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【年末年始スペシャル座談会】日本最強の『レジェンド・オブ・ルーンテラ』研究勢が語る、盛り上がるための方法とは?
ライアットゲームズのデジタルカードゲーム『レジェンド・オブ・ルーンテラ』。世界大会「Legends of Runeterra World Championship 2023」も開催され、斬新なシステムで世界中のプレイヤーから好評を博している。
しかし、国内のプレイヤー数としては他のデジタルカードゲームに一歩劣る印象が拭えない。
そこで、今回は連載中のjyoriさんも所属する『ルーンテラ』の研究を続けている3つのグループの代表者で座談会を実施。『ルーンテラ』が盛り上がるために必要なことは何か、そのゲーム性・競技シーンも含めて語り尽くしていただいた。
他のカードゲームプレイヤーも共感できるであろう、約2万字の座談会をお楽しみいただきたい。
●座談会参加者プロフィール
Zetavzee
所属:「LoR Competitive JP」(LCJ)
メンバー数:24名(ただし、最近LoRで活動しているのは10名程度)
プロフィール:最も古い『LoR』日本人競技窓「LCJ」の2代目管理人。幼少期に「遊戯王」ブームでカードゲームにふれ、いくつかのカードゲームをプレイした後、主に『MTG』で遊ぶようになった。『MTG』では競技シーンに挑戦し、プロツアーも出場経験あり。
最高戦績:「宿命の航路 :旅立ち」Worlds予選 準優勝
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:対人ゲームは他に遊んでいません。
タキ
所属:Runemate(ルーンメイト)
メンバー:10名
プロフィール:ゲームならジャンル問わず大好き雑食ゲーマー。学生時代は格闘ゲーム、社会人になってからはカードゲームに打ち込んでいる。
最高戦績:
シーズン:宿命の航路:旅立ち エターナルオープン ベスト16
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:LoL、TFT、ポケモンユナイト、ガンダムエクストリームバーサスシリーズ、(雀魂)、WIXOSS、BBシリーズ
ここちい
所属:Rebelz(レベルズ)
メンバー数:5人
プロフィール:リミテッド好き。デッキビルダー、トーナメントプレイヤー。「旅路」も好む。
2023年シーズン戦績:
・「ルーンテラオープン」(公式大会)APACサーバー トップ64入り5回
・日本開催コミュニティ大会優勝最多
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:遊戯王マスターデュエル、ボードゲーム(世界の七不思議など)、スマブラSP、TFT。LoLも2週~1カ月くらいプレイ。
jyori
本連載の執筆者。タキさんと同じRunemate所属。
MC:宮下英之
eSports World編集部員。『LoL』はほぼ毎日プレイしているが、DCG歴は『シャドウバース』『ハースストーン』『ルーンテラ』のストーリー部分をなぞった程度のチキン。
※画像は当座談会でのイメージです。
Zetavzee
所属:「LoR Competitive JP」(LCJ)
メンバー数:24名(ただし、最近LoRで活動しているのは10名程度)
プロフィール:最も古い『LoR』日本人競技窓「LCJ」の2代目管理人。幼少期に「遊戯王」ブームでカードゲームにふれ、いくつかのカードゲームをプレイした後、主に『MTG』で遊ぶようになった。『MTG』では競技シーンに挑戦し、プロツアーも出場経験あり。
最高戦績:「宿命の航路 :旅立ち」Worlds予選 準優勝
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:対人ゲームは他に遊んでいません。
タキ
所属:Runemate(ルーンメイト)
メンバー:10名
プロフィール:ゲームならジャンル問わず大好き雑食ゲーマー。学生時代は格闘ゲーム、社会人になってからはカードゲームに打ち込んでいる。
最高戦績:
シーズン:宿命の航路:旅立ち エターナルオープン ベスト16
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:LoL、TFT、ポケモンユナイト、ガンダムエクストリームバーサスシリーズ、(雀魂)、WIXOSS、BBシリーズ
ここちい
所属:Rebelz(レベルズ)
メンバー数:5人
プロフィール:リミテッド好き。デッキビルダー、トーナメントプレイヤー。「旅路」も好む。
2023年シーズン戦績:
・「ルーンテラオープン」(公式大会)APACサーバー トップ64入り5回
・日本開催コミュニティ大会優勝最多
『LoR』以外に遊んでいるゲーム:遊戯王マスターデュエル、ボードゲーム(世界の七不思議など)、スマブラSP、TFT。LoLも2週~1カ月くらいプレイ。
jyori
本連載の執筆者。タキさんと同じRunemate所属。
MC:宮下英之
eSports World編集部員。『LoL』はほぼ毎日プレイしているが、DCG歴は『シャドウバース』『ハースストーン』『ルーンテラ』のストーリー部分をなぞった程度のチキン。
※画像は当座談会でのイメージです。
日本を代表する『ルーンテラ』研究グループ“窓”とは
宮下:今回は日本で最も『ルーンテラ』を知り尽くしているであろう皆さんにお集まりいただき、2023年の『ルーンテラ』界隈を振り返りつつ、『ルーンテラ』が盛り上がるためにはどうすればいいのか考えていきたいと思います。最初に、自己紹介と、それぞれの「窓」の特徴を教えてください。
Zetavzee:「LoR Competitive JP」のZetavzeeです。メンバーで言うと、今日(座談会は11月29日に開催)の「APAC | World Championship Play-ins Matches」を戦っているpisukaru選手とkuro選手はうちの選手で、その下にも実力者が2、3人いて、窓としてはいい成績でした。
宮下:いま一番トップにいる選手が集まっている窓、と言っていいんでしょうか。
Zetavzee:規模は大きいですけど、ちょうど今回参加している3つのグループから、「Worlds」に出場している人が1人ずついますし、ある意味バランスいいですよね。
宮下:ちなみに、「24名中LoRは10名」の残りは別ゲーのプレイヤーですか?
Zetavzee:単純に、うちは加盟したら基本的に永久在籍なんですよ。モチベーションの都合で一時的に離れても構わないルールなので、最近やってないというだけです。
宮下:活動時間はいつ頃ですか?
Zetavzee:これは多分各窓で異なると思うんですけど、僕らはかなり緩くやっていて、ほぼ毎日雑談しながら『LoR』をプレイして、画面共有で意見を言い合ってます。ほとんど仲良しの集まりと変わらないですね(笑)。
宮下:次はタキさん。jyoriさんと同じ窓ですね。
タキ:「Runemate」のタキです。2023年は参戦する人が他の窓よりも少なくて……なんていうか、うちは30代のおじさんが多いんですよ。家庭の事情で出られなかったりして、多分毎回多くて4、5人ぐらい。その中でプレイオフに出られるベスト64に入れるのが1人か2人です。
中でも、soraharuさんっていう、今年「Worlds」に出場している方だけ、毎回プレイオフまで行くという異常な戦績を残しています。この前の「エターナルオープン」で2位に行った方もいますし、soraharuさんみたいに世界大会行きを決めた人もいる、みたいな感じですね。
jyori:soraharuさんも、もう妻子持ちですからね。
タキ:一番年齢が高いのに、なんであんなに大会に出て勝てるのか、ある意味異常ですよ。
jyori:妻子持ち組はもう、奥さんの許可をもらわないと大会に出られないんで。
宮下:日本のトップクラスの人が、その年齢層にもいるわけですね。
タキ:というか、多分ルーンテラ界隈は全体的に年齢層が高めだと思いますね。高校生とかは少なくて、リリース当初の学生がもう社会人になっていたりします。
Zetavzee:「LCJ」もそうですね。四捨五入すると30歳になるくらいの年齢層です。
タキ:まあ、26〜35歳が『ルーンテラ』のボリューム層だと思いますね。「Worlds」に参戦できたのはsoraharuさんだけです。惜しいところまで行った人は2人ぐらいいたんですけどね。
宮下:ここちいさんはいかがでしょうか?
ここちい:「Rebelz」のここちいです。自分自身はほぼ毎回出場して、プレイオフ進出が5回です。まあ、そのプレイオフではあまり活躍できずに、1回戦で落ちてしまうことしかなかったです。構成人数は5人で、大会はほぼ100%に近い参戦率です。
チームの最高戦績としては、keihさんがひとつめのオープンでいきなり優勝を決めて、そこからもコンスタントに積み重ねていったポイントで「Worlds」進出となりました。
宮下:突出した勝ち方ではなく、ずっと上位にいるからそういう出方ができるってことですよね。
ここちい:特殊な大会が3回に1回あって、それだけはすごく比重が重く4位以上だと大きなスコアでかなり権利に近づくのですが、最初の優勝以外は小さなポイントの積み重ねでしたね。窓全体としても、プレイオフ進出率はだいたい5割ぐらいかなと思います。少数精鋭でやっています。
【他のカードゲームから『ルーンテラ』に移行した決め手は?】
『ルーンテラ』を始めた理由
宮下:それぞれの窓ごとに特色が見えてきたところで、皆さんが『ルーンテラ』を始めたきっかけを聞かせてください。
Zetavzee:僕は偶然としか言いようがなくてですね……。もともと紙の『マジック:ザ・ギャザリング』(MTG)を競技的にやっていたんですが、『MTG』で掲げていた目標は達成したので、いったん紙のカードゲームをやめようかなと思ったんです。
デジタル版の『MTGアリーナ』も遊んでたんですけど、偶然『MTG』の知り合いに『ルーンテラ』をやってる人がいて、話を聞いたらすごく面白そうだなって感じたので始めました。
宮下:その時は、eスポーツとして移行するっていう感覚でもなかったわけですか?
Zetavzee:むしろ、競技には関わらないつもりだったんですけど、気づいたらこうなってしまったというか(笑)。
宮下:生粋の競技志向なところがハマったと。
Zetavzee:気づいたら出てしまいましたね。
宮下:なるほど、タキさんはどうですか。
タキ:僕は元々『LoL』をやっていて、カードゲームは『WIXOSS』で大会などにも出ていました。そんな時に「なんか『LoL』のカードゲームが出るらしいやん」ってなって始めました。
1年目は、結構ライアットも頑張ってたんですよ。だから、「このゲーム、覇権取れるで!」って思って。フタを開けたら「あれ?」っていう状態になっちゃってるんですけど。ライアットが頑張らなくなった後に、「シーズントーナメント」っていう賞金制の大会が2カ月に1回行われることになって、競技的にそれに参戦していました。
宮下:ちなみに『WIXOSS』にも大会はあったんですか?
タキ:ありましたね。世界大会はコロナで消えましたけど、出場できるくらいにはやっていました。
宮下:日本トップの選手だったんですね。『WIXOSS』は日本発祥だし、やっぱり日本勢が強いんですか?
タキ:日本人しかいないですね(笑)。海外でも展開はしてるんですけど(日本人が)強すぎるんで。海外勢が世界大会に来て「So crazy...」って言いながら1回戦で負けていきました。
宮下:なるほど(笑)。アニメも人気でしたよね。
タキ:あれはマーケティング目的で、もうやってないですけどね。『WIXOSS』も『ルーンテラ』と同じで終焉に向かいつつあるので……。
宮下:最後は、ここちいさんですね。
ここちい:カードゲーム自体は本当に小さい頃から、主流のものはたいてい全部やったかなってぐらいやってて。それと並行ししつつ、日本最古のデジタルカードゲームと言われている『アルテイル』っていうゲームがあって。
Zetavzee:あ、僕も履修済みです。まさかここでその名前が出てくるとは。
ここちい:スマホアプリにもなっていましたが、最盛期は15年くらい前でした。私の中での遊びの比重では3分の1以下になることはないくらい、カードゲームはずっとやっていました。
その後は『シャドウバース』とか『ドラクエライバルズ』とかをやっていたんですが、いろいろなゲームをとりあえずさわるタイプの知り合いが『ルーンテラ』をベータテストの初日からやっていて、「すごく面白いからやってみ?」みたいな感じで、僕も数日遅れぐらいで始めました。
宮下:実際さわってみてどうでしたか?
ここちい:私は「リミテッド式」という、配られたカードの即席デッキを作る遊び方が好きで。『ルーンテラ』では「エクスペディション」という名前で、現在はなくなっちゃったんですけど、ベータテストの頃はそっちがメインじゃないかってくらい、パッチノートもエクスペディションずくめで、ずっとメインでやってましたね。1週間に3回しかしかできないんですけど、必ず3回やっていました。
Zetavzee:正確に言うと、何回でもできるんですけど、3回まではリワードがあるんです。それ以上はフリーエントリーで。
jyori:でも、ちょうど「ドラフトモード」みたいなモードが開発中なんですよね。
ここちい:本当にようやく来たかと。2年待ちました。『ルーンテラ』はエクスペディションが面白くて続けていたら、ゲーム内だけで完結する公式大会ができちゃいましたね。それは出ようみたいな感じで出るようにしてたら、1年目と2年目の世界大会は権利を取れて出場していました。
宮下:皆さん、きっかけは結構異なりますね。『ルーンテラ』勢の中でもゲーム性が好きだったり、キャラが好きだったり。
ここちい:そうですね。でもまあ、『ルーンテラ』を続けているのは、やっぱりゲームが面白かったから。
jyori:そこは共通してるとは思う。
Zetavzee:そうですね。僕も「リミテッドモード」はそれなりにはやってましたけど、それよりも単純に『ルーンテラ』のゲームそのものが面白かったのが大きいですね。
ここちい:大会に参加するレベルでプレイする人は、あんまりキャラ愛とかではやってないと思います。
タキ:ゲームが面白すぎるからちょっとやってみるか、大会始まったけどちょっとやってみようか、みたいなノリですね。大会がメインで賞金稼ぎとかに出ているわけじゃなくて。「俺、ルーンテラで生きていこうと思うんだ」ではなく「ゲームがおもろすぎてやってたら、気づいたらなんか大会始まったわ」みたいな感じの人が多い。
ここちい:大会に参加するハードルが低いんですよね。
jyori:だから、大会に出るのが好きだったり、競技シーンにどんどん入っていけるところが楽しいですよね。
【『ルーンテラ』の競技シーンで日本人選手は通用する?】
日本人チャンピオンが生まれる可能性は十分にある
宮下:eSports World的に気になるのはやはり、eスポーツ競技として日本人選手が通用するか、というところです。ちょうど先日『チームファイト タクティクス』で日本人のtitle選手が世界一になりましたし、『ルーンテラ』の「Worlds」でも上位にしっかり食い込んでいますが、ズバリ日本人選手は『ルーンテラ』で世界に通用するでしょうか?
Zetavzee:通用すると考えています。というのも無根拠ではなくて、第1回の「Worlds」では日本人のやまと選手が入賞されています。彼はうちに所属しているんですけど、うまいけど“天上の人”という感覚ではなくて、大差ないレベルの人も何人もいます。日本からチャンピオンが生まれる可能性はあると思っています。
宮下:他のゲームで見ても、日本のeスポーツ選手が世界で活躍すると、ゲームもeスポーツシーンもすごく盛り上がるのを肌で感じています。『ルーンテラ』では世界に通用する人がいっぱいいる感じがしますね。
Zetavzee:僕らもそう思ってますし、APAC地域自体もレベルが高いという感覚は持っていますね。
jyori:アジア、韓国、日本がレベルが高いと言われていますね。元々『ルーンテラ』は日本と韓国だけのサーバーでしたし。現在は東南アジアも含めたAPACサーバーになったんですけど、運営側も日本と韓国だけレベルが高いからちょっと隔離しよう、みたいな動きが当初はあったらしいです。
宮下:その中でも、日本人は強い?
タキ:もともと日本、韓国、アジアサーバーが多分異常に強かったんです。日本人は正直、APACサーバーと合併する時になめてたんですけど、「東南アジアも言うて強いやん」っていう状態で。NAサーバー、EUサーバーとかは「この人、めちゃくちゃ強いよね」っていう人数が少ないんですが、合併後のAPACサーバーって、ベスト64がほとんど知っている顔ばかりで、コンスタントに強い人が多いって感じですかね。
あと、APACサーバーだけの特徴として、「オタクデッキ」が多いんですよ。スペルで翻弄するような相手をコントロールするデッキタイプが多い。他のサーバーでは全然回されていないのに、APACサーバーだけ異常に回されて強いデッキがあったり。
宮下:それは、アジア独特の強さってことなんでしょうか?
タキ:そうですね、先ほど話に出たやまと選手が世界大会の第1回に出られた時も、ひとりだけ俗に言う「コントロールデッキ」を持ち込んで、めちゃくちゃ強いって言われて2位になられましたし。今戦ってるpisukaru選手もオタクの権化みたいな……。
jyori:今使ってるデッキはまさにそうだね。
タキ:誰も理解できない(笑)。元々TealRed選手っていう有名な配信者がいたんですけど、その人がもうハイパーオタクだったんですよ。初期の環境デッキを作り出したりとかもしてたんで、なんか独特な人が多いですね。奇人変人が多いです。
宮下:日本勢の強さについてはどうですか?
ここちい:世界の中でも日本は『ルーンテラ』においてはかなり強い国と見て間違いないと思います。やっぱり日本っていう国自体がカードゲーム先進国だとは思うんですよ。子どもの頃からカードにふれやすいんじゃないかなと。
タキ:ちょうど僕らの小学生の時にいわゆる『遊戯王』ブームがあって、男子でさわっていない人の方が少ないくらい流行ったんです。世代世代で『ポケモンカード』『バトルスピリッツ』など、5年〜10年サイクルで流行も変わるんですけどね。さらに大学生くらいになって、もう1回カードゲームやってみようかなと思う人も多かったり。
宮下:それぞれの世代ごとに、何らかのカードゲームを経験してきて『ルーンテラ』に出会ったと。
ここちい:その前に『ハースストーン』と『シャドウバース』っていう2つがありましたけどね。
宮下:そうですね。やっぱり皆さんもこの2つは通ってきたんですか?
ここちい:デジタルでもカードゲームができるようになって、そっち方面のジャンルがちょっと流行る傾向を見せたのは、そこらへんのゲームがターニングポイントなのかなと思います。
Zetavzee:ベタですけど、僕も『ハースストーン』『シャドウバース』の両方ともプレイしたことがあります。まあ、その時はいわゆる競技的な関わりではなく、本当に遊んでるだけだったんですけど。『ハースストーン』でデジタルカードゲームって面白いんだなって初めて認識しましたね。
宮下:タキさんも同じですか?
タキ:ですね。僕も『ハースストーン』と『シャドウバース』はさわったことあります。
宮下:jyoriさんはあまりさわったことがなかったんですよね。
jyori:いや、私は『シャドウバース』からデジタルカードゲームに入って、そのあと『ハースストーン』もさわりはしたんですけど、がっつりではなかったです。
Zetavzee:まあ、正直『ハースストーン』とかはデジタルカードゲームにかなり興味がある人だったら知ってるくらいの立ち位置だったんですけど、『シャドウバース』は本当に「名前だけなら聞いたことがある」というくらいの知名度になったので、『シャドウバース』の存在はすごく大きかったと思いますね。
ここちい:山手線とかにも広告出てますからね。
タキ:テレビCMもバンバン出てるし。
Zetavzee:駅で適当に10人ぐらい捕まえたら、多分7、8人は『シャドバ』は知ってると思うんで。
jyori:聞いたことあるよ、うん(笑)。
Zetavzee:『ハースストーン』は当時だったら正直100人捕まえても5人知っているかどうかぐらいですね。
タキ:日本人が『ハースストーン』ですごい賞金を獲得して話題になりましたけどね。
宮下:2021年にPosesi選手が世界王者に輝いていますね。賞金は20万ドル、当時で2200万円くらいでした。
【歴戦のカードゲームプレイヤーが語る『ルーンテラ』の面白さ】
『ルーンテラ』にあって他のゲームにないもの
宮下:いまうかがった『ルーンテラ』の面白さ、他のゲームと違うハマった部分など、他のゲームを経験された皆さんからうかがってみたいです。
Zetavzee:一番は相手のアクションに対して、対応のアクションがとれるゲーム性。連載では「双方向性」と言っていましたが、それが強いゲームっていうところかなと思います。
基本的に他のカードゲームの強いデッキって、相手を倒す動きを押し付けるようなデッキが強いことが多いんですけど、『ルーンテラ』に関しては相手が考えている勝ち方をさせないデッキとかもかなり強いデッキとして上がってきてることが多くて。
他のカードゲームでも、そういういわゆる「コントロールデッキ」はあるんですけど、やっぱりド派手な効果を持ってるカードがキーカードでよく挙げられたりするんですよ。相手の持ってるカードを全部破壊するとか。
でも、『ルーンテラ』は本当にわずかな状況とか、それだけで相手の動きを全部さばく、みたいなことが現実的で、相手との読み合いがかなり深くできるところが楽しいですね。
宮下:大半のカードゲームって、このカードを持ってるからめっちゃ強くなれた、みたいな喜びもあるじゃないですか。でも、日々の積み重ねや考え方で勝てる要素があるところが魅力っていうことですかね。
Zetavzee:そうですね。悪い言い方になっちゃうんですけど、「このカード持ってたら強くなれた」みたいな楽しみ方は、僕はもう小学生ぐらいの時に卒業してしまって、それ以降は選べるアイテムから好きなものを持ってくるという前提で戦ってきたので。押し付けみたいな動きだけじゃない勝ち方がしっかりできる分、『ルーンテラ』はいいゲーム性だと思いましたね。
タキ:僕も同じで、相手の行動に対してアクションできるっていうのが一番面白いです。『遊戯王マスターデュエル』がリリースされてやってみたんですけど、相手のターンを眺めてるだけなんですよね。
『ルーンテラ』はそういうことはなく、相手がやってきたことに対してアクションもできるし、例えば自分が押し付けるデッキを使っていたとしても、相手がこうしてくるかもしれないから、じゃあ動きを貯めて次のターンで攻めよう、3ターン後にやろうとか、いろいろ考えられるんです。先に除去させてからこのカードを出そうとか、読み合いがあるところが一番面白いところですね。
僕がやっていた『WIXOSS』にも、対戦相手のターンに介入する「アーツ」っていう要素があったんです。それがすごくゲームとして面白い要素で、多分それがめちゃくちゃ面白くて流行ってたと思うんですよ。今はその「アーツ」の要素がなぜか消されてしまったんですけど。
jyori:なんで消したんやろ?
タキ:難しくなりすぎて一部しかいなくなったから、多分初心者を見込んでじゃないかな。
Zetavzee:それは、『ルーンテラ』も多分同じだよね。読み合いとか相手に対応するっていうアクションが、「初心者バイバイ」なんですよ。
宮下:確かに難しく感じるかもしれませんね。
タキ:『ルーンテラ』がなぜ流行らないか、の話にもつながるんですけど。カードゲームに慣れ親しんできたオタクたちには、そこが面白いんです。
Zetavzee:僕がメインで遊んでた『MTG』も『WIXOSS』とルールがかなり似てるって言われるんですけど。
タキ:そうですね、ヤソ(八十岡翔太)が作ったゲームなんで……(編集部注:八十岡氏は『MTG』のプロとして活動してきた人物。ホビージャパン入社後に、『WIXOSS』などを手掛けた)。
Zetavzee:そう、かなり似てるって言われるのも、相手の行動に対してアクションができるところで。僕らはそれが楽しくてやってきたので、『ルーンテラ』のシステムは受け入れられるんですけど、今まで流行ってきた『ハースストーン』とか『シャドウバース』って、基本的に相手のターンには何もできないんですよ。そういうものしかさわってこなかった人からしたら、このシステムは理解するのも大変だし、理解したとしてどうやってそのゲームの価値につなげるかも大変。初心者さんを外す要素のひとつにはなってるかなとは思ってしまいますね。
タキ:ゲームとしての難易度が高すぎるとは思います。
宮下:ライアットももちろんわかってるけれども、そのせいで初心者が入ってこれない、人口が増えないっていう悩みはもちろん抱えてて。
タキ:ライアットからも『ルーンテラ』開発秘話が公開されていまして、『ハースストーン』が出る前に、実は『ルーンテラ』の初期版を作っていたらしいんです。で、『ハースストーン』が出た瞬間に「俺の作ったモデルよりおもろいやん」と作り直した。それで、リリースが2年ぐらい遅れ、『ハースストーン』に勝てるゲームを作ろうとした結果、こういうゲーム性になったんだと思うんですね。
宮下:そう聞くと納得はできますよね。キャラのベースになっている『LoL』自体が流行っているから余計に僕も思いますけど、あの複雑なシステムと、160体以上のチャンピオン、さらにアイテムの介入もあって、パッチノートが年間20回も更新されるという。
タキ:カードゲームをMOBAでたとえると、『シャドウバース』が『ポケモンユナイト』で、『ルーンテラ』が『LoL』だと思います。
Zetavzee:逆に、どうして『LoL』ってあんなにプレイヤーを獲得できるに至ったのかなと。あれも障壁としては高いと思うんですよ。
jyori:ハードルめちゃくちゃ高いですね。
タキ:あれは『Dota』っていうゲームが元々あったからじゃないかな。
Zetavzee:だとしても、結局新規層のハードルは高いでしょう?
タキ:多分「世界一流行ってるオンラインゲーム」っていう口コミが日本人の中で受けて、やってる人がそこそこいる。
Zetavzee:『ルーンテラ』もどうにかして、瞬間的に世界一流行ればいいのかな。
jyori:「世界一遊ばれているカードゲーム」って。
宮下:世界一流行っているカードゲームって、やっぱり『MTG』ですか?
タキ:『ポケモンカード』じゃないですかね。
宮下:『ポケカ』か……。
タキ:『マジック』くんもやらかしすぎて減ってますから、人が。
宮下:ここちいさんはどうですか?
ここちい:同じような意見なんですけど、補足するなら「スペルマナシステム」はすごく良かったですね。1、2ターン目に行動ができなかったとしても、後でその分のマナを使えるっていうシステム。
jyori:それは、私も言おうと思ってた、うん。
ここちい: 『シャドウバース』を例にすると、1ターン目にカードを出せず、2ターン目にもカードを出せないとかなりやばい状況なんです。でも『ルーンテラ』だと、そういう状況でもちゃんと立て直しができるし、なんなら1、2ターン目は動かないことを前提にしたようなデッキ構築も許される。
あと、さっき挙げた『アルテイル』というゲームは、「いっせーのせ!」でカードを出すゲーム性なんです。先攻・後攻の格差がかなり緩和されていて、どちらもルールから公平感が感じられる。他のゲームと比べて、そこが『ルーンテラ』の魅力として補足できるかなと思いました。
宮下:スペルマナの話は他のゲームと大きく違いますよね。読み合いがあるということも、公平感も、eスポーツに寄ったゲームの作り方をされていると。
ここちい:かなり実力系になっていますね。
タキ:そうですね。うまいやつが勝つゲームがみんなやりたいんですよ。
jyori:なるほど。うまいやつがちゃんと勝つ、認められもする、ということか。
【『ルーンテラ』が流行らない理由は?】
広告・告知が足りない『ルーンテラ』
宮下:意見を総合すると、『ルーンテラ』は流行らない、人口が増えない、でも日本人プレイヤーは強い、というのは共通して感じていらっしゃると思うんです。では、「こうすればもっとルーンテラ盛り上がんのにな」とか、「面白いってことが伝わんのにな」みたいなことをうかがえますか?
ここちい:そうですね。やはり広告を打たなすぎなので、もうちょっと人の目に止まるようなことはしてほしいです。
宮下:人の目に?
ここちい:大抵のゲームではライトユーザーが重要になりやすいんですけど、『ルーンテラ』に関してはヘビーユーザーを頑張ってつかむことも大事かなと思うので、そこの魅力も広告を打つときにはうまく入れてほしいと思いますね。
宮下:今の話を聞いてると、他のゲームをやってたという素地がある人には結構ハマりやすいんじゃないかなって感じもするんですが……。
ここちい:そうですね、特に高いレベルでカードゲームをやっている人たちにはいいゲームだと思います。
宮下:ということは、そういう方たちに対するアプローチも足りていない?
ここちい:ないとは思わないんですけど、単純に広告とかやってないですよね。
jyori:認知されてないですね。
タキ:存在を知ってる人という意味では、カードゲームのコアユーザーは、多分流行っているゲームをやるので。
jyori:みんなやってないゲームはやらないよねっていう、単純に。
宮下:それは人口が多いからってことですよね。
タキ:承認欲求の塊ですからね、オタクっていうのは(笑)。
Zetavzee:でも、正直その知名度の問題が本当に致命的だと思っていて。僕も『MTG』をやっていた時は多分普通の人よりは相当アンテナが広くて、知らないカードゲームはほとんどないくらいには知識を吸収してたんですけど、それでもこの『ルーンテラ』は正式サービスになるまで知らなかったんですよ。オープンベータがあったんですけど、全然存在を把握していなかった。どういうやり方をしているのかと思ってしまうくらい、やっぱり知名度が低いなっていう感覚はありますね。
宮下:うーん、そうなんだ。
タキ:『WIXOSS」勢の中で、多分『ルーンテラ』をプレイしてるのは僕だけなんですけど、『WIXOSS』で有名なプレーヤーに、「この前、『ルーンテラ』って知ってる? って言われて『ひとりだけやってるやつ知ってるよ』って話で盛り上がったよ」っていうくらい、やっているやつは珍獣みたいなレベルだとは思いますよ。
宮下:『LoL』自体は、それこそ世界で一番プレイヤー数が多いということを武器に成長してきた。それがあるから、多分『ルーンテラ』も人気が出るだろうと予想したのでしょうか。
ここちい:最初はちょっと勢いありましたけどね……。
タキ:「マインドマスターズ」をもう1回やっていれば……。あそこは良かったんですけど、そこからライアットがキープできなかった。賞金300万円で、吉本とかも提携していましたし、あの時はめっちゃ流行ったと思うんです。
jyori:1回盛り上がって、その時点で『ルーンテラ』をやっていなかった人も参入してきたよね。
Zetavzee:『ハースストーン』とか『MTG』のトッププロと言われる人たちも参加してきました。逆に言えば、その辺からプレイヤーをかっさらえそうなところまでは行ったんですよね。
jyori:だけど、想像よりも大会が盛り上がらなかったのか、お金の問題なのか、1回だけで終わってしまって。
タキ:「マインドマスターズ」の後に、公式大会がない空白の1年があったんですよね。結局それが大きかった。それも、世界ではそもそも大会がなかったですし。
あと、『TFT』って『LoL』と同じクライアントに入ってるんですけど、『ルーンテラ』ってゲーム自体が分かれているから、やってる人以外の目にふれないんですよね。
宮下:たしかに、なんで別なんだろうっていうのは僕も思いました。同じアカウントを使うのに。
タキ:まあ、そもそも別ゲーとして開発してましたからね。
ここちい:ライアットの他ゲームとのコラボみたいなことをしてくれれば、『ルーンテラ』のユーザーは増えそうな気はします。
タキ:「Riot Games One」にも『ルーンテラ』はないですからね。『TFT』はいるのに。
宮下:ちなみに、タキさんは『LoL』の経験者ですが、『LoL』をやっていたのがきっかけという方もいますか?
タキ:半分ぐらいは『LoL』のアカウントを引き継いでる人だと思います。『LoL』からやってる人はアカウント名のハッシュタグが「#JP1」なんですよ。それを見ると、半分ぐらいは多分『LoL』から入ってきている。
jyori:確かに結構いたもんね。
宮下:じゃあ、『LoL』から来てる人には効果はあったんですね。
タキ:あとは、大きな賞金制の大会はやっぱり必要なんだと思います。
jyori:やっぱりお金の力、『シャドウバース』の「RAGE」みたいなかたちですよね。
Zetavzee:『シャドウバース』も、一般の人に認知されたのって賞金1億円が来たのもかなり大きかったと思いますね。
宮下:確かに、一般のテレビとかも大きく取り上げてくれましたよね。実は優勝賞金1億円って、広告効果としてはむちゃくちゃ安いんですよね。今はもう役割が終わって、『シャドバ』自体が定着したからやっていないのだと思いますけど。
タキ:『ルーンテラ』は、日本の法律の関係で相当絞られましたからね。最初の賞金が日本だけ10万円になったりとか……。
宮下:その後はいろいろ解決されてるはずなんですが、賞金制の大きな大会があるっていうインパクトは、やっぱり効果はあるかもしれないですね。
jyori:必要やね。
【eスポーツとしての公平性がライトユーザーを阻んでいる?】
eスポーツとしての公平なルールがもたらす矛盾
宮下:皆さん、『ルーンテラ』の競技性の高さと公平なルールについては評価されていますが、一方でライトなユーザーにとってはそれがあだになっている部分もありそうですよね。
Zetavzee:僕も結構いろんなカードゲームをやってきたんですけど、『ルーンテラ』は他のカードゲームと比べても頭ひとつ抜けている面白いゲームだと思ってます。あと、課金システムとかカードの収集という面に関しても比較的集めやすい。初心者が無課金からでも資産を揃えやすくて、すぐ戦える場に立てる。
ただ、そのシステム面の難易度が本当に複雑で……なんて言えばいいのかな、他のカードゲームって基本的に一方的に動いて、ターン終了のボタンを押したら終わるんですよ。で、あとは他の紙のゲームとかでもだいたいフェーズみたいなのがあらかじめ決まってて、最終フェーズに行ったらターンが終わる。ルーンテラだけは、ターンが終わる条件が「お互いパスをしたら」って言えばいいのかな?
jyori:うんうん。
Zetavzee:正直な話、『ルーンテラ』を始めて1、2週間ぐらいで最高ランクには達したんですけど、その段階では自分のターンが終わる条件っていうのを把握してなかったんですよ。
宮下:そのまま勝ち上がりはしたけども、っていう感じ?
Zetavzee:はい、ちょっとよくわからんけど、これで終わるらしいな、みたいなふんわりした認識だったんです。それくらいシステムが複雑で。
あとは、僕らは「スペルスピード」とかって呼んでるんですけど、スペルにもこのタイミングで唱えられる呪文、このタイミングで唱えられない呪文、唱えたら相手に優先権を渡さない呪文、みたいなのがあって、それで戦略の幅が広がってるんですけど、やっぱり最初はもう混乱すること間違いなしっていう状況になってて。本当に複雑で、ルールがややこしくてとっつきにくいなっていう面は否定できないと思ってます。
でも、カードゲーム単体としては非常に出来がいいものなので、もっと認知されるようなコマーシャルとかアピールをしてくれたらいいのになっていうのは思いますね。
宮下:みなさん、同じような悩みですね……。
Zetavzee:ただ、システムの面でもうひとつ、正直な話、僕はカードゲームってなんだかんだで流行るためには運要素、始めてすぐでも勝つことができる要素も必要だと思っています。『ルーンテラ』って複雑なシステムと戦略性の高さのせいで、そういう要素がかなり低いんですよね。そういう意味で、このゲームを流行らせるのは大変だろうなっていうのも、ちょっと思ってます。
宮下:運用素がないことは、実力で戦いたい人にとってはいいけれども、初めての人でも「うわ、勝てちゃった、すごいね!」みたいな新鮮な楽しさ、勝つことの喜びは感じにくいですよね。
Zetavzee:別の国産のカードゲームでも、そういう運用素を本当にできるだけ排除した『ディメンション・ゼロ』っていうゲームがあったんです。カードゲームとしては本来ありえないんですけど、下手な人には100回やったら99回勝つって言えた。ガチ勢にはすごく流行って、サービスが終了したのに今でもコミュニティが続いてるぐらい。
ただ、残念ながらそういう人しかいなかったので、割とすぐサ終されてしまった。競技性の高いカードゲームって、結構こういう運命と向き合っていかなきゃいけないんだろうなってのは、ちょっと思ってます。
産みの親は元『MTG』のトッププロだった中村聡っていう方で。その方が本当に競技性の高い国産カードゲームを作ろうって言って。口では運要素は嫌だって言いながらも、実際にやらせるとすぐやめてしまうんですよね。
タキ:いまポーカーが世界的に流行ってるのも、運で勝てるからかなと思うんですよね。
Zetavzee:そう、運で勝てる要素って大事だよね。
タキ:でも、『ルーンテラ』って元々運では勝てないゲームだったんですけど、逆に1年目ぐらいを境に運用素をかなり追加してきて、初心者を呼び込もうという努力は感じるんですよね。ただ、『ルーンテラ』を1年間やってきたオタクたちは運要素が嫌いなので、人が離れてしまった。
Zetavzee:複雑すぎるって話も、一度結構シンプルにされたんです。それでも他のゲームと比べるとまだまだ複雑なんですけど、その時も、結構既存のプレイヤーからは反発もありました。
宮下:既存プレイヤー、つまり『ルーンテラ』に慣れた人たちってことですよね。逆に、その時に新規は増えなかったんですか?
タキ:増えなかったですね。
jyori:まあ、知られてないので。そういうことがあったことすら。
タキ:なんかシステム変わったけど何? みたいな感じでした。
宮下:別ゲーにしたわけじゃなくて、アップデートの範疇ですもんね。
Zetavzee:僕は見た目ではわかりにくくても、一応それでとっつきやすくなって、新規参入のハードルが少し下がってるから、結果的には長い目で見たら増えてくれてるんじゃないかなと思いたいんだけどな。
タキ:オープンベータから正式リリースの時に変えていればまだ良かったかな。
jyori:確かに。そのタイミングならよかったね。
タキ:1年経ってからだと「いま?」っていう感じではありました。
宮下:そうなると、ライアットとしても動きがとりにくそうですよね。
タキ:『ルーンテラ』の開発チームがすごく頑張ってるのは感じます。ただ、「そうじゃない」っていうところもありますね。
jyori:タイミングの問題もだね。今年も競技シーンの方のシステムを作るということで、「ルーンテラオープン」の1年目でしたけど、頑張ってはいたよね。いろいろ問題も起きたけど。
Zetavzee:そうですね。競技シーンを立て直すというか、整理し直そうと。
ここちい:むしろ「シーズントーナメント」がAPACサーバーだけバグで数時間遅延するなどの欠陥だらけだったので、その欠陥が排除されたという意味では、我々にはよかったです。
宮下:端的に言うと、何がどう変わったんですか? 競技者からすると。
タキ:参加できる時間が自由参加になったんです。基本的に大会って、何時に始まって何時に終わり、じゃないですか。それが、「9戦回して9勝するか3敗するまでランクマッチみたいなのに潜ってください」という感じになったんです。
宮下:じゃあ、相手が誰かっていうのが決まってるわけじゃなく、本当にランダムで。
タキ:ランダムマッチ。それで、2日目に行くためにはもう運がめちゃくちゃいるみたいな話になって。
Zetavzee:2日目に残るためのラインはだいたい7勝くらい。当然うまい人を踏むと戦績ってとても出せないので、うまい人と当たらないことを祈るしかなかったんです。でも、そこは割とすぐ修正されて、今はだいたい同じ戦績の人と当たるようにされました。
宮下:大会の仕組みとしては、より実力のある人たち同士が戦えるし、実力のある人がちゃんと勝ち上がれる仕組みになってきてるっていうのはあるということですね。
jyori:そうですね。そういった改善とかシステム作りみたいなところは今年取り組まれていて、そこは評価はされています。
【eスポーツとしての『ルーンテラ』のこれから】
『ルーンテラ』はeスポーツとして成功できるか?
宮下:私たちがeスポーツメディアをやってる意味というのも、結局多少なりとも誰かにeスポーツの実情が伝わったり、ファンの人たちに広がってうねりになることを願ってはいます。
Zetavzee:やっぱりPR不足はみんな思ってると思うんです。ライアットじゃなくてeSports Worldさんがやってくれたっていいんですもんね。
宮下:そうですね。jyoriさんの連載を続けるのも、正直なかなか大変ではあります。
タキ:連載が始まった時に「マジか」と思いました(笑)。
Zetavzee:けど、そんなニッチな需要にふれてくれるメディアなんてないですよね。
宮下:『ルーンテラ』の連載をやっているのは、eスポーツというものが公平なルールの中での戦いでなければならないとすると、デジタルカードゲームの中で最も可能性があるんじゃないかと思ったからなんです。そもそも他のカードゲームは大手攻略系サイトの情報だけでよくて、我々が手を出せる世界じゃないですから。
ここちい:すごく共感できます。
宮下:メディア名に「eSports World」と標榜しているからには、eスポーツにこだわって報じるのが使命なので、ガチャ要素が絡むものは扱いにくいところもあります。ただ、読者側もカードゲームのeスポーツ的なインタビューなどにはほとんど反応がなかったですね。
タキ:そうですね、優勝者インタビューはプレイヤーの話であって、『シャドバ』のコンテンツじゃないですからね……。
宮下:戦いや選手の駆け引きのすごさとかは、少なくともeSports Worldの読者は求めていない。そういう読者をしっかりつかまえられていないということもありますが。だから、『ルーンテラ』については頑張りたいという思いはありました。
jyori:タキさんともまさかこんなに続くとは思ってなかったみたいな話はしてました(笑)。
宮下:2024年も続ける予定です(笑)。最後に、皆さんから今後の『ルーンテラ』への要望とか、皆さん自身がこういうふうに頑張りたいといったひとことをいただけますか?
Zetavzee:やっぱりゲーム自体は面白いと思ってるので、もっとみんなに知ってもらいたいという気持ちがすごく強いです。そのために、僕も「Worlds」の権利を獲得して、例えば僕が賞金3万ドルを獲得したなんて言ったら、ちょっとは興味を持ってくれる人がいるかもしれない。
jyori:多分、インタビューするよ(笑)。
Zetavzee:お待ちしております(笑)。まずは勝てるように頑張るところからですけど、多少は影響を与えられるかもしれない立場にはなったので、僕も頑張りたいと思うし、もっと『ルーンテラ』にさわってほしいなと思います。
宮下:ありがとうございます。『TFT』もそうでしたが、ほんとに日本人が優勝するのが一番のPRですよね。
jyori:そうそう、結果出してもらって。
タキ:多分、多くのユーザーがライアットには頼らないという気持ちにはなってて、コミュニティが自分らで盛り上げようっていう気持ちは強いとは思うんですよ。ただ、かなり敷居の高い界隈だとも思うので、「怖い人はいないよ」ということも伝えたいですね、いい人ばっかだよっていう(笑)。
宮下:『LoL』ユーザーらしい発言ですね(笑)。
タキ:ほんとにいい人ばっかりなんです。「このゲームは叩かれないよ」って伝えたいですね。
ここちい:今ある明るい話題としては、待望の 「リミテッドモード」がようやく発表されたこと ですね。
以前あった「エクスペディション」っていうリミテッドモードも、今までのリミテッドからすると画期的なものだったんです。また、仰天するようなとんでもないリミテッドモードであることを期待しています。
宮下:プレイヤーの皆さんからの期待も高いんですね。可能性もありそうですか?
ここちい:そうですね、新規ユーザーが入る理由にはなるかもしれないですが、それよりも復帰勢で賑わう可能性を感じています。カードゲームプレイヤーって割と横のつながりがあると思うので、「ルーンテラの新しいドラフト、面白いぞ!?」みたいに噂が広まることはありえます。ユーザー視点で盛り上げるんだったら、新しいモードが面白かったらそれを「面白い!」ってSNSなどで言うことは大事だなと思ってます。
宮下:みなさんのご意見は、『ルーンテラ』のプレイヤーさんにも、この記事で『ルーンテラ』を知った未来のチャンピオンにも伝わると思います。本日はありがとうございました!
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今回の座談会参加者は全員、他のデジタルカードゲームの経験も持つ歴戦の強者たち。その彼らが『ルーンテラ』を選び、そのゲーム性に惚れ込んでいるということからも、ゲームそのものの出来の良さは疑う余地はない。
ただし、「いいゲームである」ということと、「eスポーツとして盛り上がる」ということとはイコールではない。ゲームの継続的なアップデート、プレイヤー数、大会の規模、賞金金額などさまざまな要素が絡んでくる。
2020年のリリースから3年を経て、2024年には新しい要素も増える『レジェンド・オブ・ルーンテラ』。この記事を機に知った方も、ぜひスマホなどで一度ふれてみてほしい。
レジェンド・オブ・ルーンテラ
https://playruneterra.com/ja-jp/
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