平均アシスト数が2.0でLJL最下位、ジャングルとサポートのキル関与率も最下位と、ジャングルのEL選手、サポートのCharley選手の連携面が課題と言えそうだ。
そんな中、tol2選手は日によってパフォーマンスのムラはあるものの、ソロキル6回を上げるなど悪くない成績を残した。HowLa選手も含めた日本人若手プレイヤーたちのレーン戦向上と、パフォーマンスの安定化が成し遂げられれば、来季のプレーオフ進出も夢ではなさそうだ。
LJL 2024 Spring Split レギュラーシーズン(Day1~10)リザルト
※カッコ内はゲームの勝敗数
※カッコ内はゲームの勝敗数
- DetonatioN FocusMe 9勝0敗1分(19勝1敗) 28p
- Fukuoka SoftBank HAWKS gaming 7勝1敗2分(16勝4敗) 23p
- Sengoku Gaming 2勝4敗4分(8勝12敗) 10p
- V3 Esports 2勝5敗3分(7勝13敗) 9p
- AXIZ CREST 2勝5敗3分(7勝13敗) 9p
- Burning Core Toyama 0勝7敗3分(3勝17敗) 3p
「LJL 2024 Spring Split」プレーオフはBo5で2週にわたって開催
2024年の「LJL」は、上位4チームによる「LJL」内のプレーオフを実施し上位3チームに絞り込まれる。そして、勝ち上がった3チームが「PCS」のプレーオフに進出し、優勝&「MSI」出場を目指す、という流れだ。
試合はシングルエリミネーション方式のトーナメントで、Bo5(3ゲーム先取)で3位決定戦まで行われる。
対戦カードは、1位のDFMがV3を選択し、2位のSHGはSGと戦うこととなった。2月24日(土)からの試合も目が離せない。
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